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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第4章「潜入者」

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第5話「疑念」

 ギルドの中に入った瞬間、これまでのような曖昧な視線ではなく、明確に“何かを確かめようとする意識”がいくつかこちらへ向いていることに気づき、それが単なる違和感の共有を越えて“検証段階”へ入っていると理解する。


 軽くはない。


 だが、まだ断定でもない。


 「……進んだな」


 「おう」


 声がかかる。


 いつもの男。


 だが、距離が微妙に遠い。


 「……ああ」


 「昨日のやつ、どうやった?」


 普通の会話。


 だが、探っている。


 「……普通だ」


 短く返す。


 「普通であれはねえだろ」


 笑う。


 だが、目が笑っていない。


 「……そうか?」


 「お前さ」


 止まる。


 言葉を選ぶ。


 「……何者だ?」


 直球。


 空気が止まる。


 周囲の会話が一瞬だけ遠のく。


 「……ただの人間だ」


 返す。


 迷わない。


 「……嘘だな」


 即答。


 間がない。


 「……何を根拠に言ってる」


 「分からん」


 正直だ。


 だが――


 「でも違う」


 感覚。


 確信に近い。


 「……そうか」


 それでいい。


 そこまでだ。


 「なあ」


 別の男が割って入る。


 「さっきの動き、見てた」


 視線が増える。


 集まる。


 「……どう思う?」


 最初の男が聞く。


 「……おかしい」


 即答。


 「だよな」


 共有される。


 疑いが。


 「……集まったな」


 個人ではない。


 集団へ。


 「……面倒だな」


 「説明できるか?」


 男が聞く。


 「……できないな」


 「じゃあ何だ」


 「……分からん」


 だが――


 「普通じゃない」


 繰り返される。


 言葉として。


 「……そこか」


 定義できない。


 だが、否定もできない。


 「……曖昧だな」


 足りない。


 確信に。


 「……証拠がない」


 沈黙。


 数秒。


 「……まあいい」


 誰かが言う。


 「今はな」


 引く。


 だが、終わっていない。


 「……残るな」


 会話が流れる。


 別の話題へ。


 無理に戻す。


 だが、違う。


 空気が変わっている。


 「……軽くないな」


 視線が残る。


 完全には外れない。


 男の視点。


 確信は持てないが、違和感を無視できない状態になっており、言葉にしたことでそれが現実として固定され始め、もう以前のように“気のせい”として流すことができなくなっている。


 「……固定されたな」


 疑いが形になる。


 消えない。


 歩く。


 外へ出る。


 通り。


 人の流れ。


 同じ。


 だが――


 「……違うな」


 今までは隠れていた。


 溶けていた。


 だが、今は。


 「……見られてる」


 明確に。


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 観測者。


 まだいる。


 「……いいな」


 人間。


 上位存在。


 両方が。


 「……近い」


 気づいている。


 違う形で。


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 「――まだだ」

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