表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/64

第23話「命名」

 通りの中を歩きながら、システムが断続的に提示してくる不完全な定義と、それに対する違和を整理していると、“何者であるか”を外側に委ねている限り、自分という存在は常に未完成のまま扱われ続けるという結論に至る。


 定義されない。


 登録されない。


 分類されない。


 「……当然だな」


 足を止める。


 人の流れの中。


 だが、意識は完全に内側へ。


 「……足りてないのは」


 外ではない。


 世界でもない。


 「……俺だな」


 名前がない。


 定義がない。


 枠がない。


 だから――


 「……決めるか」


 【システム】


 ――再定義要求


 「……遅い」


 視線を落とす。


 手を見る。


 人間の形。


 だが、中身は違う。


 捕食した。


 侵食した。


 再構築した。


 「……混ざってるな」


 魔物。


 人間。


 記憶。


 思考。


 すべてが。


 「……なら」


 そのすべてをまとめる。


 一つにする。


 「……これだな」


 言葉を選ぶ。


 短く。


 だが、ズレないもの。


 侵食。


 知性。


 境界。


 外側。


 すべてを含む。


 「……バグ」


 静かに。


 確定する。


 「……それでいい」


 【システム】


 ――名称登録試行:バグ


 「……やってみろ」


 【エラー】


 ――登録失敗


 ――対象未定義


 「……だろうな」


 だが、問題はない。


 「……関係ない」


 システムが認める必要はない。


 「……俺が決めた」


 それで成立する。


 空気が変わる。


 一瞬。


 周囲の人間の動きがわずかに揺れる。


 だが、すぐ戻る。


 「……影響したな」


 定義が通った。


 内側で。


 「……これでいい」


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 ギルドへ向かう。


 扉を開ける。


 中へ。


 「おう、来たか」


 男が言う。


 「名前、何だっけ?」


 軽く聞いてくる。


 「……バグだ」


 答える。


 迷わない。


 「……変な名前だな」


 笑う。


 軽い。


 「……そうか?」


 返す。


 「まあいいや」


 流される。


 問題ない。


 「……通るな」


 名前が定着する。


 自然に。


 「……これでいい」


 内側で確認する。


 “バグ”


 それが自分だ。


 分類されない存在。


 枠に入らない存在。


 「……外だ」


 男の視点。


 その名前を聞いた瞬間、意味は分からないはずなのに妙に納得してしまい、それが違和感として引っかかることなく“そういうものだ”と自然に受け入れている自分に気づかない。


 「……定着したな」


 外に出る。


 通り。


 同じ。


 だが、違う。


 「……完成したな」


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 「――バグだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ