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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第20話「接触」

 通りの中で立ち止まり、これまで感じていた複数の視線を一点に収束させるように意識を向けた瞬間、空間の奥で揺れていた“形になりきれない何か”が、初めて明確な輪郭を持とうとする気配を帯びる。


 見えるわけではない。


 だが、存在ははっきりする。


 「……出るか」


 空気が変わる。


 音が落ちる。


 人の流れが、わずかに遅れる。


 誰も止まらない。


 だが、揃って“半拍”遅れる。


 「……干渉してるな」


 視線を上げる。


 上。


 その“向こう”。


 空間が歪む。


 薄い膜のようなものが揺れる。


 【システム】


 ――接触許可


 「……許可か」


 その瞬間。


 “声”が落ちる。


 直接ではない。


 耳でもない。


 思考に、差し込まれる。


 『――未定義存在』


 「……それがどうした」


 即座に返す。


 言葉ではない。


 思考で。


 わずかな間。


 『――識別不能』


 『――分類外』


 同じだ。


 理解できていない。


 「……だろうな」


 空間が揺れる。


 観測が強まる。


 『――確認』


 『――存在異常』


 「……遅い」


 踏み出す。


 一歩。


 意識を“向こう側”へ押し込む。


 『――接触深度上昇』


 圧がかかる。


 重くなる。


 だが――


 「……通るな」


 そのまま踏み込む。


 瞬間。


 “形”が見える。


 輪郭。


 曖昧な影。


 複数。


 「……いるな」


 『――警告』


 『――侵入禁止』


 「……逆だ」


 さらに踏み込む。


 『――エラー』


 『――境界侵食』


 「……触れたな」


 その瞬間。


 “向こう側”が揺れる。


 観測者の一つが、明確に後退する。


 「……弱いな」


 『――危険度上昇』


 『――排除検討』


 「……やるか」


 空間が震える。


 圧が強まる。


 だが、届かない。


 「……遅い」


 視線を落とす。


 現実側へ戻る。


 人間たちは何も気づいていない。


 通常通り動いている。


 「……見えてない」


 再び上を見る。


 観測者はまだいる。


 だが、距離が開いた。


 「……引いたか」


 『――記録』


 『――再評価』


 「……いい」


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 圧が消える。


 空間が戻る。


 「……終わりか」


 だが――


 「……違うな」


 残っている。


 視線が。


 「……続く」


 視線を上げる。


 向こう側。


 「――次だ」

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