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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第10話「混線」

 ギルドの扉を押し開けた瞬間、昨日と同じ空間であるはずなのに、配置や会話の流れがわずかに噛み合っていないように感じられ、その違和が実際の変化ではなく“認識の側で起きているズレ”だと直感的に理解する。


 席は同じ。


 人も同じ。


 だが――


 「……繋がってないな」


 歩く。


 人の間を抜ける。


 誰ともぶつからない。


 だが、視線が少し遅れる。


 反応がわずかにズレる。


 「おい」


 声がかかる。


 振り向く。


 男が一人。


 見覚えはある。


 だが、どこで見たかが曖昧だ。


 「昨日の話、覚えてるか?」


 問い。


 単純。


 だが、答えが揺れる。


 「……どの話だ」


 返す。


 曖昧に。


 男が眉を寄せる。


 「いや……ほら」


 言葉が続かない。


 記憶が引っかかる。


 「……あれだよ」


 説明になっていない。


 だが、本人は分かっているつもりだ。


 「……分からんな」


 短く返す。


 事実だ。


 「……だよな」


 男が苦笑する。


 納得していない。


 だが、諦めている。


 「……混ざってるな」


 内側で整理する。


 記憶が曖昧になる。


 繋がらない。


 テーブルの方を見る。


 複数人。


 会話している。


 だが、話の流れが不自然に飛ぶ。


 「でさ、あの時――」


 「いや、それ昨日だろ」


 「……そうだっけ?」


 噛み合っていない。


 時間。


 順序。


 「……混線か」


 男の視点。


 会話をしているはずなのに、どの話がいつのものだったのかが曖昧になり、さっきまで理解できていた内容が途中で途切れるような感覚に違和感を覚えるが、それをうまく言葉にできない。


 「……広がってるな」


 個体ではない。


 集団。


 全体。


 歩く。


 カウンターへ向かう。


 処理は同じ。


 問題はない。


 「今日は何にする?」


 受付が聞く。


 いつも通り。


 だが、声のトーンがわずかに不安定だ。


 「……適当でいい」


 返す。


 短く。


 「……適当って何よ」


 軽く返される。


 だが、視線が揺れる。


 「……何でもいい」


 繋げる。


 自然に。


 「……そう」


 納得していない。


 だが、流す。


 「……揺れてるな」


 全体が。


 振り返る。


 視線を流す。


 個体。


 複数。


 関係。


 「……崩れ始めてる」


 だが――


 「……まだ浅い」


 確信にはならない。


 崩壊でもない。


 「……なら」


 利用できる。


 拡げられる。


 外に出る。


 空気が変わる。


 通り。


 人の流れ。


 歩く。


 人とすれ違う。


 「……あれ?」


 通りすがりの女が足を止める。


 一瞬だけ。


 振り返る。


 「……何だっけ」


 呟く。


 思い出せない。


 そのまま歩き出す。


 「……来てるな」


 ギルドだけじゃない。


 外にも出ている。


 「……広がる」


 止まらない。


 空を見上げる。


 意味はない。


 ただの動作。


 「……いいな」


 この状態。


 この歪み。


 視線を戻す。


 町。


 人。


 構造。


 「――壊れる」

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