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配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
3 不健康聖女
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31 みんなが仲良くなることはいいことです!

 ここでローズをこのまま寝かしつける訳にもいかない…、俺の面目丸潰れだ。

 だがローズの可愛さに負けているのも事実で、俺は自分でも驚くほど優しく彼女の背中をポンポンと叩きながら、

「おい、ローズ。せっかくここまで歩いてきたんだからこのまま起きろよ!一緒に朝御飯食べようぜ?」

と耳元で囁いた。

 ローズは『ん…』と少し体を動かしたがまったく起きる気配がない。

「起こそうとしてるの?それとも寝かしつけようとしているの?」

 ジト目で白兎が俺を見つめてくる…。そうだよな、言葉では起こそうとしているくせに背中をポンポン叩いているのはまるで赤ん坊を寝かしつけているみたいだ。

 どうもローズが本当のかわいい妹みたいに思えて強い態度に出れない時がある…。それに俺が軽く叩いただけで骨が折れてしまうんじゃないかって不安になっちまうくらいふわふわして小さいんだ。手加減が難しい…。

『…別に甘やかしているわけじゃない!』と心のなかでいいわけをしながら、首に回されていたローズの腕を優しく解き、頬を軽くペチペチ叩いた。…柔らか!!、女の子のほっぺたってこんなにぷにぷにしてんのか?!

 ローズがあからさまに嫌そうな顔をして眉間にシワを寄せたので俺は続けた。

「ほら起きろよ!」

 俺は軽々とローズを抱えたまま立ち上がると、彼女を床に下ろした。さすがに立たされたローズは目を開けるしかない。まだ焦点の合わない瞳で視線を泳がせたり目を擦ったりしている。

「あれ…?白兎も氷狐も…何してるの?」

 ローズは不思議そうに俺たちを見て首をかしげた。目の焦点は合ってきたがまだ脳みそは半分寝ているみたいで、状況を把握できていないというより思考回路が働いていないように見える。

 ポケ~っとした表情が…かわい……、と思わず口から出そうになる。だがなんとか堪えた。今思ったの絶対に口に出すなよ俺!言ったらなんか負けな気がする。一生、氷狐にバカにされそうな気がする!

「コイツらがどうしてもお前を『寝かせてやってくれ〜』ってうるさいからさ、話を聞いてたんだよ」

「ローズを寝かせて何が悪い!」

「寝るのが悪いんじゃなくて昼過ぎまで起きないのとちゃんと食事取らねぇで不健康なぐうたら生活おくってんのがダメだって言ってんだよ!」

 俺と氷狐は言い争いを続けてた。どうもこの狐と俺は相性が悪いらしく、言うこと全てが癪に障る。

 ローズは白兎を抱き上げると胸のところで撫でてやりながら苦笑いをする。

「まぁ確かに不健康だよね。でもなんで氷狐は怒ってるの?カデル様の意見は間違ってないと思うけど?」

「氷狐はローズが『ぐうたら』だの『ニート』だの言われたのに怒ってるんだよ。まぁ端から見たらそう見えると思って説明しようとしてたところだんだけど。

ねぇローズ、カデル殿にきちんと話をした方がいいって僕は思うんだ。だからカデル殿を部屋に入れようじゃないか?見てもらった方が早いだろうし、説明だけじゃ信じてもらえないだろうし」

「えっ?部屋にいれていいの?」

「話したところで信じないだろ?主が勘違いされたままなのも契約聖獣としては黙っておけないし」

 俺と氷狐が言い争っている間にローズと白兎が話を進めているのに気がついて、俺は振り返った。

「えっ?部屋に入っていいのか?部屋に入られるのあんなに嫌がってたじゃねぇか?」

 だが俺の質問に答えたのは氷狐だった。タッと走りだしローズの部屋の扉を閉めて小さな体で押さえながら、

「俺は反対だ!神聖な部屋にこんな下等な人間を入れるだなんて――」

そこまで言って氷狐の顔が青ざめた。ローズを見ると今にも泣きそうな顔で氷狐を見下ろしている。

「氷狐…今…なんて…?か、下等?」

 ローズの声が震えている。俺はデューイの言葉を思い出した。『絶対に泣かすな』…やべぇ、大事な妹を泣かしたってデューイ(シスコン)に知られたら殺される!!

 だが俺よりも焦っていたのは白兎と氷狐だった。白兎はローズを慰めるように頬を舐め、氷狐は俺の胸にいきなり飛び込んできやがった。反射的に氷狐を抱き留めた俺は完全に狐につままれた状態だ。

「い、今のは取り消す!ごめんごめん!カッとなって言いすぎちまった!ほら、見てくれよ!ローズが寝ている間に俺たちこんなに仲良くなったんだぜ〜!」

「ほらほら、泣かない泣かない!カデル殿を部屋に入れて差し上げよう!カデル殿はもう僕たちの仲間なんだから!」

 俺は耳を疑った。『仲良し?』なんの話だ、俺はこんな生意気狐と仲良くなった記憶はないんだが?

 だが氷狐はローズに見えないように後ろ足で俺の腹を蹴飛ばし小さな声で『撫でろ!』と言ってきた。どうやら『仲がいいアピールをしろ!』ってことなんだろう…。しかたなく俺は氷狐の頭をぎこちなく撫でながら、

「お、俺もちょっと口が悪いところがあるからな…。勘違いさせちまったよな〜、すまんすまん」

 ローズはなんとか涙を流すのを持ちこたえたのか小さな声で、

「本当にカデル様をお部屋にいれていいの…?」

と呟く。

 この状況から察するにあれだけローズが『部屋にはいるな』と意思表示をしていたのはこの2匹に反対されていたからだと言うことは推測できた。俺はローズの部屋の扉をチラリと見た。

 さっき氷狐が『神聖な部屋』って言ってたな…。ただの自室じゃねぇってことなのか…? 

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