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双盗技  作者: 桐島直千
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12話 NTR ニーニャ

 一晩でヴィッキーとは仲良くなったが、実家がどこなのか言おうとしない。


「あんたを、このまま連れ回していると、私が、誘拐犯になるの!」

「あたしもなるー!愉快犯!!ゆかいーゆかいー」

 陥没しない程度にゴツっと拳骨をくらわし、街の顔役の所に連れて行った。ワケを話すと、そういう娘は多いのだそうだが、捜索願とかを行き渡らせる仕組みがないのでほぼ放置されているという事情を聴いた。こんなかわいい子はこの辺では見たことないので、よその町出身だろうと言う。その子が貴族なら、区長が噂ぐらいは聞いているかも知れない。


 顔役づてで区長に会い、区長のつてで町長に照会してもらえることになった。町長はすぐに会えるような平民ではないそうで、身なりを整えないといけなくなった。


 昨日買えなかった服が買える!ひらひらのふりふりが!!あたしだって着飾れば、ヴィッキーと張り合えるくらいの美少女に見えよう!男どもの稼ぎに感謝ッ!


 あたし、じゃなくてこれからは「私」にしましょうか。お上品に。ヴィッキーが「あたし」だし。ニーニャは宿娘から美少女にクラスチェンジしたッ!

 ・・・クラスチェンジって何かしら。最近知りもしないことが湧いてきて。病気かしら。


 ヴィッキーと一緒に楽しくお買いもの。ヴィッキーのお洋服も薄汚れているので、おそろいで作りましょうか。・・・ぶるぶる。おそろいはダメ。引き立て役になっちゃう。


 今あるもので、一番いい物に身を包む。私は赤を基調、ヴィッキーは青。採寸して、別に特注品を頼む。すっごく時間がかかったけど満足したー。ヴィッキーは海賊趣味が嵩じて、衣装を髑髏とか鋲付にしたがった。けど、抱き上げた瞬間に私の新品のブラウスが少し切れたのでやめさせる。


 トップの、微妙な部分を抑えながら、すみませんが同じものをもう一枚と頼んだら、そのくらいでしたらそのまま直せますと女店員。どうやって。


 奥から男性の店主がハナタカで進み出てきた。イヤミっぽい。おグランス帰りかしら。

「おおーフロイライン、そのお姿はボッティチェリのヴィーナスの誕生のようです。そのままお待ちください。できれば、左手は、この位置で」


 なんだこいつ。透視能力者だと嫌なので、デリケートゾーンを隠した。

「それでは、シュトッフレパリーレン!」

 何も起こらない。

「おかしいな、シュトッフレパリーレン!シュトッフレパリーレン!シュトッフー、レパリーレーン!シュトーフレパリーレンンン!!!!!」


 もういいです。お勘定。


「お待ちください、何故か調子が悪いようだ。あ、あああ~」

 私は、右手で自分の左乳房を隠し、左手でヴィッキーを連れてその店を後にした。こんな怪しい店、左前になればいい。別の店でブラウスを替える。


 宿に戻ると伝言が。ディーが家を借りたのでそこに来いと。

 修道院行きはどうすんのジオ!と思ったが、もうそんな必要性は無い。


 一瞬、乗換がちらつく。あっちゃやっべ。ディーに対していい印象が無いぞあたし。いや、私。でもパンツは奪われたままだし、靴を盗られた時にガン見された。あいつは私に気があるから、分け前もよこした。ヴィッキーの世話を一任されているんだから、一味扱いされている。よし、イケる。


 借屋と聞いたので大したものは想像していなかったのだが、行ってみたらまあ。丘の上庭付き塀付池アリだだっぴろ。芝生の上でパーティパーティ。酒、女、豪華な料理。


 退廃生活空間だなこりゃ。玉座よろしく、庭に引っ張り出したソファに優雅に腰かけて、両脇に女と屈強な男たちを侍らせるディアロゴス様。挑戦的目付きでグラスの酒を回している。

 私は、舞台女優のように姿勢を正し、ゆっくり右足を左足の左前、左足を右足の右前に、交差させるような優雅な足取りでそれに近づいた。気持ちは、獲物を狙う野生獣。


「うひょおおおおー、いいおんなぁー!!」ヒューヒュー

 

 ありがと。投げキス。そういうノリのイイおはやし今必要なの。ポカンと見つめてるジオ、あんた邪魔。でも、使える位置だわ。

 突然、ジオにキスするフリ。ディーの目が嫉妬に狂うや、料理からサクランボを失敬してジオの口に突っ込む。ワンステップ、一回転。ディーの玉座の前に遷移。あんたこういうの好きでしょ、どうなの。


 王様ご満悦の表情。右手の女を蹴りどかした。なかなかワルね。

 そこが私の席なのね、オーケイ。舞いながらそこへ飛び込む。左手をディーの首にまわし、情熱的な熱いキス。熱狂が渦となる。

 

 その瞬間。

 

 猛烈な後悔が私を襲った。もうこれじゃディーの女確定だ。最初は悪ふざけのつもりだったのに。


 

 




 さよならジオ。


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