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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第21話「境界越え」

 通りの中を歩きながら、先ほど接触した“向こう側”との距離感を反芻していると、完全に断絶されているわけではなく、薄い膜一枚で隔てられているだけのような感覚が残り、その膜の位置を特定できれば越えられるという確信がゆっくりと形を持つ。


 見えない。


 だが、ある。


 「……薄いな」


 足を止める。


 人の流れの中。


 だが、意識は外へ。


 呼吸を落とす。


 視線を上げる。


 上。


 さらにその奥。


 「……ここか」


 空間の一点。


 わずかに“歪みが戻りきらない場所”。


 手を伸ばす。


 触れる。


 何もない。


 だが――


 「……あるな」


 抵抗。


 薄い。


 押す。


 力ではない。


 意識で。


 【システム】


 ――侵入検知


 「……遅い」


 さらに押し込む。


 膜が歪む。


 波打つ。


 「……開くな」


 瞬間。


 視界が反転する。


 音が消える。


 色が抜ける。


 重さが消える。


 「……来たな」


 そこは“場所”ではない。


 空間でもない。


 概念のような領域。


 「……薄いな」


 すべてが曖昧。


 形が安定しない。


 振り返る。


 “向こう側”を見る。


 現実がある。


 人の流れ。


 町。


 だが、遠い。


 「……分離してるな」


 視線を戻す。


 こちら側。


 影。


 複数。


 揺れている。


 「……いたな」


 観測者。


 はっきり見える。


 『――侵入者』


 声が落ちる。


 直接。


 「……遅い」


 歩く。


 一歩。


 距離が歪む。


 だが、関係ない。


 影が揺れる。


 後退する。


 『――排除』


 空間が歪む。


 圧がかかる。


 だが――


 「……軽い」


 手を伸ばす。


 影へ。


 触れる。


 瞬間。


 ノイズ。


 強烈な反発。


 【エラー】


 ――逆流発生


 影が崩れる。


 形を保てない。


 「……触れるな」


 『――危険』


 『――境界異常』


 「……そうか」


 視線を上げる。


 さらに奥。


 何かがある。


 より大きな“何か”。


 「……まだ上があるか」


 だが、今は。


 「……十分だ」


 振り返る。


 現実側。


 戻る。


 一歩。


 視界が戻る。


 音が戻る。


 重さが戻る。


 通り。


 人の流れ。


 何も変わらない。


 「……問題ない」


 誰も気づいていない。


 誰も見ていない。


 「……越えたな」


 内側で確信する。


 境界は存在する。


 だが、絶対ではない。


 「……行ける」


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 「――次は、壊す」

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