石じじいの話・夢は少女剣士
石じじいの話です。
じじいが子どものころの話です。
じじいが小学生のとき、一学年上の女の子についての話です。
彼女は、おとなしい子でした。
原節子に似た、美人だったそうです。*1
それで、子どもじじいも、ちょっとした「好意」を持っていました。*2
子どもじじいが、ある日、昆虫をとるため山にのぼったとき、山の中の神社の境内で、彼女を見かけました。
そこは、ほとんど打ち捨てられた、古い小さな神社でした。
最初は、誰だかわからなかったのですが、すぐに彼女とわかりました。
日頃、「好意」を持っていたのですから。
彼女は、「木刀」で剣道の練習をしていたそうです。
尋常小学校では、男の子には「武道」の授業があったので、じじいも剣道や柔道を習っていました。
彼女の「木刀」の構えや振りは、さまになっていて、かなりの腕前のように見えたそうです。
剣豪少女のようだったと。
子どもじじいは、恥ずかしくて声をかけることができませんでした。
それに、彼女の気合い、殺気に気おされたとも。
隠れて見ていると、彼女は、しばらく練習したあと、その「木刀」を社殿の床下に隠すように置いて、そこを去りました。
彼女は、服の襟をはだけて、汗を拭いたので、子どもじじいは、ドキドキしたそうです。
彼女が去ったと、子どもじじいは、その「木刀」を見てみました。
子どもじじいは、驚きました。
遠くからは「木刀」と見えたものは、日本刀だったのです。
しかも、真っ赤に錆びた刀でした。
持ってみると、かなり重いのです。
これを、彼女は、あのように軽々と扱っていたのか!
子どもじじいは、それにも、感心したそうです。
その年の秋、彼女の父親が死にました。
刀で切り殺されていたのです。
彼が、「家宝」だと自慢していた刀剣がなくなっていたので、それを盗もうとした犯人が、彼を殺害したのではないか、と警察は考えました。
捜査されましたが、けっきょく、犯人は捕まらず、彼女の家族は、どこかへ引っ越してしまったそうです。
子どもじじいは、「彼女は、剣豪だったから、刀を持った犯人から父親を守ったらよかったのに」と考えたのですが・・・。*3
*1 じじいが話してくれた時、原節子がだれだか、わかりませんでした。
ネットもないので、画像が容易には見られなかったので。
*2 「恋」というやつでしょうか?
*3 別の解釈も可能でしょう。




