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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第14話「支点」

 ギルドの前に立ったまま、人の出入りと会話の流れを俯瞰するように観察していると、これまで一点に集まり始めていた歪みが拡散に戻ることなく、そのまま“軸”として固定されつつあることに気づく。


 離れれば薄れる。


 近づけば強まる。


 その性質は変わらない。


 だが――


 「……安定してるな」


 揺れが減っている。


 崩れではなく、構造として定着し始めている。


 扉を開ける。


 中へ。


 空気が変わる。


 だが、昨日までの“乱れ”とは違う。


 途切れない。


 むしろ――


 「……繋がってる」


 「来たか」


 誰かが言う。


 自然に。


 まるで待っていたかのように。


 視線が集まる。


 複数。


 だが、警戒ではない。


 「……軽いな」


 抵抗がない。


 歩く。


 カウンターへ向かう。


 「今日はどうする?」


 受付が先に聞く。


 いつもより早い。


 判断を委ねている。


 「……適当でいい」


 返す。


 短く。


 「じゃあ、これなんてどう?」


 依頼を出してくる。


 選択が向こうから提示される。


 「……それでいい」


 決める。


 迷わない。


 処理が進む。


 流れが速い。


 無駄がない。


 「……依存してるな」


 振り返る。


 テーブル。


 複数人。


 「おい、あいつに聞け」


 誰かが言う。


 「どれがいいと思う?」


 質問が飛ぶ。


 こちらへ。


 「……右だな」


 短く答える。


 「分かった」


 即座に動く。


 迷いがない。


 「……従うか」


 別の場所。


 「さっきのどうだった?」


 「聞けばいい」


 判断が、自分を経由する。


 「……回ってるな」


 男の視点。


 自分で決めているはずなのに、気づけばあの存在の判断を基準にしており、それが不自然だと感じることなく“効率がいい”と納得している。


 違和感が、違和感として認識されない。


 「……消えたな」


 疑い。


 警戒。


 それらが薄れている。


 歩く。


 ギルドの中を移動する。


 動きが揃う。


 会話が繋がる。


 判断が速くなる。


 「……補正されてる」


 自分を中心に。


 全体が。


 「……便利だな」


 外に出る。


 通りへ。


 同じだ。


 人の流れ。


 音。


 匂い。


 だが――


 近くにいる人間の動きが揃う。


 判断が速くなる。


 「……範囲も維持してるな」


 子供が走る。


 転びそうになる。


 止まる。


 バランスを取る。


 転ばない。


 「……補正か」


 「……面白い」


 崩すこともできる。


 だが――


 整えることもできる。


 「……選べるな」


 視線を上げる。


 町。


 構造。


 人。


 「……中心だ」


 ただの存在ではない。


 支点。


 軸。


 「……回る」


 周囲が。


 勝手に。


 歩き出す。


 止まらない。


 迷わない。


 「――支配する」

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