表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/30

28 . 別人物

 「待って」


 リタが向かおうとしたのを呼び止める。


 「とりあえずご両親に聞いてみよう」

 「わかった」


 まだ朝早い。こんな時間から何やってるんだいったい。


 「あら~2人とも早いじゃない~」

 「ちょうどよかったお母さん」

 「?」

 「今妙な人がいて、村のこと観察してるみたいだった」

 「真っ黒な服着てた〜?」


 リタと視線が重なり2人で頷く。


 「それ手紙で書いたことよ~。ほら、人の通りが増えたって。みんな真っ黒の服着てたのよ~」


 嫌な予感は的中するかもな。


 「僕の勘違いならいいんですけど、何か覚悟したような顔を一瞬だけどしたんです。早ければ今日、今日じゃなくても近いうちに何か起こるかもしれない......と思います」


 何をするつもりなんだ?なんのためにこの村に?


 「ここにいたら危ない?かな」

 「わからない。でも何か起きるはずだ。じゃなきゃあんな顔しない」

 「ま、まあ2人ともそんな深刻な顔しないで~」


 そう言いながらも、アイナさんの顔が引きっている。やはり怖いんだろう。


 「今日は首都に行く?」

 「僕たちだけ行ったってしょうがないだろ。この村にどれだけの人が住んでると思ってる」

 「それはそうだけど」

 「とりあえず様子をみよう」


 予知なんてできやしないんだ。でも何か起こってからじゃ遅い。どうするのが正解なんだ。


 「と、とりあえず、朝ごはん作るわね~」

 「ありがとうございます」


 もし何かあれば、僕がおとりになればいい。リタには家族がいるんだ。

仮に僕に何かあっても、悲しむ人はいない。

僕より、優先すべきはリタとその家族。そして村人たちだ。


 「ちょっと外出ます。すぐ戻るんで」


 そう言い残し、もう一度外へ出てあたりを見渡す。

もういなくなってる。いや、僕から見える範囲にはいない。僕の思い込みで終わればいいんだけどな。


 「あ、よかった。いま呼びに行こうと思ってた」

 「ごめん」

 「なんのごめん?」

 「ああいや」

 「さあどうぞ~」


 こりゃまた豪華な朝ごはんだな。おいしそうだ。

でも何か起きるかもしれないし、たくさん食べておこう。



 ------------------


 「食べた~美味しかったです。料理上手ですね」

 「よかったわ~」


 食べることに夢中であいつらの存在忘れてた。

でも、よく考えてみれば、この村監視されてたよな?だったら何かあれば騎士団が護衛してくれるはずじゃないか?そうだよな。なら安心だ。


 「キット、ちょっと付き合ってよ。トレーニング」

 「もちろん」

 「ちょっと家開けるね。大丈夫?」

 「大丈夫よ~お父さんもいるんだし」

 「そうだね。じゃあ...


ーードカーーーーーーン



 「「「??!!!!」」」

 「なんだ今の音?」


 僕とリタ、そしてアイナさんの3人ですぐさま外へ出る。


 「なんだこれ」


 暴れてる。紫色の瞳をした奴らが。どうなってる?なにが起こってるんだ。


 「お、おい、なんか変じゃないか?自我がないみたいだ。操られてるのか?」

 「私に聞かないでよ!わかるわけないじゃん」


 このままほっといたら、村が崩壊する。なんとかしないと.....でもどうしたら。


 「リタ、リタ!!君は両親を連れてできるだけここから離れて」

 「はあ?キットは?」

 「なんとかする」

 「なんとかって、どうやって?!」


 「う、…」

 「キット?」



 「おれの番だ」

 「はあ?なに言って.....キット?」


 この時、リタは唖然としていた。キットになにが起きたのかリタにはわかるはずがなかった。


 「ん?おい何やってんだ。早く逃げろよ」

 「キットだよね?」

 「あいつら倒せばいいんだろ?楽勝だぜ」

 「キット......?聞いてる?」

 「うるせーよ。黙ってろ」


 そう言い放ち、俺は暴れる奴らへと一直線にむかい、刀を振る。


 「え?」


 弱くね?俺今、地面蹴って勢いそのままに刀を振っただけだぞ?相手になんねーな。つかこいつら自我がねーじゃん。誰かに操られてるか、暴走させられたか。どっちかだな。


 「っと」


 拳が飛んできた。動きが遅すぎる。まるでスローモーションだ。


 「いって」

 

嘘。痛くない。脇腹殴られたから衝動的に声が出ちまった。力もないのか?何にも怖くねえな。


 「あ、たしか俺、魔法使えるんだった」


 だったら


 「えーっとあれ?どうやって使うんだ?」


 右手の拳を少し開き、そのまま前に突き出す。


 「うわ!炎でた!すっっげ」


 たったこれだけの動作なのに、あたり一面に炎が広がった。

そしてそれと同時に勢いよく奴らが吹き飛んだ。


 「あーあー。んだよ。もう終わりかよ。つまんねーな」


 体感数秒。


 「ふう」

 「ねえキット?」

 「んあ?っ............」

 「キット??ねえ大丈夫?」


 突然苦しみ、倒れ込んだキットに、リタは戸惑うことしかできない。

リタの声がだんだん遠ざかるのがわかる。この感じ2回目だ、なんだこれ?

僕はそのまま意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ