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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第3章「擬態」

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第5話「操作」

 ギルドの入口付近で立ち止まり、人の出入りの流れを観察していると、誰がどの依頼に手を伸ばし、誰がそれを避けるのかという選択の癖がはっきりと見えてきて、それが単なる好みではなく“判断基準の差”として存在していることが理解できる。


 危険を避ける者。


 報酬を優先する者。


 仲間に合わせる者。


 それぞれが違う基準で動いている。


 「……揃ってないな」


 だから、誘導できる。


 掲示板の前に立つ。


 依頼書を眺める。


 だが、選ばない。


 「……動かすか」


 後ろに気配。


 さっきの男。


 声をかけてくる。


 「何見てんだ?」


 自然な流れ。


 予定通りだ。


 「……これだな」


 一枚を指で叩く。


 中型の討伐依頼。


 難易度は高い。


 だが、報酬も高い。


 「それ、ちょっと重くねえか?」


 男が眉を寄せる。


 警戒。


 当然だ。


 「……そうか?」


 軽く返す。


 否定しない。


 「お前ならいけるだろ」


 言葉を置く。


 自然に。


 評価を混ぜる。


 「昨日の動きなら問題ない」


 具体性を足す。


 男が止まる。


 考える。


 迷う。


 「……いや、でもな」


 まだ踏み切らない。


 「……無理ならやめとけ」


 引く。


 強制しない。


 選択を残す。


 沈黙。


 数秒。


 「……いや」


 男が息を吐く。


 「やるか」


 決める。


 「……そうか」


 短く返す。


 それでいい。


 「……動いたな」


 内側で確認する。


 押していない。


 だが、誘導はした。


 別の男が近づく。


 会話を聞いていた。


 「それ受けるのか?」


 興味。


 混ざる。


 「らしいぞ」


 さっきの男が答える。


 自分で決めた形になっている。


 「なら俺も行くわ」


 連鎖。


 増える。


 「……広がるな」


 予想通りだ。


 個体ではない。


 流れが動く。


 依頼が取られる。


 紙が消える。


 決定する。


 森へ向かう。


 複数人。


 同行。


 だが、主導は自分ではない。


 形だけは。


 「お前、後ろ頼む」


 指示が飛ぶ。


 自然な流れ。


 役割分担。


 「……分かった」


 受ける。


 逆らわない。


 戦闘が始まる。


 数が多い。


 強い。


 だが――


 「……見えるな」


 崩れる位置。


 流れ。


 すべて。


 前線が押される。


 男が一歩下がる。


 隙ができる。


 「右、空いてる」


 声を出す。


 短く。


 正確に。


 男が動く。


 迷いがない。


 指示に従う。


 流れが変わる。


 押し返す。


 「……効くな」


 判断ではない。


 指示。


 それで動く。


 別の敵が横から来る。


 「左、来るぞ」


 再び声を出す。


 反応が速い。


 さっきよりも。


 完全に頼っている。


 戦闘が終わる。


 静かになる。


 「助かった」


 男が息を吐く。


 視線が向く。


 「お前いなかったらやばかったな」


 評価。


 明確に。


 「……そうか」


 軽く返す。


 上げない。


 「次も頼むわ」


 依頼ではない。


 当然の前提。


 依存。


 「……どうだろうな」


 曖昧に返す。


 だが――


 拒否はしない。


 町へ戻る。


 人の流れ。


 音。


 匂い。


 「……成立したな」


 操作。


 指示。


 誘導。


 「……簡単だ」


 抵抗はない。


 疑問もない。


 視線を上げる。


 町。


 人。


 流れ。


 「――動くな」

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