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第31話 ご飯にする?お風呂にする?それとも……の、一番大切な部分を間違えているお隣さん3

 結局、安住さんはなにがしたかったのか? その真意は分からずじまい。


 まぁきっとわかったところでの理由なんだろう。深く考えることはない。『頭の弱い安住さんのしたこと(笑)』ぐらいに留めておくのが良い。いや、留めてく必要すらないか。うん、それが最適解。


 てなわけで夕飯の時間。こよりも合流し、三人でテーブルを囲む。


「あ、そういえば春秋さん、お弁当のメッセージちゃんと読んでくれましたか?」


 安住さんに言われ、俺はあの奇怪なメッセージを思い出した。


「読みましたよ、というか嫌でも目に入りますよあんなの」


「あんなの呼ばわりとは失礼なッ⁉ 私の睡眠時間を生贄に召喚した高レベルモンスター、じゃなくて、手間暇かけて完成させたものなんですよ? 苦労したんですよ? それを考慮した上で、果たして同じことが言えますか? 春秋さん!」


 朝早くからきた理由ってそれかよッ⁉ つかその生贄とやらに俺の睡眠時間も含まれてるんですがそのことについてはどうお考えで?


 くだらない理由で睡眠をさまたげらたことを知った俺は、安住さんに向かって吐き捨てるように返した。


「あんなので充分でしょ。あんなの」


「ぐんぬぬぬぬぅ――ダメです! あんなのなんて雑な呼び方じゃダメダメダメダメダメなんですぅ!」


 うっわ、なんだこいつ、だいの大人が気持ちわるッ。


 駄々をこねながら両腕を上下に振っている安住さんの姿はさながら幼児のよう。右手にフォーク、左手にスプーンを握ってるから尚更だ。


「なに、さっきからなんの話してんだ、おまんらは」


 と、ここで事情を知らないこよりがチンプンカンプンな顔して訊ねてきた。


「ごよりぢぁあああああああんッ! 春秋ざんがいじべでぐるよおおおおおッ! どおにがじでよおおおおおッ!」


「うわッ⁉ またかおまえッ!」


 恥も外聞も捨て、小学生のこよりに泣きついた安住さん。


 こよりの胸に顔をうずめようとしている安住さんと、それを引き剝がそうとしているこより。傍から見ればじゃれ合ってるようにしか映らない。


「私、頑張って作ったのにぃ! 眠い目こすって必死に作ったのにぃ! なのにぃ! 春秋さんが認めてくれないどころかぞんざいにあしらってくるよぉ!」


「だからなんの話をしてんのかってウチは聞いてるんだッ!」


「お弁当! 春秋さんに作ってあげたお弁当の話をしてるのお!」


「そうか! んじゃそのお弁当がどんなんだったかを具体的に説明してくれ!」


「説明するより見てもらった方が早い!」


「え? 実際にあんの?」


「写真だけどね!」


 そう言った安住さんはこよりから離れ、懐からスマホを取り出した。


 つか安住さん、いちいち声でけーよ。


「これです!」


「お、おん。どれどれ………………」


 突き出されたスマホをこよりは凝視している。


「こよりちゃんから見て出来栄えはどう? どうなの!」


「ど、どうって…………」


 安住さんに感想を求めら露骨にたじろぐこより。


 気遣いなんてらしくないぞこより。ぶちかましてやれ……「こんなの、あんなので充分じゃん」と!


「……い、いんじゃない?」


 噓つけえええええええええッ!


 こよりは困ったような笑みを顔に貼りつけ、安住さんに世辞を述べた。


「ほ、ホントに? ホントにいいって思ってる?」


「うん、おもてるおもてる」


「……ふ、ふふふ! だよね? だよねぇ!」


 こよりが棒読みで答えたのにも関わらず、安住さんは至極ご満悦の様子。毎日楽しそうでホント羨ましい限りですね。ええ、ええ。


 二人のやり取りを眺めながらそう思っていると、安住さんが流し目で俺を見てきた。


 な、あの表情は……こよりに褒められたぜどうよ? と言わんばかりのあの表情は――間違いない、完全に調子に乗ってやがる⁉

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