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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第2章「侵食知性」

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第17話「ズレ」

 ギルドの中に足を踏み入れた瞬間、周囲の会話や動きが以前よりも滑らかに理解できるようになっていることに気づき、単語や意味だけでなく“流れそのもの”を捉えられている感覚が、明確な変化として内側に広がる。


 言葉が途切れない。


 繋がる。


 自然に。


 考える必要がない。


 「……来てるな」


 会話の処理速度。


 反応。


 選択。


 すべてが整っている。


 「おう」


 声がかかる。


 さっきの男。


 同じ位置。


 同じ流れ。


 「……昨日の話だが」


 言葉を出す。


 止まらない。


 「位置取りを間違えなければ、あの程度の数なら崩れる前に処理できる」


 説明する。


 自然に。


 違和感はない。


 はずだ。


 男が黙る。


 反応が遅れる。


 「……どうした」


 問いかける。


 自然に。


 だが――


 「……いや」


 男が首を振る。


 視線が外れない。


 「……変だな」


 空気がわずかに止まる。


 周囲の音は続いている。


 だが、この位置だけが切り取られたように静かになる。


 「……何がだ」


 返す。


 落ち着いて。


 「整いすぎてる」


 短い。


 だが、正確だ。


 「さっきまで、そんな話し方してなかっただろ」


 内側で思考が動く。


 原因は明確だ。


 補正。


 会話能力。


 それが――


 「……出たか」


 「……そうか?」


 軽く返す。


 否定はしない。


 だが、認めもしない。


 「違うな」


 男が言う。


 距離を詰める。


 「お前、変わりすぎだ」


 周囲の視線が少しだけ寄る。


 興味。


 違和感。


 まだ小さい。


 だが――


 「……危ないな」


 内側で判断する。


 「……昨日、頭打ったって言っただろ」


 言葉を出す。


 理由を置く。


 「それが抜けてきただけだ」


 繋げる。


 自然に。


 “回復”として処理させる。


 男が止まる。


 考える。


 否定する材料がない。


 「……」


 数秒。


 沈黙。


 「……あり得るか」


 小さく呟く。


 納得ではない。


 だが、否定もしきれない。


 「……そういうことにしとけ」


 言葉を重ねる。


 軽く。


 押す。


 「……今はな」


 男が言う。


 引く。


 完全ではない。


 だが、離れる。


 「……通ったな」


 内側で整理する。


 今回も問題はない。


 だが――


 「……やりすぎだ」


 補正しすぎた。


 完璧に近づいた。


 それが逆に異物になる。


 「……調整が必要だな」


 基準は“普通”。


 強さでもない。


 正確さでもない。


 「……曖昧さか」


 ギルドを出る。


 通りへ。


 人の流れに戻る。


 歩く。


 わざと迷う。


 視線を遅らせる。


 言葉を詰まらせる。


 「……こうか」


 不完全を再現する。


 人とぶつかる。


 少しだけ。


 「……悪い」


 反応を遅らせる。


 自然になる。


 「……これだな」


 整いすぎない。


 崩しすぎない。


 その中間。


 「……面倒だな」


 だが――


 「……必要だ」


 排除されないために。


 空を見上げる。


 意味はない。


 ただの動作。


 「……揺らすか」


 固定しない。


 毎回変える。


 それが一番見えにくい。


 視線を戻す。


 人。


 流れ。


 音。


 すべてが材料になる。


 「――均す」

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