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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第1章「異常個体」

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第17話「選択」

 ――足りない。


 それが、結論だった。


 岩の裂け目の奥。ほとんど崩れた身体を再生しながら、俺は静かに思考を整理していた。


 異形との戦闘。


 結果は、敗北に近い。


 通用はした。


 だが、勝てない。


 このままでは、いずれ確実に死ぬ。


 ……なら。


 変わるしかない。


 その認識が、迷いなく定着する。


 今のままでは限界がある。


 同じ枠の中で積み上げても、届かない。


 なら。


 枠ごと変える。


 そのための手段は、一つしかない。


 ――進化。


 その言葉が、はっきりと意味を持つ。


 そして。


────────────────────────

【システム】


進化条件:達成


────────────────────────


 来た。


────────────────────────

【システム】


進化可能です


────────────────────────


 静かに、だが確実に。


 段階が変わる。


 視界の奥で、表示が展開される。


────────────────────────

【システム】


進化候補を表示します


────────────────────────


 ――来る。


 選択。


 次の段階。


 そして。


────────────────────────

【システム】


進化候補:


▶ 『屍融喰スライム』

 死肉・腐敗物との親和性が極めて高い個体。

 腐敗領域での再生・増殖能力に優れる。

 持久戦・環境支配に特化するが、瞬間火力は低い。


▶ 『捕食侵食体』

 捕食能力を極限まで強化した進化個体。

 対象の構造・特性を解析し、取り込み速度を飛躍的に高める。

 戦闘性能は高いが、処理負荷が増大し暴走リスクあり。


▶ 『分裂擬態核体』

 身体分裂と擬態能力に特化した異常個体。

 複数の“自分”を同時に運用可能。

 情報収集・奇襲に優れるが、個体強度は分散する。


────────────────────────


 ……三つ。


 それぞれ、方向が違う。


 静かに、整理する。


 『屍融喰スライム』


 安定。


 環境に強い。


 生存特化。


 だが。


 遅い。


 あの異形には、届かない。


 却下。


 『分裂擬態核体』


 面白い。


 確実に強い。


 情報。


 奇襲。


 人間相手には有効だ。


 だが。


 “分散する”。


 つまり。


 純粋な突破力が足りない。


 あの異形には。


 やはり、届かない。


 そして。


 残る一つ。


 『捕食侵食体』


 ……危険だな。


 説明からして、分かる。


 処理負荷。


 暴走。


 すでに、経験している。


 あの状態。


 あれが、さらに強くなる。


 ……だが。


 その代わり。


 “届く”。


 あの異形に。


 人間に。


 その可能性が、唯一ある。


 静かに、思考がまとまる。


 安全か。


 生存か。


 それとも。


 ――突破か。


 選択は、一つ。


 最初から決まっている。


 強くなる。


 それ以外は、意味がない。


 なら。


 答えは、明確だ。


 『捕食侵食体』


 それを、選ぶ。


 その瞬間。


────────────────────────

【システム】


進化先を確定しました


▶ 『捕食侵食体』


────────────────────────


 視界が揺れる。


────────────────────────

【システム】


進化を開始します


────────────────────────


 身体が、崩れる。


 溶ける。


 分解される。


 構造が、書き換わる。


 内側から。


 根本から。


 ――変わる。


 意識が、沈む。


 だが。


 消えない。


 むしろ。


 はっきりしていく。


 思考が、加速する。


 だが今度は。


 崩れない。


 制御されている。


 ……なるほど。


 そういうことか。


 理解が、進む。


 前とは違う。


 ただの暴走ではない。


 これは。


 ――進化だ。


 その確信を最後に。


 意識は、完全に深く沈んだ。

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