第12話「限界」
町の中心に立ち、先ほどの干渉の余波を観察していると、これまでとは質の違う圧がゆっくりと蓄積されていくのを感じ取り、それが単なる複数干渉ではなく“何かを犠牲にしてでも成立させる無理な介入”であると理解する。
密度が違う。
安定していない。
「……来るな」
空気が歪む。
静寂が落ちる。
音が消える。
通りの人間が一瞬止まる。
全員同時に。
「……止めたか」
視線を上げる。
空間。
向こう側。
歪みが“固定”される。
逃げ場がない。
【システム】
――強制補正:最大
「……無理してるな」
瞬間。
圧が落ちる。
重い。
今までとは比較にならない。
足が沈む。
思考が引きずられる。
意識が引き裂かれるような感覚。
「……効いてるな」
初めて。
明確に。
【エラー】
――対象逸脱
だが、完全ではない。
「……足りない」
踏み出す。
一歩。
重い。
だが、止まらない。
空間が軋む。
裂ける。
「……無理だな」
さらに圧が増す。
通りの人間たち。
膝をつく者が出る。
「……巻き込みすぎだ」
崩壊しかけている。
空間ごと。
「……限界か」
それでも押す。
無理やり。
【システム】
――排除優先
――代償許容
「……そうか」
理解する。
“壊してでも止める”
そこまで来ている。
「……いいな」
手を伸ばす。
歪みの中心へ。
触れる。
瞬間。
激しいノイズ。
視界が白く飛ぶ。
【エラー】
――逆流過多
身体が引かれる。
わずかに。
「……引かれるな」
だが――
止まる。
「……届かない」
押し返す。
歪みが崩れる。
形が乱れる。
「……弱い」
だが、完全には崩れない。
まだ残る。
中心が。
「……しつこいな」
周囲を見る。
人間たち。
倒れている者。
動けない者。
「……邪魔だな」
意識を切る。
補正を外す。
瞬間。
空間がさらに歪む。
支えがなくなる。
「……崩れるな」
それでも――
「……いい」
踏み込む。
中心へ。
もう一度。
触れる。
今度は深く。
“向こう側”へ。
瞬間。
歪みが崩壊する。
【エラー】
――干渉破綻
圧が消える。
音が戻る。
人間たちが崩れ落ちる。
だが、生きている。
「……終わりか」
視線を上げる。
観測者。
大きく引いている。
距離がある。
明確に。
「……限界だな」
無理をした。
だから崩れた。
「……もう来ない」
しばらくは。
歩く。
止まらない。
通りを抜ける。
人が少しずつ動き出す。
混乱している。
「……残るな」
影響は消えない。
「……いい」
視線を上げる。
空間。
向こう側。
「――終わりじゃない」




