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配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
2 小さな聖女

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18/21

17 嫌われ護衛騎士

 デューイは窓から外を見ていたローズをぎゅっと抱き締めると、

「そろそろ僕も仕事に戻らなければならない。カデルとまずは仲良くなるところからだ。安心するんだよローズ、カデルは口は悪いが根はいいやつだ」

 デューイはそう言うとさらにぎゅっとローズを抱き締めた。ローズは少し困った様子でクスリと笑って、

「お兄様、ちょっと痛いです…」

 デューイは名残惜しそうに体を離すとローズの額に軽くキスをして部屋を出ていった。デューイは終始シスコン全快だったがローズは最後心なしか元気がないように見えた。唯一の肉親にさえ自由にあえず、会えたとしても短時間…それ以外はずっと一人ぼっちでの生活だったのだ。いくら慣れていると言っても寂しい物なのかも知れない。

 デューイが部屋を出てゆくとローズはやはり落ち込んだ様子で俺を見上げて少し低い小さな声で、

「カデル様のお部屋へご案内しますね」

そう言って部屋の扉を一つずつ指差してゆく。

「まず隣のお部屋の温室ですがあそこの植物たちのお世話は不要です。私が行いますので。そちらのと扉がお手洗いでその横の扉がバスルーム。向かいの扉が私の寝室で、こちらがカデル様のお部屋です」

 デューイがいた時は可愛らしかった癖に急に、今はクリッとした丸い瞳も細くなりたんたんと喋りだす。

 デューイがいなくなるとこんなものなのだろうか?俺に対する人見知りか、それともこの塩対応とも言える態度が彼女本来の姿なのかはわからない。

 ローズは俺の部屋だと言った部屋の扉を開いた。木製の扉は俺にはやはり少し小さくてまた俺は身を縮めるようにして入った。

 塔の中の部屋なのであまり期待はしていなかったが実家の俺の部屋より遥かに広く、俺がデューイに頼んでおいた大きなベッドも置かれていたが狭いとはまったく感じなかった。

 おそらく空間魔法で部屋は広くされているのだろう。

「奥のウォークインクローゼットには制服等がすでに準備されていますので自由に使ってください。私は今後この部屋に入るつもりはございませんので自由にすごしてくださいね。お兄様もおっしゃっていましたがこの部屋の…塔自体がセキュリティはバッチリで。護衛は不要ですから」

 やっぱりデューイがいた時とはだいぶ違う話し方だ。最低限の業務連絡をたんたんとされている気分になるし、避けられているような気もしてくる。俺は頭をかきながら、

「もうそろそろ昼飯時だしなにか作ろうか?スイーツでもスープでもなんでも作れるぜ?」

 俺は意識的に優しい口調で話しかけた。

 デューイも言っていたが護衛をするためには相性はとても大切だ。護衛対象者に避けられているようでは護衛なんてできないし信頼してもらえないといざと言う時に俺の指示は聞いてもらえない。

 しかしそんな俺の気も知らずに、

「結構です。お腹はすいておりませんので。本日は初日ですし、カデル様もお疲れでしょうからごゆっくり休まれてください。それでは」

 ローズはそう言うとドレスを少しつまんでお辞儀をする。そして俺と目もあわせずに足早に部屋を出ていってしまった。

 俺は天を仰ぐようにして大きなため息を着いた。ひどい嫌われようだ…、さっきまではあんなに可愛らしくコクコクと頷いてくれていたと言うのに。あれはデューイの前だけの演技だったらしい。

「年頃の子はよくわかんねぇな…、いや、年頃じゃなくても女はよくわかんねぇな」

 俺は持ってきていたバッグをベッド横の床に転がすとウォークインクローゼットを開けた。制服が何着がハンガーに掛けられている。動きやすそうなものから生地のしっかりした戦闘用、パーティー用だろうか…正装まで用意されているがこれは当分着なさそうだな。

 俺は一番身軽に動けそうな服を選んで着替えた。黒いパンツに黒いシャツを羽織る。部屋を歩き回るのであればこれくらいでいいだろう。俺のぴったりなサイズに用意されているのはありがたいが、ここでは運動不足になってすぐに太ってしまいそうだ。自室でトレーニングをするしかないが実戦に勝るものはない。感覚を忘れないようにやり方は工夫した方が良さそうだな。

 それよりも優先すべきはローズとの関係の構築だ。デューイとは気心が知れた仲だが、今のローズには完全に距離を置かれてしまっている。この塔のなかでは安全は確保されているし、よくわからない大男に近くをうろちょろされたくないのも頷けるが俺にとっては大事な仕事であり任務だ。なれてくれないと一生2人とも外に出られないし俺の存在意義がなくなる。

「俺からコミュニケーションをとってくしかねぇよな…」

 俺は自分に言い聞かせながらドアノブをまわ…あれ?回らねぇ!!

 俺は片手でドアノブをまわそうとするが全く回らねぇ!!カチャカチャと小さく音がする程度だ…、俺はドアノブを握りしめたまま空いている方の手でドアをドンドン叩き、

「おい!鍵閉めたろ?!!」

 するとドアの向こうからローズの声がする。

「その扉には鍵はありませんから気のせいではないですか?」

「は?!気のせいだと?ドアノブがまわんねぇんだよ!」

「さぁ…建て付けでも悪いのではないですすか?」

 建て付けが悪いだと?

 確かにドアにはシルバーの丸いドアノブがついているだけだ…。鍵のかかるような音もしなかった。だが実際にドアノブが回らないし、これは間違いなく故意的にされたもので容疑者も犯人も1人しかいない。

「ひでぇ嫌われようじゃねぇか…。上等だぜ」

 俺のバカ力をみくびるんじゃねぇぞ!

声的にドアからはだいぶ離れていそうだ。

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