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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第4章「潜入者」

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第2話「役割」

 ギルドの扉を開けて中に入った瞬間、昨日までと同じ光景であるはずなのに、自分に向けられる視線の種類が微妙に変化していることに気づき、それが単なる認識ではなく“期待”として定着し始めていると理解する。


 警戒ではない。


 違和感でもない。


 「……寄ってるな」


 「お、来たな」


 声がかかる。


 いつもの男。


 だが、距離がさらに近い。


 「……ああ」


 「ちょうどいいとこだ」


 手招きされる。


 呼ばれる。


 「……何だ」


 テーブルへ向かう。


 複数人。


 話し合い。


 「どれ受けるか迷っててな」


 依頼書が広げられている。


 「……多いな」


 数がある。


 選択肢がある。


 「お前ならどれ選ぶ?」


 「……これだな」


 一枚を指す。


 迷わない。


 「理由は?」


 「……時間だ」


 短く答える。


 深く説明しない。


 「……なるほどな」


 納得する。


 すぐに。


 「じゃあこれで」


 決まる。


 流れが早い。


 「……固定されてるな」


 自分の判断が基準になる。


 それが自然に通る。


 カウンターへ。


 処理。


 「最近あいつ頼りだな」


 誰かが言う。


 小さく。


 「間違いねえ」


 別の声。


 「……依存してるな」


 外へ出る。


 依頼へ。


 森。


 いつもの流れ。


 「今回も頼むわ」


 男が言う。


 「……どうだろうな」


 軽く返す。


 だが、期待は消えない。


 戦闘が始まる。


 敵が出る。


 中型。


 「……少し多いな」


 男たちが動く。


 だが、判断が遅い。


 「右、崩れる」


 声を出す。


 短く。


 即座に動く。


 迷いがない。


 「左も来る」


 反応が速い。


 完全に合わせている。


 「……回るな」


 戦闘が終わる。


 時間が短い。


 「やっぱお前いないと無理だわ」


 男が笑う。


 「……そうか?」


 「判断が違うんだよな」


 「……慣れだ」


 嘘ではない。


 だが、足りない。


 戻る。


 町へ。


 ギルド。


 報告。


 「お疲れ」


 受付が言う。


 自然に。


 報酬。


 受け取る。


 席に戻る。


 「次も一緒にやろうぜ」


 「もう固定でいいだろ」


 会話が進む。


 決定する。


 「……固まったな」


 個体ではない。


 役割。


 「……ポジションだ」


 自分がいることで成立する。


 いないと崩れる。


 「……支点か」


 男の視点。


 気づけばこの存在を中心に動くことが当たり前になっており、それを疑う理由もなく、むしろ“いる前提”で物事を考えていることに違和感を持たなくなっている。


 「……深いな」


 外に出る。


 通り。


 同じ。


 だが、違う。


 「……決まったな」


 昼は人間。


 ギルドの一員。


 役割を持つ存在。


 夜は捕食者。


 裏で喰う。


 「……両方だ」


 視線を上げる。


 町。


 構造。


 「――回す側だ」

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