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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第25話「侵入完了」

 ギルドの外に立ち、登録を終えたばかりの紙の感触を指先で確かめながら、これまで積み上げてきた“外側からの観察”がすべて“内側での行動”へと置き換わったことを静かに理解する。


 もう隠れていない。


 紛れてもいない。


 「……入ったな」


 扉を振り返る。


 ギルド。


 人の出入り。


 自然な流れ。


 「……違和感がない」


 最初はあった。


 視線。


 警戒。


 疑い。


 だが今は――


 「……消えたな」


 完全ではない。


 だが、機能していない。


 歩く。


 通りへ。


 人とすれ違う。


 肩が触れる。


 反応は自然。


 「……通る」


 存在が認識される。


 だが、疑われない。


 「……十分だ」


 足を止める。


 通りの中央。


 視線を動かす。


 人間。


 個体。


 関係。


 「……浅い」


 単体では弱い。


 だが――


 「……繋がる」


 関係で動く。


 構造で回る。


 「……なら」


 その中にいる。


 すでに。


 「……内側だ」


 ギルドの中。


 別の場所。


 複数の人間が会話している。


 「次の依頼、どうする?」


 「バグに聞け」


 名前が出る。


 自然に。


 「……どれがいい?」


 誰かが言う。


 「……それでいい」


 短く返す。


 「分かった」


 即座に動く。


 「……回ってるな」


 判断が流れる。


 自分を経由して。


 「……支点だ」


 外に出る。


 空気。


 通り。


 同じ。


 だが――


 「……広がる」


 範囲が拡張している。


 人。


 会話。


 判断。


 すべてが微細に影響を受ける。


 「……止まらないな」


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 まだいる。


 観測者。


 「……見てるな」


 だが、距離がある。


 干渉は弱い。


 「……問題ない」


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 町の中心へ。


 人が増える。


 音が増える。


 流れが強くなる。


 だが――


 「……変わらない」


 すべてが通る。


 すべてが繋がる。


 「……完成だ」


 人間社会。


 構造。


 流れ。


 その中に――


 「……いる」


 外側ではない。


 侵入でもない。


 「……存在してる」


 最初からそこにいたかのように。


 違和感なく。


 自然に。


 「……これでいい」


 視線を上げる。


 空間。


 さらに上。


 「……次は」


 思考が切り替わる。


 観察ではない。


 侵入でもない。


 「……拡張だ」


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 「――喰らう」

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