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配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
3 不健康聖女
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28/36

27 聖女の辞書に悪役は存在いたしません

[Snow White つづき…]

 女王様は魔法の鏡を持っていました。女王様が

「鏡よ鏡…、世界で一番綺麗なのはだぁれ?」

と、問うと鏡は答えます。

「世界一美しいのは女王様です」

「…私なの?…、じゃぁ一番かわいいのはだぁれ?」

「世界一かわいいのは白雪姫です」

すると女王様は飛び上がって喜びます。

「そうよね?!やっぱり白雪姫よね!でもあの子はかわいいだけじゃないのよ!心もとっても清らかな子なの! この前なんて――


 と、ここから女王様による長い長い白雪姫の自慢話が始まった。

 だいぶ溺愛してるじゃねぇかよ!!これで本当に狩人に暗殺を依頼したり、白雪姫が逃げて七人の小人の家に逃げ込んだり、女王様に毒リンゴを食べさせられるようなことになるのか? と、疑いつつ本を読み進めていった。

 そして本を全て読み終えた頃、俺は疲労感に包まれていた。

 ストーリーは血の繋がらない継母(女王様)と白雪姫の家族の愛の物語だった。最後まで女王様は白雪姫を溺愛して育て、毒リンゴなど存在しない。 七人の小人とは2人で行ったお忍びのピクニックで出会う。白雪姫が夏休み中に七人の小人の家にホームステイしたいと言えば快く承諾し、護衛として狩人を雇始末…。 そこで白雪姫がつまみ食いしたリンゴに喉をつまらせて、それを助けた隣国の王子様と結婚し、女王様と別れるシーンでは血の繋がりの無い故のこれまので不安や、葛藤を涙ながらに告白し、それでも本当の母親のように接してくれた白雪姫に感謝を伝える。そして『あなたの継母(母親)にしてくれてありがとう。とても幸せな時間をくれてありがとう』と伝えるのだ。 白雪姫も終始いい子で『血が繋がっていなくてもお母様は本当に大切はお母様です!私にたくさんの愛を教えてくれてありがとう』と言って抱き合ってお話は終わる…。

 この物語の教訓は『血が繋がっていなくても家族としてお互いを大切にすることはできる』ことと『つまみ食いをしてはダメ』…ってところか?!

  俺は思わず立ち上がって叫んだ。 「いや違う!これは俺の知っている白雪姫じゃねぇ!!!」

 目の前で本を読んでいたローズは俺の叫び声にビクッと跳ねて驚いた様子で、

「す…、素敵なお話でしたでしょう?」

と呟く。

 俺は立ったまま机に手を付き、

「素敵なお話過ぎるんだよ!女王が変身した醜い老婆はどこに行った?!毒リンゴは?!」

「老婆?毒リンゴ?なんのことですか?」

「原作知らないのかよ?!」

 俺は 思わずテーブルをひっくり返そうとテーブルをつかんだがなんとか思い止まる…。そして本をひっくり返し最後のページを確認した。

「出版社はどこだ?こんなふざけた本を作ったのは!!」


[Snow White]

ヴァルデロス建国1688年作品

監修  デューイ・ヴァルデロス

使用宝石  ルビー・ダイヤモンド・ガーネット

ヴァルデロス貯蔵庫・ヴァルデロス図書館ならびにヴァルデロス城以外への持ち出しを禁じる


 デューイ…お前の仕業か?!!!… 俺はうなだれるように椅子に座った。

 本物の宝石が表紙に使用されているからこんなに重たくて、デューイの手によってかなり着色されているストーリーってことか?

 不思議そうに俺の顔を覗き込むローズを俺は目を細めて見つめ返すと、

「そのシンデレラはどんな話なんだ?」

「あまりネタバレはよくないかと…」

「大丈夫だ。白雪姫を読んだ時点でこの話には山も谷もないことは分かっている」

「山…?あぁ、ピクニックに行ったのは森でしたものね!そうですね、山や谷が出てくるお話はなにかあったかしら…」

「そう言う意味じゃねぇんだよ!」

 俺はローズが机の上に開いていた本を取り上げて開いてあったページに目を通した。

 シンデレラがみすぼらしい服装のまま継母と義姉達と始めて出会うシーンだ。 …よし、この話は少しまともかもしれない!ちゃんとシンデレラがいじめられていそうだと、思った俺の予想は次の行ですぐに打ち砕かれる。


[CINDERELLA]

「まぁ、シンデレラ!ここでそんなみすぼらしい格好しないで頂戴!あなたは使用人ではないのよ! お母様、私の服をシンデレラに貸してもいい?」

 義姉がお願すると継母は怒ります。

「なんてことを言っているの?あなたの服なんて着せてはダメよ!それはあなたのために作られた服でしょう?」

 継母はメイドに命じます、

「今すぐ国一番の仕立て屋をつれて来なさい!この子にぴったりな服を大至急作らせるのよ!」

義姉2人は大喜びです!

「そうねお母様!シンデレラの服を大至急作らせましょう!…どうかしら、シンデレラにはブルーが似合うと思うんだけど…」

 すると継母はまた怒り出します。

「何を言っているんだい!この子はどんな色でも似合います!シンデレラ、自分がほしい色のドレスをオーダーしなさい!遠慮したら夕飯は抜きですからね!」


「やっぱりな!そう来ると思ったぜ!」    

 俺はそこまで読むとローズに本を返した。ローズはまた不思議そうに首をかしげて、

「もういいのですか?こちらも読みたいのであれば――」

俺は首を横に振りながら、

「ローズ…、たしかサンタさんにお願いしたらなんでも届けてくれるんだったよな?こんど本をお願いしてみたらどうだ?」

「んん~、でも一度『新しい本』をお願いしたらお手紙が入っていたんです。『ヴァルデロス王家検閲済みのプレゼントしか不可能な為、書籍に関してはお兄様にお願いしてください』って…」

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