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配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
4 聖女を愛すると言うこと

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41 お兄様がお疲れな様なのでとても心配です

 デューイはローズが滞在する上で立ち寄ることが許されている場所を説明すると言って歩き出した。

 まずはローズの滞在部屋だ。もちろんローズは妃候補の令嬢としてこの城に滞在する間、毎晩塔の自室に戻る。それは安全上の理由もあるが毎晩欠かさず行っている聖女としての祈りや舞いをするためだ。だが表向きは妃候補だから滞在部屋を用意しないわけにはいかない。

 ローズの滞在部屋はもちろん立派なものが用意されていた。そして今朝、城に運び込まれた彼女の『私物』と言う名のデューイからのプレゼントで部屋は埋め尽くされていた。メイド達がせっせと荷解きをしていたが果たして今日中に片付くのだろうか?

 俺は異常がないか部屋を一周しながら細かく部屋を見て行く。なにか危険なものが持ち込まれていないか?一番気をつけなければならないのは隠しカメラや盗聴機の類いだ。これはもちろんローズやデューイを狙っている他国の者によるものと、ローズへの好奇心をおさえられない者によってしのばされる可能性がある。まぁ俺が想像するにヴァルデロスの城にそう容易く他国の者の侵入など許さない。危険なものが入る可能性は少ないだろうが、だからと言って後者も可能性は少ないと思っている。なにせデューイの妃の座を射止めたい人間は多いのだ。ローズのことを知りたい人間は多いだろう。

 だがいくらおさえられないほどの好奇心があろうと、この城で働くものはヴァルデロスに忠誠を誓っている。裏切り行為などあり得ないと言っていいほど審査は厳しいものだ。魔法によって監視もされているだろう。いくら妃の座を掴みたくても捕まるような真似をするバカは少ないだろう。

 俺が心配しているのは第3の可能性…デューイ(シスコン)だ。こいつは何をしでかすか分かったもんじゃない。


 俺が部屋の中を確認し始めると、デューイはわざと俺から距離をとるようにローズを誘導し優しく話しかける。

「ローズ、今日の君のドレスはとても似合っているよ。まるで朝露輝く草原の中の女神のようだ。だが君の他のドレスもとても素敵だね」

 そう言いながらローズの私物(ローズへのプレゼント)であるドレスを見せている。どれもこれも豪華すぎるドレスで今着ているローズのドレスとは比べ物にならない。

 沢山のフリルやリボン、ビーズがちりばめられて…まさかビーズじゃなくて宝石なんてことはないだろうな?!

 どれもこれも重そうだがそれらはとても上品にまとめられている。おそらく…いや、絶対に凄腕の人気デザイナーに作らせた品に違いない!

 今着ているドレスでさえ着ることに抵抗があったのにこんなに豪華なドレスやジュエリーをつけられるのだろうか?

 こんな派手なことをしては目立ちすぎる!まったく…人の仕事を増やすのが得意な奴め!

 あらかた確認をしたが怪しいものは出てこなかった。念のためこの荷物が全て片付けられ終わってからもう一度見直し、その後は結界を張ろう…、そう考えながらローズの顔色を確認すると案の定顔が青白くなっている。

 俺はデューイとローズの前に跪くと、

「ローズ様、どうやらご体調が優れない様子ですが一度休憩されますか?」

 するとローズはコクっと小さく一度だけ頷いた。ローズのその反応を見ると舌打ちをしたい気分になる…、一度しか頷かない時は『話をちゃんと聞いていない』か『納得していないか』だ。今回は前者だろう…。俺が思っている以上に体調が優れないために話をきちんと聞けていないのだ。

 本当に俺の仕事を増やしてくれるシスコンめ!

 俺がデューイを見るとデューイは頷きながらメイド達に向かって、

「申し訳ないがローズ嬢がお疲れのようだ。荷解きは一度中断して退出してくないか?」

 デューイの指示が飛ぶとメイド達は一斉に手を止めて部屋を出ていった。数人はチラチラとローズを、そしてほとんどのメイドはデューイ…そして最後に俺にまで熱い視線を向けていた。

 メイドは近衛騎士団と結婚できれば御の字だがデューイに近づきたい者も少なくない。実力が物を言うこの国では平民の俺にでさえ熱い視線が寄せられるのだ。まだなんの称号も貰ってはいないがアカデミーでも特待生でずっとデューイの側にいたし、今ではデューイの客人である令嬢の護衛をしている。近衛騎士団よりも上等な制服まで着ている俺は彼女たちから見れば将来有望な人物に見えていることだろう。今のうち唾を付けておきたいと言ったところか?

 そんな積極的な彼女達と比べるとローズはとても謙虚…どころか欲がない。獲物を探すような視線をしないどころか、彼女たちの視線の理由もローズは分かっていないかもしれない。

 部屋からメイドがいなくなるとデューイは糸が切れたかのように椅子に腰かけた。

「まったく…。メス豹の様な目に見られるのは肩がこるな…」

 俺と同じようなことを感じていたのだろう。いや、俺以上か?この国ではシンデレラストーリーがあり得る話しだから遠慮する者もいないのだろう。例え妃候補が目の前にいたとしてもそれは変わらないと言ったところか?

 ローズはデューイの前にしゃがむとデューイの手を取り心配そうに顔を見上げる。

「お兄様、大丈夫ですか?」

 デューイの手を握る手が淡い光を帯びている。神聖力でデューイを癒しているのだろうが、何をしているんだか…。回復しなければいけないのはデューイではなくてお前の方だろう?

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