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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第19話「兆候」

 通りの中央を歩きながら、これまで感じていた“上からの観測”とは別に、より深く、より明確に“こちらを特定しようとする意識”が混ざり始めていることに気づき、それが単なる監視ではなく“選別”に近い行為へと変わっていると理解する。


 質が違う。


 密度が違う。


 「……増えたな」


 足を止める。


 人の流れ。


 通常。


 だが――


 「……重い」


 空間の圧が変わる。


 視線を上げる。


 上。


 さらに上。


 何も見えない。


 だが、前とは違う。


 「……複数か」


 観測者が一つではない。


 増えている。


 【システム】


 ――観測強度上昇


 ――対象優先度:上位


 「……上がったな」


 扱いが変わる。


 “異常”から、“対象”へ。


 【エラー】


 ――分類不能


 ――再定義試行


 ノイズが増える。


 安定しない。


 「……無理だな」


 歩き出す。


 あえて。


 動きを変える。


 急に止まる。


 方向を変える。


 【システム】


 ――追従失敗


 「……遅い」


 だが――


 別の“何か”が動く。


 視界の端。


 空間の奥。


 わずかに“影”のようなものが揺れる。


 「……来たな」


 形はない。


 だが、輪郭がある。


 「……前のとは違う」


 観測ではない。


 “接近”だ。


 空間がわずかに歪む。


 周囲の音が引き延ばされる。


 「……触れる気か」


 一歩。


 踏み出す。


 距離を詰める。


 影が揺れる。


 反応する。


 【エラー】


 ――接触不許可


 「……許可か」


 制限されている。


 自由ではない。


 「……なら」


 さらに踏み込む。


 意識を向ける。


 外側へ。


 「……出てこい」


 その瞬間。


 影が一瞬だけ“形”を持つ。


 目。


 のようなもの。


 すぐに崩れる。


 維持できない。


 【エラー】


 ――表示失敗


 「……見えたな」


 観測ではない。


 “存在”だ。


 振り返る。


 人間たち。


 何も変わらない。


 気づいていない。


 「……差が広がってるな」


 再び上を見る。


 複数の“視線”。


 明確に。


 「……集まるか」


 【システム】


 ――観測対象固定


 ――監視継続


 「……固定されたな」


 逃げない。


 必要がない。


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 町の中。


 人の流れ。


 だが、違う。


 完全に。


 「……見てる」


 どこからでも。


 常に。


 「……いい」


 問題ない。


 「……むしろ」


 利用できる。


 視線を上げる。


 空間。


 向こう側。


 「――来い」

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