第7話「選別」
通りを歩きながら、さっき路地で交わしたやり取りを反復していると、相手がどこまで到達していたのか、その思考の進行度がはっきりと段階で分解できることに気づき、それが単なる個人差ではなく“危険度の指標”として扱えると理解する。
違和感を感じる者。
言語化できる者。
確信に近づく者。
「……分かれるな」
足を止める。
人の流れの中。
視線を動かす。
通りを行き交う人間。
「……浅い」
ほとんどはここだ。
違和感すら持たない。
「……問題ない」
別の個体。
少し視線が長い。
反応が遅れる。
「……中間」
違和感はある。
だが、届かない。
「……放置でいい」
そして――
「……深いな」
ギルドの中。
例の男たち。
言語化した。
詰めてきた。
「……危険だ」
歩き出す。
ギルドへ向かう。
扉を開ける。
中へ。
視線が来る。
昨日より強い。
「……来たな」
例の男。
こちらを見る。
隠していない。
「……どうする」
選択肢はある。
残す。
観察させる。
泳がせる。
消す。
リスクを断つ。
「……どっちでもいいな」
どちらも可能だ。
だが――
「……効率か」
思考が整理される。
残せば、情報になる。
だが、リスクも増える。
消せば、安全になる。
だが、流れが乱れる。
「……中途半端だな」
なら。
「……分けるか」
視線を動かす。
全体を見る。
浅い者。
中間。
深い者。
「……決まったな」
席に座る。
自然に。
「おう」
男が声をかける。
「……ああ」
「今日どうする?」
「……任せる」
いつもと違う返し。
「え?」
男が止まる。
「……珍しいな」
「……そうか?」
揺らす。
少しだけ。
「……まあいい」
流す。
「……見てるな」
例の男は違う。
反応が早い。
変化に気づく。
「……深い」
夜。
外に出る。
人が減る。
「……行くか」
路地へ。
気配。
中間の個体。
近づく。
音を消す。
背後。
「……っ」
気づく。
だが遅い。
押さえる。
終わる。
喰う。
記憶。
思考。
「……浅いな」
処理完了。
「……問題ない」
次。
別の個体。
違和感を持っていた者。
同じ。
終わる。
「……減らす」
リスクを削る。
「……整える」
朝。
ギルド。
空気が変わる。
わずかに。
「……軽いな」
違和感が減る。
明確に。
「……消えた」
だが――
「……残るな」
例の男。
視線がさらに鋭い。
「……気づいたか」
減ったことに。
ではない。
「……濃くなった」
周囲が薄くなり。
一点が浮く。
男の視点。
違和感を持っていた他の人間がいなくなったことで、自分だけが“おかしいと感じている側”として取り残され、それが逆に確信へと近づいていく。
「……逆か」
減らしたことで。
濃くなる。
「……面白い」
視線を上げる。
空間。
向こう側。
観測者。
「……見てるな」
人間。
上位存在。
両方が。
「――絞られる」




