第11話「対抗」
町の中心に立ち、人の流れと空間の歪みを同時に把握していると、これまで断続的だった“向こう側”からの干渉が一つの意志として統合され、明確にこちらを排除しようとする方向へ収束していることに気づく。
観測ではない。
記録でもない。
「……来るな」
空気が変わる。
温度が落ちる。
音が歪む。
通りの人間たちは気づかない。
だが、動きがわずかに鈍る。
「……巻き込まれてるな」
視線を上げる。
空間。
向こう側。
歪みが集中する。
一点に。
【システム】
――補正強制適用
「……強制か」
瞬間。
圧が落ちる。
重い。
明確に。
足がわずかに沈む。
思考にノイズが混ざる。
「……効いてるな」
少しだけ。
【エラー】
――適合不一致
だが、止まらない。
「……弱い」
踏み出す。
一歩。
圧を押し返す。
空間が軋む。
歪みが割れる。
「……足りないな」
さらに来る。
歪みが重なる。
二重、三重に。
「……数か」
観測者が複数。
同時に干渉している。
【システム】
――修正領域拡張
周囲の空間が固定される。
動きが制限される。
人間たちの動きも止まりかける。
「……巻き込みか」
「……邪魔だな」
意識を外す。
人間への補正を切る。
瞬間。
流れが崩れる。
人間が乱れる。
圧が揺らぐ。
「……そこだ」
踏み込む。
歪みの中心へ。
触れる。
瞬間。
強烈な反発。
ノイズ。
【エラー】
――逆流発生
歪みが崩れる。
形を保てない。
「……返るな」
観測者の一部が引く。
明確に。
「……弱い」
だが――
まだいる。
複数。
圧は続く。
「……止まらないな」
歩く。
そのまま。
中心へ。
「……来い」
意識を上げる。
向こう側へ。
歪みがさらに濃くなる。
「……いいな」
【システム】
――危険度上昇
――排除優先
「……やる気か」
空間が裂ける。
今までより大きく。
「……広いな」
だが、同じだ。
手を伸ばす。
触れる。
崩れる。
「……足りない」
視線を落とす。
現実側。
人間たち。
混乱している。
「……邪魔だな」
意識を戻す。
補正を再開する。
瞬間。
流れが戻る。
安定する。
圧が弱まる。
「……干渉してるな」
人間を通して。
空間を固定している。
「……面白い」
視線を上げる。
向こう側。
観測者。
まだいる。
だが、距離がある。
「……押せば引く」
理解する。
完全ではない。
だが――
「……勝てるな」
歩き出す。
止まらない。
迷わない。
「――次は壊す」




