15 . 接点
リタと出会ったキット。
彼女もまた何かを調べているようだった。
お互いが情報交換をするなかで、キットはまだ迷っていた。
彼女に若干圧倒されながらも、キットはようやく腹をくくる。
人気の少ない場所までしばらく歩いて移動する。
彼女、リタ・スマルト。肩までかかった薄い赤髪に、女性にしては背が高い方だと思う。そして程よくついた筋肉。一見怖がられそうな見た目をしている。僕も割と背が高い方だと思うが、2人で並んでみてもあまり差はないように感じる。
リタは周りを見渡しながらキットの後についていた。場所を移動した僕たちは、しばらくお互い無言のままでいた。そして痺れを切らした僕が先に口を開く。
「…………っあ、あの.....えっと…その何か調べてるってことで合ってます?よね?」
「えぇ、まぁ。実は私が暮らしていた村の人々に関して少し気になることが…。知りたいって思うと調べずにはいられなくて」
「そう…ですか。で、それは一体…?」
「瞳の色です」
「瞳?の色?」
「えぇ。それがずっと気がかりで......」
「なるほど」
瞳の色が違うことなんて、ざらにあることじゃないのか?そう思った僕の気持ちを見透かしたように、彼女はこう続けた。
「私も最初は考えすぎかな?とも思ったんですけど、みんな統一して紫色。なんか気味が悪いと思いませんか?」
「あ、あぁ。なるほど」
「王国の騎士団試験を受けたとき、この時も同じ瞳の色をした人々が居たんです。私がいる村だけじゃない!そう思ったんです。それがきっかけと言っても過言じゃない」
え?騎士団試験?すごい強いってこと?王国騎士団の人だったの?騎士団とか全然知らないけど、なんかすごいんでしょ?僕の頭の中にたくさんのハテナマークが浮かぶ。
「あぁ、でも受からなかったので。魔力を持っていないとダメってことを知らなかったんですよ。なんか笑えてきますよね」
「え?あぁ、まぁ」
すごく軽い口調でそう口にした彼女に、僕は苦笑いを浮かべることしかできなかった。
そういえば、王国ってどんな感じだっけ?この村しか知らないし…たしか、グアド王国?だったような…
「グアド王国です」
え?なんか心読まれてるのかな?って思うくらいに、考えていたことをピンポイントで当てられてすごい怖いんですけど…。
もしかして、僕って顔に出やすいのか?
「...........あ!ぁそうだ!研究!研究って言ってましたよね?それについて話を!ちょっとついてきてもらえますか?」
わかりやすく話しを逸らしてしまった。でもそれが本題だし、まぁいいか。
彼女と話していた場所から僕の家まではさほど距離がなく、彼女を家に招き入れることにした。
彼女を部屋に招き入れると、ざっくりと説明をする。
「ここは僕の家です。実は父親が亡くなって、部屋を整理していたらこんなものが.....」
そう言いながら、段ボールに入った書類の一部を彼女に手渡した。
「僕が知りたい研究の内容と、君が知りたい研究の内容が同じかはわからない。でも、僕の父親も何かの研究に加担していたことは確かだ。それと、なんで王国が関わってるって思ったのか。それを知りたい。王国でその人たちを見たからってだけじゃないでしょ?」
「えぇ。騎士団試験の為に滞在していた時、噂程度で聞いたんです。昔何か危ないことをしていたって。それが今も…って」
「今も?!」
「でもそこに関して確かな情報は得られなかったんです。だから今に関してはあまり信憑性がないと思います。だけど、あの王国のいい噂はあまり耳にしたことがない。王国騎士団に行けば、何か分かるかもしれない。そう思って騎士団試験を受けたっていうのも否定はしません」
「なるほど。僕は、この村から出たことがない。王国がどんな場所かも知らないし、行ったこともない。知っているのはかろうじて名前くらいだ」
彼女は隅から隅まで書類に目を通し、何かを決意したような顔で僕に視線を向けた。
「確かにあなたの言う通り接点があるかはわからない。でも.....一緒に調べませんか?」
たしかに知りたいとは思う。でも王国の名前すら曖昧だった僕が彼女の役に立てるのか?いや、でも1人で調べるよりはいいのかも知れない。それに、彼女と会って "よかった" って少しでも思ったってことは、それが僕の本心か。まだ葛藤は残っているけど、一旦蓋をしよう。うん、そうしよう。
「大丈夫です。私こそあなたの役に立てるかわからない。でも1人より全然いい。だからお願いします」
いや、だから!怖いって!心読めるの?
なんか僕と彼女じゃ相性が悪い気がしてきた。まぁいいや。
「ところで、あなた魔力は?」
「うん?マリョク?」
「ないみたいね」
そんなあからさまに残念そうな顔しないでほしいな。
「ま、まぁとりあえず協力するよ」
「ありがとう」
「ん?ってあれ?さっき紫色の瞳って言ってたか?なんかどっかで見たことがあるような気がするな…。気のせいか?」
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