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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第16話「観測」

 通りを歩きながら、さっき感じた“上からの干渉”の残滓を辿るように意識を広げてみると、自分が空間の中に存在しているのではなく、逆に“空間の外側から見られている”ような違和感がはっきりと形を持ち始める。


 視線ではない。


 方向もない。


 だが――


 「……確かにいるな」


 立ち止まる。


 人の流れの中。


 そのまま。


 意識を上げる。


 上。


 さらに上。


 「……そこか」


 何も見えない。


 だが、感覚だけはある。


 観測されている。


 明確に。


 【システム】


 ――観測継続


 ――対象:未定義存在


 「……分かってないな」


 分類できていない。


 認識できていない。


 【エラー】


 ――識別不能


 ――再構築失敗


 ノイズが走る。


 断続的に。


 「……遅い」


 歩き出す。


 わざと。


 動きを変える。


 一歩。


 速度を上げる。


 【システム】


 ――追跡


 反応が来る。


 遅れて。


 「……見えてるか」


 止まる。


 急に。


 数秒。


 沈黙。


 【システム】


 ――位置補正


 「……ズレてるな」


 追いついていない。


 「……なら」


 もう一歩踏み込む。


 意識を“外”へ向ける。


 内側ではなく。


 外側。


 「……触れるか」


 瞬間。


 感覚が変わる。


 空間の“向こう側”に、薄く何かがある。


 形はない。


 だが、存在はある。


 「……いたな」


 その瞬間。


 【エラー】


 ――観測対象が観測者を認識


 ――処理不能


 ノイズが強くなる。


 文字が崩れる。


 「……見えたか」


 “向こう”が揺れる。


 明確に。


 観測が乱れる。


 焦点が外れる。


 「……弱いな」


 視線を戻す。


 人の流れ。


 通り。


 現実側へ。


 【システム】


 ――観測安定化


 ――再同期中


 遅い。


 追いついていない。


 「……干渉できないか」


 今の段階では。


 だが――


 「……見える」


 それで十分だ。


 男の視点。


 通りの中で立ち止まったまま何もない空間を見上げているその姿に違和感を覚えながらも、声をかけるべきかどうか判断が遅れ、そのまま通り過ぎてしまう自分の行動に妙な引っかかりを感じる。


 「……慣れるな」


 内側で整理する。


 観測されること。


 それ自体に。


 「……問題ない」


 今はまだ。


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 「……次は」


 視線を上げる。


 空間。


 上。


 向こう側。


 「――届くか」

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