14 . 出会
何から手をつけるべきか迷っていたキット。
知ろうと決意はしたものの、知らない方が父親の為、僕の為になる。そんな気持ちがずっとあった。これを押し殺さなければ……。そう思っていたキットの前に、とある女性が現れる。彼女は何か知っているかも知れない。
彼女と出会ったことで、キットは心のどこかで………
「あーーー!もう何から手をつければいいんだ......」
全てを知ろう。そう決意はしたものの、何から手をつければいいのかさっぱりわからず、途方に暮れていた。
今まで共に過ごし、1番近くで見てきたはずの父さんは、決して偽りの人物なんかではない。ということだけは信じたかった僕は、やはり少しだけ躊躇っていた。この気持ちを押し殺さなければ、やっていけるはずがない。そう思うのに、どうしても押し殺すことができない。やはり、やめておいた方が父さんの為でもあるし、僕の為でもあるのか?考えてもキリがない。
「村を出るか?.......いや、まずは研究が行われていた場所を突き止めないとダメか?でも、手掛かりがなさすぎるんだよなぁ。村を出たからって何か情報が手に入るとは限らないし、やっぱやめておこうかな…」
"知りたい”という気持ちが前に出たはずなのに…。
僕は、父さんが残した書類まみれの部屋で、
「はあ」
とため息をついた。
「お腹すいたな。何か買ってくるか.....食べてから考えよう」
ここのところずっと、僕の食事は村で売っている鮭弁当だった。自分1人のためだけに料理をする気にはどうしてもなれずに、毎日同じものしか口にしていない。
「んーーー」
大きく伸びをした僕は、コップ1杯の水を飲んでから家の玄関を開き、外の空気を大きく吸った。
「よし、天気もいいし、気晴らしにもなる!気持ちを落ち着かせるには十分だな」
そういえば、村の景色を楽しむなんてことも全然していなかった。相変わらず昼間は騒がしいけど、意外とリラックスできるもんだな。そう思いながらしばらく歩いていると、ふと視線を奪われた。
「ん?誰だ?」
明らかにこの村の住人ではない…と思う。大量の荷物に少しだけ汚れた服。1人の女性が目に入った。
「ぁ、あの!この村の人?......じゃないですよね?」
思わず話しかけてしまった。
「ええ。実は、とある村から出てきたんですが、迷ってしまって......。それでここに辿り着いたんです。リタ・スマルトと申します」
「あぁ、えっと僕はキットです。会ったばかりですが、この村はあまり治安が良くない。長居しないことをお勧めしますよ」
「そう......ですか。わかりました。……あ!あの!」
「ん?」
「一つだけ伺っても?」
「なんでしょう?」
2人の間に沈黙が流れる。
そして意を決したように、リタはこう口にした。
「........。昔、ある王国で何かの研究をしていた、という話を聞いたことはありませんか?」
「え?」
"研究” の2文字を聞いた僕の全身に鳥肌がたった。
「すみません、場所を変えて詳しく聞かせてもらえませんか?」
「何か知っているんですね?」
「お役に立てるかはわかりませんが…」
「…そうですか。お話、聞かせてください」
リタ・スマルトと名乗った女性。彼女と出会わなければ、知りたい気持ちを押し殺したかもしれない。
この時の僕は心のどこかで、"よかった" そう思っていた。
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