15 決断
神聖力、それはその名の通り神によりあ耐えられた神聖な力で魔法とまったく違うものだ。
魔法と神聖力の大きな違いは魔法は操るものだが神聖力は操ることができないことだ。魔法は炎や水等の自然界の物や物を浮遊させるな等、魔法は物を操ることができる。
それに対して神聖力は自然界の物に命を与える。操るのではなく神聖力を持った者のために自然界が自発的に行動するのだ。
だから神聖力では攻撃はできない。その変わりにできるのは浄化だ。魔法で
闇や瘴気を操ることはできないが神聖力は自然界の力を借りて浄化することができると言うわけだ。魔法ではできない奇跡を神聖力は起こすことができるのだ。
神聖力は習得することはできず、生まれ持った能力だ。そしてその力を持って生まれるものはまれなためどの国も国か王の保護下に入る。存在事態が国宝級だから神聖力についてはあまり国外に情報が流れず、それについてはヴァルデロスは後進国になるだろう。
そして神聖力はなぜか女性にしか使えず神聖力を使えるものは聖女と呼ばれる。
俺が知っているのはそれくらいだ。ヴァルデロス魔法アカデミーでも授業で習うことはあったがたしかページ一枚くらい、ヴァルデロスは聖女がずっと不在だったため文献も少ないのがその理由だ。
俺は頭をかきながら、
「まいったな…」
さっき椅子を戻したツルを目で探す。スルスルと隣の植物園の様な部屋に戻っていくところを見ると確かに魔法で操っているのではなく自主的にた助けてくれたようにも見えるが、なにぶん神聖力を見たことがないからそれが本当に神聖女力なのか魔法なのか判断ができない。
さっき飲まされたハーブティーもおそらく神聖力で育てた物なのだろう。俺の魔力が漲ったのも体がリラックスしたのも優秀な魔法使いによる魔法だと思っていたが神聖力の影響なのだとしたらそれはそれでそんな奇跡を経験できたことに感謝したい。
デューイもローズも嘘をついているようには見えないし俺に信じてもらおうと言葉を探しているようにも見える。魔法が使えない上、聖女であるローズを守るためにイエンツォ様とデューイしか入れない門や螺旋階段を設置しているのも納得できる。
今はこいつらを信用するしかない。
俺は1度深呼吸をして見せてから頷いて、
「聖女様を守るなんて荷が重いな…」
俺が信じたことに2人は安堵した様子で顔をほころばせた。デューイは俺に安心させるように、
「さっきも言ったけどね。ここのセキュリティは万全なんだよ。だが残念なことに、ローズはほとんどここから出たことがないんだ。ごく稀に城の中を歩くことはあってもそれは短時間のことさ。君の作ったスイーツを食べたりね?」
俺は腕を組み採用試験を思い出す。そう言えばローブを着たローズはパワーや魔法をテストされた時にはいなかったような気がする。魔法などはデューイや他の大臣がテストを見守ればいいが味の好みは本人でしかジャッジできないと言うことだろうか。…城のなかだと言うのにこの部屋を出るのでさえ短時間なのか…?
「なかなか外に出られない貴重な機会に同じ空間にいられたとは光栄だね…」
皮肉を込めてしまったのには理由がある。俺は元々デューイの護衛騎士になるつもりでこれまで努力してきた。確かに第一王子の護衛と聖女の護衛では難しいのは後者だろう。デューイは元々守らなくてもいいくらい強いのだから。
だがデューイの護衛は外に出ることが多い。外交もさることながら戦争に発展する前に物事を鎮圧させるのだから戦うことも想定されていた。時には野宿等もあっただろうし災害が起きれば救助活動に加わることもあっただろう。俺はそんな状況を仮定して訓練をしてきたのだ。
しかしローズはこの部屋から出ることはあまりないと言う。完璧なまでの警備システムのなか、窓ひとつないこの閉ざされた部屋で生活するローズをいったいなにから守ればいいのだ?まったく想像ができない。
俺の気持ちを察したのかデューイはクスリと笑って、
「安心した前、おそらく君は退屈する暇なんてないよ。君の一番の任務はローズの健康を維持し、守り抜くことだ。出きれば僕はローズをこの部屋からいつか出してあげたいと考えているんだよ。君が護衛として優秀だと分かれば彼女ははれて本物の大地を踏むことができるんだ」
俺は隣に座るローズを見下ろす。
ちっちゃくて細くて俺のデコピンひとつで飛んでいってしまいそうないかにもか弱い少女…。俺の頑張りひとつで彼女はこの鳥かごの中から出ることができるのか。
俺は目を細めてローズを見つめ
「お前、外に出たことないのか?」
ローズはコクコクと頷く。
「ずっとここに1人で暮らしていたのか?」
ローズはまたコクコクと頷く。
「お前、やっぱり外に出たいのか?」
ローズはコクッと頷く。
「俺の作ったタルトがそんなに気に入ったのか?」
ローズは激しくコクコクと頷く。
俺は大きくため息をついた。こんなに訴えてくるような目で見つめられながら頷かれ続けたら断れないな…。
髪をガシガシかいてまた大きくため息をつき、
「わかったよ…。聖女様のおもりも護衛も全部やってやるよ!」




