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双盗技  作者: 桐島直千
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14話 包囲陣 ジャック

はじめての敵視点となります

 盗った。拿捕られた。盗り返した。奪われた。


 紆余曲折はもう沢山じゃないのか?まーだ彷徨い続ける気ですかマイプレシャス。


「愛夢弱巣牌堕、世露死苦!」


 仁義を切ると、俺の船長服はタイルをめくるかのように裏返り、赤地に黒の異国の文字刺繍の入った特攻服となった。背には女郎蜘蛛が全面に罠を張る。極東の果てで気に入ったから買っちゃったけど。 超目立つ。悪目立つ。普段はとても着られない代物だ。


 戦闘準備OK?さあ勝ち込もう。みんな、よろしくね。


 何?あんた誰、説明白、kwskだと?


 最初に一行で説明したじゃねぇか。名乗ったし。めんどくせぇ。


 ・・・長くなるよ?



 盗った。

 最初にどこから盗ったかは俺に聞くな。いろんな所から盗りまくって、宝箱いっぱいになったと思いねぇ!そしたら運び出すわけだよな。外洋へ。小さな国の中にあるだけじゃ、そのお宝の価値は上がらねぇ。

 世界中にばら撒いてこそ、その価値を認める人間が増え、またお宝は産出され、また奪われるって寸法さ。幼稚園で習ったろ?何、行ってない?今から~そいつと~これから一緒に~幼稚園に~行こうか!

 ・・・なんだよまたカスラが飛んできそうだな。カスラは♪が大好きなんだ。うっかり口笛もふけねぇぜ。


 拿捕られた。

 まあ、たいがいそうなるんだけど、この辺の賊は夢見がちでね。つい、司令官殿の懐を擦り抜けて、海峡の冬景色を見に行きたくなる奴が多いのさ。でもまあ捕まった方がまだましなのさ。最終防衛ラインには雷神の槌が待ってるからな。


「トオルハンマー斉射15連、ファイエル×15!」

とか指令室は盛り上がっているにちがいねぇ。


 要は海峡城のセリ出しから、でっかい重しが15個落っこちてくるわけですよ。小舟なんか一ッ発だね。海峡の右端、渦巻く浅瀬を通れない船はみんなこれでやられっちまう。やられた船とお宝は木端微塵になって、危険で潜れない海の底へ。マイプレシャスがそうならなくてよかったよかった。


 盗り返した。

 ここ大切。司令官殿は拿捕した宝を後送しなかった。後方基地の○長が信用できなかったからだ。だって、海賊たちが船出してくる町ですよ。○長は都合の悪い男に御退場願った。十分戦果を上げました◎栄転です。

 司令官殿は、裏で脅されました。このまま宝をワタクシし続けるか、それとも新世界に行くか。親戚の子も何故か行方不明になりました。頑張り続けても、もう王様にも疑われ始めています。

 後任の司令官殿は、そこそこ取り締まり、そこそこ見逃し、大部分は疑いもしないという「有能」な方に変わりました。前任者が手を付けなかったお宝を彼は自分の手柄として○長に後送しました。○長は当初の予定通り再度の海峡運び出しを命じました。遅れた分、すぐやれ、早くやれと。さらった娘もついでに売っちまえ。○長の取引相手もずいぶんなせっかちさんのようで。


 奪われた。

 もう邪魔する奴はいないと思ってたんだろうねぇ。「裏切らない」ことを前提にした人選は、弱さの裏返し。どこの誰ともわからない二人組に強奪され、宝は速攻質屋に持ち込まれた。商店=ギルド=同盟。自分の町だからって完全支配してるわけじゃない。同盟相手ではもうからないから裏で海賊に組しているんだし。

 ともかく白昼街中襲撃はできない。だが、相手は馬鹿なのか。郊外に家を借り、宝箱2箱を持ち出して豪遊開始。かくして奴らの襲撃及び宝箱奪還が命じられたって寸法さ。宝がこれ以上減る前にすぐやれ、早く殺れ。へいへい。

 でもこれ、罠の予感。俺も伊達に背中に罠しょってるわけじゃない。傭兵2名も海賊になびかない筋金入りの手練れみたいだし。ま、俺はマイプレシャスだけ返ってくればいいのであまり頑張る気はないが。


 戦闘準備OK?さあ勝ち込もう。みんな、よろぴくね。


 特攻服着てて一番後ろも無いかも知れないが、どうせみんな書いてある字は読めないから、この服でこのポーズを取るとみんなの幸運が上がるんだと言ってみた。・・・憐れな奴として見下されたようだ。不本意。


 面接は不得手なんだよなー。こないだも海賊を恨んでいるか?と聞かれて満面の笑みで「足を洗いたいくらい嫌い」と答えて不採用だったし。どうも戦力外通告が多いな。争いを好まない平和な性格がにじみ出ているのかも。


 はいはい。せいぜい便利屋扱いしてくれ。「遠眼鏡」で偵察した結果、宝箱の中身は銀貨で水増しされていたが、「宝箱はちゃんとあるか」と聞くからお望み通りに答えたぞ。餡子より皮が好きなんて、おじいちゃんか。


 相手の戦力は「楽勝ですよ」と答える。手こずるのは金髪小僧、サフィーロ、ドセーナくらい。女やチンピラは相手じゃない。大男と子猫ちゃんはいない。


「羅針盤」を出す。おかしいな、確かに家の中を指してしたはずだが。周回を半周してみる。ああ、そうか、家の中じゃなくて「そっちの方向」を指してたのか。なんだ。


 俺は海賊と盗賊のにわか連合軍の突撃を、生暖か~く見守ることにした。


誤字、レイアウト修正


私し続ける→ワタクシし続ける と修正

渡し続ける の誤字ではなく、自分のモノにし続けるという意味です。


ルビふるべきでしたが、ルビよりもカタカナにしました。


ご指摘ありがとうございました。

読んでいただけるだけでもありがたいのに、修正点まで教えてくださるなんて、もう一端の作家気分です。


【桐島直千は底辺作家レベルが1から2にあがった!】

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