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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第7話「歪み」

 ギルドの中に入った瞬間、これまでと同じ空気であるはずなのに、わずかに“揃っていない感覚”が混ざっていることに気づき、それが環境の変化ではなく“認識の側の変化”によって生じているものだと理解する。


 視線の数は変わらない。


 会話の量も同じ。


 だが、その中に含まれる“質”が違う。


 「……広がってるな」


 カウンターへ向かう。


 歩く。


 動きは問題ない。


 違和感は出ていない。


 だが――


 「……見てるな」


 視線が止まる。


 外れない。


 複数。


 「おう」


 昨日の男が声をかける。


 軽い。


 だが、どこか引っかかる。


 「今日はどうする?」


 「……適当に受ける」


 曖昧に返す。


 深く入らない。


 「お前、いつもそれだな」


 笑う。


 だが、視線が残る。


 観察が混ざっている。


 「……そうか?」


 軽く返す。


 崩さない。


 別の男が口を挟む。


 「でもよ、あいつの指示、妙に当たるよな」


 軽い調子。


 だが、核心に近い。


 「……たまたまだろ」


 別の声。


 否定。


 だが弱い。


 「いや、何回か見てるけど、外してねえぞ」


 重なる。


 情報が共有されている。


 「……なるほどな」


 内側で整理する。


 個人の違和感が、会話を通して共有されている。


 「……歪んできたな」


 「なあ」


 また声。


 例の男ではない。


 別の個体。


 「お前、どこで覚えたんだ?」


 同じ質問。


 別の口から。


 繰り返される。


 「……忘れた」


 答える。


 同じように。


 理由も同じ。


 「頭打った」


 「またそれかよ」


 笑いが起きる。


 軽い。


 だが――


 「……本当か?」


 混ざる。


 疑いが。


 空気がわずかに重くなる。


 完全ではない。


 だが、軽くもない。


 「……証拠はない」


 誰かが言う。


 現実的な判断。


 「ならいいだろ」


 流そうとする。


 「……だが」


 別の声。


 止める。


 「変なのは確かだ」


 沈黙。


 数秒。


 完全には崩れない。


 だが、完全にも戻らない。


 「……面白いな」


 内側で思う。


 広がる。


 歪む。


 「……なら」


 選択する。


 「……抑えるか」


 露出を減らす。


 目立たない。


 流れに埋もれる。


 「……それとも」


 もう一つの選択。


 押す。


 利用する。


 支配する。


 視線を動かす。


 全体を見る。


 個体ではない。


 構造。


 「……まだだな」


 今は抑える。


 崩さない。


 カウンターへ向かう。


 依頼を取る。


 いつも通り。


 変えない。


 「今日は一緒か?」


 さっきの男。


 声をかけてくる。


 関係は維持されている。


 「……ああ」


 短く返す。


 崩さない。


 「……様子見だな」


 内側で決める。


 強く出ない。


 抑える。


 ギルドを出る。


 外へ。


 空気が変わる。


 歩く。


 人の流れ。


 音。


 匂い。


 「……広がる」


 止められない。


 自然に。


 「……だが」


 問題ではない。


 まだ。


 視線を上げる。


 町。


 人。


 構造。


 「――使える」

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