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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第6話「違和」

 森から戻る道中、さっきの戦闘の流れを頭の中で再構築していると、自分が出した指示とそれに対する周囲の反応がほぼ遅延なく噛み合っていたことに気づき、それが“連携”ではなく“制御に近い何か”へと変質していることを自覚する。


 声を出す。


 動く。


 結果が変わる。


 その一連が、ほぼ確定で成立している。


 「……早すぎるな」


 人間の範囲を越えている。


 「なあ」


 横から声。


 例の男。


 距離が近い。


 今までよりも。


 「さっきの、全部読んでたよな」


 直球。


 回りくどさがない。


 「……そうか?」


 返す。


 軽く。


 だが、視線は外さない。


 「違う」


 即答。


 迷いがない。


 「読んでるってより――」


 言葉を探す。


 一瞬。


 「動かしてる」


 結論に近い。


 空気が変わる。


 他の連中は気づいていない。


 だが、この距離だけが別だ。


 「……面白いな」


 内側で思う。


 ここまで来たか。


 「……買い被りすぎだ」


 言葉を返す。


 否定。


 だが、強くはない。


 「いや」


 男が首を振る。


 「普通じゃねえ」


 繰り返す。


 確信に近い。


 「……普通の基準は何だ」


 問い返す。


 曖昧にする。


 定義をずらす。


 男が黙る。


 一瞬。


 言葉が詰まる。


 「……分からん」


 正直な答え。


 だが――


 「でも、違う」


 戻る。


 感覚に。


 「……そうか」


 短く返す。


 それ以上は出さない。


 歩き続ける。


 止まらない。


 流れを崩さない。


 「なあ」


 再び声。


 しつこい。


 だが、自然な範囲だ。


 「お前、どこで覚えた?」


 「……何をだ」


 返す。


 質問で返す。


 「全部だよ」


 短い。


 だが、重い。


 沈黙。


 数秒。


 「……忘れた」


 答える。


 曖昧に。


 だが、断定的に。


 「頭打ったって言っただろ」


 理由を重ねる。


 既存の設定を使う。


 男が止まる。


 納得はしていない。


 だが、崩せない。


 「……チッ」


 小さく舌打ち。


 引く。


 完全ではない。


 だが、一歩下がる。


 「……惜しいな」


 内側で思う。


 あと少しで届く。


 だが、届かない。


 町に戻る。


 人の流れ。


 音。


 匂い。


 ギルドへ入る。


 視線が来る。


 だが、問題ない。


 カウンターへ向かう。


 報告。


 処理。


 同じ流れ。


 「今日はやけに静かだな」


 別の男が言う。


 空気が軽い。


 違和感はない。


 「……そうか?」


 返す。


 自然に。


 視線を感じる。


 例の男。


 やはり見ている。


 男の視点。


 目の前の存在は完全に溶け込んでいるように見えるが、さっきの戦闘での動きと指示の精度がどうしても頭から離れず、それが偶然や経験では説明しきれないと感じているが、証拠がないため踏み込めずにいる。


 「……残るな」


 疑いは消えない。


 むしろ強くなる。


 「……だが」


 問題ではない。


 まだ。


 外に出る。


 空気が変わる。


 人の流れ。


 歩く。


 止まらない。


 迷わない。


 「……近いな」


 気づかれる距離。


 露出するライン。


 「……調整が要るか」


 強さ。


 精度。


 それを抑える。


 視線を上げる。


 町。


 人。


 構造。


 「――均す」

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