21 妹
窓に近づくだけで冷気を感じた。結界と目隠しの術式まで練り込まれているなかなか高度な魔法だ。あのデューイが時間をかけて作っただけのことはある。
だがそれが裏目に出てしまったのだろう。この窓にはデューイの魔力が強く残りすぎてしまい、冷気を発したりローズに影響を及ぼしてしまっているんだろう。
「まったく困ったお兄様だぜ…」
下手に俺が魔法を上書きしてしまったらこの繊細が魔法を傷つけてしまいそうだ。俺は応急処置として室内側だけ冷気と魔力が来ないように結界で覆った。
「数日もすればこの窓も冷気を発したりはしなくなると思うから数日の我慢だな…。
どうだ?寒いのはおさまッ…?!」
振り向いてローズを確認すると、彼女はソファの上でスヤスヤ…。
「なんだよ、さっきまで凍えてたくせにもう寝てるのか?」
俺はローズの横まで歩みより彼女の手や額に触れて体温を確認した。さっきみたいに冷たくはないし、どちらかと言うと温かいくらいだ。
魔法の影響を強く受けやすいのであれば今俺が窓に張った結界の影響も受けてしまうだろうと思って極力炎魔法は使わない結界にした。
少量の炎魔法は俺の属性上どうしても出てしまうが寒がりのローズにはちょうどいいくらいか?一応最低限の処置にしたからデューイの魔法ほど影響はないとは思うがこればかりはやってみないとわからない。そもそも魔法の影響を受ける奴なんて始めて見たんだ。
「経過観察ってところだな…」
髪をガシガシかいて呟くと、俺は彼女を抱き上げようとしてすぐに手を引っ込めだ。
本当であれば彼女の部屋に連れていってベッドに寝かせてやりたいが、「私の部屋には入らないでください」とさっき言われたんだった…。
まぁ初対面の男を部屋にいれるなんて抵抗はあるだろうから仕方ないか…、めんどくせぇな。
さっき剥ぎ取って床に捨てたローブを拾い上げてローズに掛けてやる。こんなところで寝ちゃうだなんて…もう少し警戒心もてよ?
ソファの向かいに椅子を移動して座ると見守ると言うていでかわいい寝顔を見下ろす…。デューイが溺愛するのがわかるかわいい寝顔だ。幼くて守ってやらなきゃいけない気持ちになる。
「妹が生きてたらこんな感じだったんだろうな…」
たまに顔にかかっるローズの髪を避けてやったり額や首筋に触れて熱を確かめる。デューイには悪いが兄妹の真似事をしている気になる。
「アイリス…」
妹の名を呼んでハッとする。頬に伝うものを感じて慌てて拭う。
感情移入はよくない。ローズと妹を重ねるのはダメだ、彼女は護衛対象だ。頭を撫でたのも優しくしてるのもそれは護衛対象者として関係性を築きたかったからだ。
俺は背中を丸め項垂れ、
「初日からいろんな意味で疲れたな…」




