16 . 未踏
王国についての情報をリタから聞いたキット。
そのなかにはキットも耳にしたことがある情報もあった。
突っ走るタイプのリタと慎重なタイプのキット。
正反対の2人はうまくやっていけるのか…?
「ん?何か言った?」
「あぁいや、なんでもないよ。ただの独り言。気にしないで」
「そう?わかった」
聞かれなくてよかった。聞かれてたら多分、問い詰められてただろうな。怖い怖い。
「えっと。まず、僕と君が知りたいことに必ずしも接点があるわけではない。それと王国が関与している可能性があるってこと。それはわかった」
「ええ、王国のことを調べれば何か分かるかもしれない。そのためにはずっとこの村に留まっているわけにはいかないよ。早いうちにこの村を出よう」
「そうだね......。王国に関して、他に君が知っている情報はあったりするの?」
「んーーー」
しばらく考えた彼女はこう続けた。
「やっぱり王国の首都はすごく栄えてる印象だね。確か首都はエカルラート。人も多いし店も多い。両親が月に何度か首都に出向いて働いているし、そのおかげもあってか、豊かな暮らしを送れていたしね」
「そうか、両親は首都で」
「うん。それと…魔力持つ人たちが通う学校もあった気がする。そこについては詳しくは知らないんだけど、あまりいい噂は聞かない......かな。魔力を持つものは強制的に入学。拒否は許されないって聞いたことがあるよ。確かに優秀な人材だからだろうけど、なんか…ね」
「そう…だったのか」
魔法学校。それは少しだけど、僕も聞いたことがある。
魔力を持つものは強制入学。その後、学校の寮に住むこととなり、そこからは家族とも会えないし、自由な時間を奪われる。定かではないが、死者がでた。なんてことも耳にしたことがある。確かに、優秀な人材だ。でも、そこまでしなくてもいいのではないか。そう思った。
魔力持つ。それはあくまでエネルギー。
魔法学校へ行き、そこで初めて魔法として能力を発揮する。
たしか、そんな感じだったような気がする。
首都の名前に関しては初めて聞いたな。なんで魔法学校のことは知ってたんだろう?
拒否は許されない…か。聞いた通りだ。怖いな。王国に関してはいい噂もあれば、悪い噂もあるってとこか。何か裏があるのか?
「私もそう思う。きっとなにか裏があるよ」
え?こわ。
「あぁ、それと一つだけ、僕は父さんがいた研究所に少しだけだけど住んでいたことがある」
「え?!」
驚いた顔をして、口を開けたまま僕を見つめる彼女にこう続けた。
「でも幼かったし、外に出ることは許されなかった。僕が外に出たのは数時間だ。僕の記憶は曖昧だし、役に立つ情報は何も持っていないと思う」
「そ、そう。わかった。でも何か思い出すことがあれば言ってほしい」
「あぁ、わかった」
ほんと、わかりやすく落ち込むんだね。君は。もしかして言わなくてもよかったかな?
「いや、でも言ってくれてよかったよ。調べてる途中で言われてもなんか困る気がするし」
「そ、そう…か」
だから!なんで見透かしたように答えるんだ!怖いんだよ!この感じに慣れるまで結構な時間がかかりそうです。
「と、とりあえず、この村から出るって言ってもどこに行くんだ?」
「んーー?」
リタがものすごく困った顔をする。
え?考えてなかったの?ちょっとショックなんだけど......。やっぱり僕と彼女は正反対だな。あまり計画性がないし、自分の感性に従って後先考えずに行動するタイプか。なんか本当に上手くやっていける気がしないよ。ほんとに。
「と、ところで、その、リタがいた村では何にも害とかはなかったんでしょ?」
「うん。違うのは瞳の色だけ。他は私たちとは変わらないの。食べるものも同じだし」
「なるほど」
やっぱりそれに関しては、全くの偶然じゃないのか?でもなんか引っかかるんだよな。なんだろうこの感じ?
「やっぱりすぐに村を出るのはやめよう。お互いが持ち合わせた情報を整理してからにしよう。僕もまだ父さんの書類全部に目を通したわけじゃないから」
「わかった」
うん。やっぱりわかりやすい。どこか不満がありそうなリタの顔に気づかない振りをして、もう一度2人で情報を整理し直すことにした。
まだ始まったばかり、これからだ。
というわけで、しばらく僕の家でリタと二人暮らしをすることになりました。
つらい。絶対疲れる......。助けて。
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「ん?何か起きそうな気がするわ」
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