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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第8話「選択2」

 ギルドを出て人の流れに紛れたまま、さっきの会話の残響を頭の中で反復していると、個人の違和感が言葉を介して共有され、曖昧だった認識が少しずつ輪郭を持ち始めていることを理解する。


 完全ではない。


 だが、止まってもいない。


 「……広がってるな」


 放置すれば、いずれ確信に近づく。


 それは時間の問題だ。


 歩く。


 速度は一定。


 視線も自然。


 だが、思考は別の方向へ進む。


 「……二択か」


 抑える。


 違和感を消す。


 目立たない。


 埋もれる。


 支配する。


 違和感ごと利用する。


 流れを握る。


 個体を動かす。


 「……どっちでもいいな」


 どちらも可能だ。


 制御できる範囲にある。


 足を止める。


 通りの端。


 人の流れから半歩外れる。


 「……なら」


 「……両方か」


 抑えるだけでは遅い。


 支配だけでは露出する。


 「……混ぜる」


 結論が出る。


 曖昧ではない。


 明確だ。


 「……一つ、消すか」


 対象は決まっている。


 例の男。


 最初に違和感を拾った個体。


 歩き出す。


 ギルドへ戻る。


 迷いはない。


 扉を開ける。


 中へ。


 空気が流れる。


 視線。


 複数。


 だが、問題ない。


 「……いるな」


 例の男。


 いつもの位置。


 こちらを見ていない。


 だが、意識は向いている。


 近づく。


 自然に。


 流れの中で。


 「……少し、いいか」


 声をかける。


 軽く。


 警戒されない距離で。


 男が振り向く。


 目が合う。


 一瞬。


 「……なんだ」


 短い。


 だが、警戒はある。


 「……外で話す」


 それだけ言う。


 理由は出さない。


 だが、拒否させない。


 数秒。


 沈黙。


 「……いいだろう」


 男が立つ。


 ついてくる。


 「……動いたな」


 内側で確認する。


 誘導は成立している。


 外へ出る。


 通り。


 人の流れ。


 そのまま進む。


 「どこだ」


 男が聞く。


 短く。


 「……こっちだ」


 路地へ入る。


 人が減る。


 音が落ちる。


 「……用は何だ」


 男が止まる。


 距離を取る。


 警戒。


 当然だ。


 振り返る。


 視線を合わせる。


 外さない。


 「……お前、気づいてるだろ」


 先に言う。


 曖昧にしない。


 男の目が細くなる。


 「……何をだ」


 返す。


 だが、探っている。


 「……違うことだ」


 一言。


 それだけで十分だ。


 沈黙。


 空気が張る。


 「……やっぱりな」


 男が言う。


 確信が混ざる。


 「……何だと思う」


 問い返す。


 情報を引き出す。


 「分からん」


 正直だ。


 だが――


 「だが、普通じゃない」


 戻る。


 結論へ。


 「……そうか」


 それでいい。


 そこまでだ。


 距離を詰める。


 一歩。


 自然に。


 「……!」


 男が反応する。


 遅い。


 手を伸ばす。


 口を塞ぐ。


 引く。


 音は出ない。


 抵抗。


 一瞬。


 終わる。


 「……静かだな」


 問題はない。


 喰う。


 躊躇はない。


 情報が流れる。


 思考。


 観察。


 疑い。


 すべてが入る。


 「……近かったな」


 かなり。


 だが――


 届いていない。


 終わる。


 静かに。


 死体を見る。


 処理はしない。


 流れに任せる。


 路地を出る。


 人の中へ戻る。


 何も変わらない。


 ギルドへ戻る。


 扉を開ける。


 「……あれ?」


 誰かが言う。


 小さく。


 「さっきのやつは?」


 別の声。


 「……知らん」


 答える。


 自然に。


 「……そうか」


 流れる。


 完全ではない。


 だが、止まらない。


 「……一つ、消えたな」


 内側で確認する。


 視線を動かす。


 残りの個体。


 関係。


 流れ。


 「……これでいい」


 抑えた。


 同時に――


 「……動かせる」


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 「――次だ」

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