表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配属先は犠牲聖女の護衛騎士  作者:
1 護衛騎士誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/19

9 必要となる者

 ヴァルデロス魔法アカデミーに入学し、本格的に魔法の勉強を始めた俺はみるみる上達していった。元々の魔力量は入学前に水晶玉で確認済みだったが、自分でも言うのもなんだが俺はセンスがよかった。

 アカデミーの教員には『数百年に一人の逸材』と褒められたから普通の子どもだったら天狗になって遊び呆けていたかもしれない。しかし俺は必死に勉強を続けた。なぜなら俺の炎はデューイの氷を溶かすことができなかったからだ。氷魔法は炎魔法に一番弱いはずなのに…。

 そもそもなんでデューイはこんなに魔法が使えて知識もあるのにこのアカデミーに入ったのかが謎だった。

 ヴァルデロスの時期国王になるデューイは当たり前のことながら、幼少の頃から英才教育を受けていたそうだ。マリア様とルーク様が亡くなられてからはそれがさらにひどくなったらしく、入学した時点で教員を含め7歳のデューイに敵う者などいなかった。


「くっそ~ッ!!また負けだ!!!」

 魔力強化テストのあと俺は実技用スペースの脇にある芝生に寝転んだ。入学して5年目の夏、俺はついに教員よりも強い魔力を放出することができるようになった。だが実技も筆記もテストはいつも2位…デューイに勝つことはできていない。

 あとはこの持て余すほどの魔力をコントロールできるようになれば完璧だとまわりははやし立てたが俺が目指しているのはそんなもんじゃねぇんだ。俺が目指しているのは…

「まだまだ湯タンポにはなれないね…」

 芝生に寝っ転がっている俺の顔を覗き込んでデューイはクスクス笑っていた。

 違う…俺がなりたいのは湯タンポじゃなくても学年トップだ!そしてお前の護衛騎士だ!

 12歳になった俺達はいつも一緒にいた。デューイは俺を気に入ってくれていたみたいだし俺自身もデューイを友として見ていた。

 お互い魔力量が多いせいもあって授業ではいつもペアを組まされたから必然といつも一緒にいた。と言ってもデューイの手合わせの相手ができているかと言われれば自信がないが…。

 12歳のデューイはますます美人になっていた。男だがデューイより綺麗なやつを俺は見たことがない。12歳のくせに無駄な色気があるのが癪に障る。

「だれが湯タンポだって?!」

俺はからだを起こしてあぐらをかくと頭をガシガシとかいた。

 氷属性のデューイにとって夏は苦手なはずだがそんなことを感じさせないほど涼しい顔で微笑みやがって…俺はヘトヘトなのにお前は汗ひとつかいてねぇじゃねぇか。

 デューイは俺の横に座ると、

「僕を越えることなんて考えなくていいよ。今や僕に敵う者なんて世界中を探してもイエンツォおじい様くらいだろう。僕にとっての懸念材料は僕の魔力が強すぎて本気を出すとこの国を凍らしてしまうことだ。僕は君がその氷を溶かしてくれることを期待しているんだけどな。あと寒いときの湯タンポ…」

「それができねぇから困ってんだろうが!!」

 ヴァルデロス魔法アカデミーは10年間で卒業になる。後5年…焦らないわけがない。後半分しかないんだ!!『逸材』と呼ばれる俺だが俺はデューイの氷を溶かす打開策どころか糸口さえ見つけられていない。これじゃぁデューイが安心して背中を預けることができる騎士にはなれない。


「ところでさ、僕は君をとても気に入っているんだけど」

「ぁあん?なんだよ急に・・・。そんな綺麗な顔で急に告白なんてすんなよ!」

 俺が言うとデューイはいつものようにクスクス笑う…。その笑顔だよ!無駄な色気を振り撒くな!!

「僕の護衛騎士になりたいんだろ?じゃなきゃ側近として相談役?とにかく、君が何を望むかだけどさ。僕も一応この国の王子だから1歩外をでれば敵はいるわけさ。だから信用できる人間をそばに置いておきたい。そこで考えたんだけど君には後5年で僕の望む人材になるためにいくつかのスキルを身に付けてほしいんだけど」

「身に付けて欲しいスキルだぁ?!湯タン…じゃぁなかった、おまえの氷を溶かす以外のことか?」

「もう自分が『湯タンポ』って認め始めてないかい?…まぁいいんだけどさ。僕が君に望むことは沢山あるよ。僕は側近も護衛騎士もできるだけ少人数にしたいと思っている。大人数では動きづらい時もあるし、信用ができる人材を育てるのはなかなか時間も労力もかかるものだからね」

「なるほど…。俺が身の回りのことがなんでもできれば俺一人で事足りるってわけだな?」

 デューイはにっこりと微笑みコクコク頷く。はぁ、この笑顔は本当に厄介だ。この笑顔に毒された女子生徒が今までどれだけ泣かされてきたことか…。

 いつかデューイも結婚をすることになる。国王直系の子どもが一人しかいない今はデューイが倒れれば国の危機だ。デューイは早い段階での結婚が望まれている。

 しかし本人の希望で今は勉学に励み花嫁探しはしない考えを表明している。だから17歳でこのアカデミーを卒業したらその後は花嫁探しになるだろう。ヴァルデロスは18歳から結婚ができる。このアカデミーの女子生徒…特に貴族の娘はできるだけ早いうちからアピールを開始したいところだがデューイはまったくその気がない。

 あまりにも色恋沙汰がなさすぎてたまに俺とデューイが交際をしているんじゃねぇかって噂が流れることもあるくらいだ。デューイがたまに「湯タンポ」と言って俺に抱きついてくるのもその噂の要因になっていると俺は思っているが、俺たちは親友なだけだ…たぶん、きっと…俺はそう思っている。デューイにも俺への恋愛感情はないはず…きっと…最近自信なくなってきてるけど…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ