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配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
2 小さな聖女

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16 外の世界

「よし!そうと決まれば模様替えだ!」

 デューイは急に立ち上がり壁に向かって手を伸ばした。その横でローズは嬉しそうに、

「お兄様うんと大きな窓にしてくださいね!」

 俺は意味がわからず立ち上がり、

「おいおい、急に模様替えってなんのことだ?」

 ローズは俺の腕を掴みデューイから距離をとる。俺のことを引っ張る力はとても弱く触れられていることも疑ってしまうような感触だった。俺が鍛えすぎてしまったのかローズが非力過ぎるのかはわからないが一応引っ張られるようにしてデューイから離れた。

「せっかく私専属の護衛騎士様ができるのですからこの部屋のセキュリティも少しは緩めてもいいのではないかとお兄様にお願いしていたのです!カデル様が護衛騎士になってくださったあかつきにはお兄様に窓をプレゼントしてほしいと…!私はなれていますがカデル様は外も見られないような生活が続いてしまったらきっと息が詰まると思いましたので!」

 ローズは嬉しそうに頬えむ。心なしかローズのまわりが淡い光で包まれているようにも見えるがこれは神聖力の影響だろうか?

「そんな簡単にセキュリティ緩めていいのかよ?いいのか、窓作っちまって…」

 デューイの両方の手のひらから氷の粒が舞い始める。雪ではなく小さな氷の結晶だ。その氷の粒がゆっくりと窓を作り上げ徐々に外の光を感じられるようになってきた。デューイは振り替えることもせずに時間をかけて丁寧に窓を作ってゆく。

「安心してくれたまえ、外を見れるようにするだけで窓からの侵入はできないように魔法をかけておくよ。もちろん中からも開けることもできないし、外からみることはできない窓だけどね」

 俺としては窓もないもぐらの生活なんて耐えられないから窓があるに越したことはない。今までずっとここに閉じ込められていたローズはよく耐えきれたと思うくらいだ。

 俺は腕組みをしてデューイの作業を見守りながら、

「これまでは誰がローズの護衛をしていたんだ?お前だってアカデミーにいたわけだし、つきっきりで護衛はできなかっただろう?」

 デューイはも作業の手は止めずに、

「そもそもここのセキュリティは万全のつもりなんだ、だからこの部屋にいるときは目を離してもさほど問題はないさ。君を護衛にしたのはこの部屋での護衛強化のためではなく将来を見据えてのことだよ。いつかはローズを自由に外に出してやりたいと思っていたし、聖女としてもつとめを果たしてもらいたいしね」

 と言うことはいつか浄化の任務もあるかもしれないな…。今までの訓練は無駄にはならなそうだ。

 それにプリンセスとしての公務もあるかもしれない。だが俺は平民だし女の社交界については知らないことも多いからだそこは少し不安が残る。この部屋にいる間に少し予習しておく必要がありそうだ。

 窓が出来上がると自然光が入ることによって部屋の明るさが増した。そとを見るとここはヴァルデロス城の塔の中のひとつだと言うことがわかった。ずいぶん高いところまで螺旋階段で登っていたことに気がつく。

 ローズは窓に触れたがすぐに手を離す…始めてみる部屋からの外の景色が思いの外高くて怖かったのだろうか小さく震えている。

「外はこんなにも明るくて、国はこんなにも広いのですね…」

 初めて見る景色にローズはなにを思っているのだろうか?俺の頑張りひとつで彼女は今後たくさんの世界を見に行くことができるのだろう。この塔に閉じ込められていた15年間では味わうことができなかった体験や経験を早くさせてあげたいと今は思う。

 ローズの表情を見て満足したのかデューイは俺を見上げ、

「まずはお互いに慣れるところからだ。護衛騎士は護衛対象との相性も大事だからね。それが終わったら少しずつ城や庭に出て、時がきたらローズのことを国民に公表する。社交界へは最低限の参加になるが浄化任務に当たれるような体力作りもしてくれ」

 ローズはまだ外を見ている。よほど外の景色が気に入ったのだろうか。今は初めてみる外の景色を堪能させてあげたいから邪魔をするのはよそう。俺はデューイに向かって、

「なにか注意事項はないのか?聖女を相手にするのは初めてだからな、参考程度でもいいから教えてくれ」

 するとデューイは真剣な表情で俺を見上げ

「ひとつだけ…絶対に泣かすな」

 …なんだよ泣かすなって。大切な妹を泣かせたらもしかして氷漬けの刑か?!それとも泣いて暴れるのか?俺には妹はいないし恋愛もしたことがない、だから女の扱い方はよくわからないぞ?

 そこで俺はふと気がついた…。デューイはシスコンで間違いないだろう。ならばなぜ俺のような男に白羽の矢が刺さったのか?

「お前さ…かわいい妹の横に年頃の男をおいとくのって不安じゃねぇの?」

 するとデューイはキョトンとした顔で俺を見上げ、

「君の僕への思いに気がついてないとでも?」

「は?!」

 確かに…お前の妖艶さに当てられていたのは事実だ!お前のせいで普通に恋愛できなかったことも認める!!だがな…俺はお前を恋愛の対象として見たことは一度もねぇんだよ!

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