第24話 これっくらいの、おべんとばこにっ、の続きを忘れた父1
週がかわって月曜日。午前の業務を終え、昼休みを迎えた。
俺の通っている会社、いや現場と呼ぶ方が正しいが細かいことはどうでもいいとして、食堂がない。
基本的には弁当を持参か外で買う、もしくは契約している弁当屋に予め注文してもらい届けてもらうかのどれかだ。
外食は原則禁止。敷地内だったらどこで食べても構わないらしいが、ほとんどの人は事務所で昼食をとる。
ちなみに窓際に設置された長机が俺のいつものランチ場所だ。
「あれ? 松田君、珍しいね。自分で作ってきたの?」
右隣に座ってきた柏木さんが、俺の前にある弁当箱を見て、そう訊ねてきた。
「あぁ、えっと……娘がッ、娘が作ってくれたんですよ!」
「へぇ、こよりちゃんが? 偉いね」
「そうなんです、自慢の娘なんですよ! ハハハ」
と、俺は笑って誤魔化したが、実はこよりじゃない。この弁当は朝、安住さんに手渡されたものだ。
『あ、おはようございます! 春秋さん! 寝癖、凄いですね!』
『あぁ……はい』
『今日から朝食も作っていこうかなと思いまして! こよりちゃんはまだ寝てるんですか?』
『あぁ……多分、まだ寝てますかね。自分も起きたばっかなので』
『でしたね。あ、それと松田さんのお弁当も作っておきましたよ! はい、どぞ! なんか、カップルっぽいやりとりですよね……あっ、もうカップルでしたよね! キャッ!』
『あ、ども…………あの、一つ、いいですか?』
『はい! なんでしょ?』
『まだ、朝の5時なんですけど』
いつものならまだ寝てた時間だったというのに安住さんに電話で起こされ、重い腰上げて玄関を開ければ飯の話。
めちゃくちゃ助かるしありがたいんだけどさ、もうちょい遅くてもいいと思うんだよね。いやほん贅沢な悩みなんだけさ!
それと『インターホンはさすがに迷惑かな? と思ったので松田さんのスマホにモーニングコールかけまくりました! てへッ』じゃねーから! 気遣ってるように言ってたけどまるで気遣えてないから! 自己言及のパラドックスみたいになっちゃってるからッ!
とまぁ、朝っぱらからそんなことがありまして、今に至るわけですが。
「ここ、いっすか?」
「おう」
今度は左隣に水野が。柏木さん同様、興味の視線を俺の前方に注いでいる。
「どおしたんすかこれ、自分で作って――」
「それさっき柏木さんに説明した」
「それさっき説明したで終わらせんのは酷すぎですってッ! つか結局どっち? 松田さんが作ったんすか? それとも別の誰か?」
「さぁ、どうだろうな」と、水野をテキトーにあしらい俺は風呂敷を広げた。
「おお! 随分と気合が入ってるね。どれも美味しそう」
「ですね」
弁当箱は二段タイプの物で、一段目にはたくさんのおかずが詰まっていた。柏木さんの言った通りどれも美味そうだ。
料理の腕は優れてるんだけど他がなぁ……。
なんて思いながら俺は一段目をずらして二段目とご対面し――戦慄した。
『ハルアキさんダーイスキ! ハルアキさんは? あ! へんじはかえってきてからきかせてもらおっかな! こたえはすでにしってるけどね! プププ! ハルアキさんのカノジョ、アミより』
どうしてか、それは白米の上に刻んだ海苔で奇怪なメッセージが記されていたからだ。
なにこれえええええええええええッ! え、なにこれえええええええええええッ!
ここまで拝読いただきありがとうございます_(._.)_
この作品が面白い、続き気になるな~、と思っていただけたら幸いです(*´▽`*)
よろしければ、ブクマ、☆☆☆☆☆→★★★★★、お願いいたします(o・ω・o)
モチベアップに繋がりますので、何卒_(._.)_




