石じじいの話・民間療法にまつわる「迷信犯罪」(朝鮮):閲覧注意
これは、日本統治下の朝鮮における迷信犯罪についての話です。
この話に出てくる事件と同様の犯罪(事件)は、昔の日本でも見られましたし、また、最近でも発生しています。
朝鮮に限った現象ではないことにご注意ください。
文中に、現在では不適切な用語や、誤解を生むような表現が散見されます。
この点、ご容赦ください。
また、これは、「作品」なので、内容を信用されないよう、ご注意ください。
じじいは、子供の私に、あまりも残酷な話をすることはなかったと記憶していますが、私の聞き取りノートに、この話が書かれていました。
あるいは、私が、別人から聞いた話なのかもしれませんが、その舞台が朝鮮ということで、じじいが語ったものと考え、ここで紹介します。
石じじいの話です。
じじいには、朝鮮に住んでいた頃、多くの警察関係者(主に日本人)の知りあいがいました。
彼らから、当時の犯罪捜査や日本国政府による言論統制についての方法や体制についての話を、いろいろと聞くことができたそうです。
これも、ある日本人警察関係者から、じじいが聞いた話です。
民間療法と迷信は、親和性があります。
むしろ、迷信が民間療法の根拠であると言えるでしょう。
朝鮮では、疾病や流行病にかかったとき、医薬よりも巫俗業者に依存することが多かったようです。
植民地統治権力(朝鮮総督府)は、この迷信を重視し、民間療法を重大な社会問題と考えました。*1
さて、
病気治療を目的として行われる、「迷信」にもとづいた殺人や傷害、墳墓の発掘、死体遺棄や損壊などの犯罪行為が発生することがありました。
とくに、特定の病気治療に、身体の一部が特効薬として用いられる「人肉補食の迷信」があります。
この迷信が、殺人や傷害事件の原因となった事例が、多く見られたそうです。
たとえば、癩病(ハンセン病)治療を目的とする殺人が行われることがありました。*2
そのため、身体の一部が損壊した状態で発見された死体については「迷信犯罪」による殺人の可能性を念頭において捜査することもあったそうです。
実際に、畑で、XXを切りとられた女児の死体が発見された事件について、捜査当局はYYの特効薬として用いるための「迷信」から発生したのではないかと考え、その線で犯人を捜査したこともありました。*3
しかし、これは、捜査の結果、変質者(朝鮮人か日本人なのか、不明)のしわざだったようです。
また、生きた人間からではなく、墳墓に埋葬された死体を掘り出して、その身体の一部を切り取るといった死体損壊行為も見られたそうです。
迷信犯罪には、「自己または第三者のための迷信犯罪」とカテゴライズされるものも存在しました。
これは、埋葬方法の良し悪しや「墓相」といった迷信によって、埋葬者のために行われる犯罪を含んでいました。*4
また、加害者が、その犯罪の「被害者のためにおこなった迷信犯罪」もありました。*5
人が病気になるのは、悪い霊がその人の体内に入ることが理由である、という迷信による犯罪です。
巫女などの祈祷者が、その悪霊を取り去るといって祈祷をおこないます。
その祈祷の過程で、殴打や火焼、刺傷などの危険な物理的手段によって悪霊を追い払おうと病人(=結果的に被害者)を傷つけるのです。
このような迷信犯罪は、とくに精神疾患者に対して行われる迷信治療法によく見られたそうです。*6
ただし、この種の犯罪については、他の動機による犯罪(迷信犯罪のなかの、人肉捕食行為や第三者のための行為など)との区別が明確でない場合もあり、また、被害者遺族が「口を閉ざして、その死因について証言しない」ことも多々あるので、事件捜査が困難な場合があったようです。
この場合、事件現場に、悪鬼を追い払うために使用する「桃の枝」が残されていたり、被害者の頭や胸、腹に、不自然な傷(たとえば、一直線の傷)があるのを、その種の犯罪の特徴と考えて捜査するとのこと。
じじいも、朝鮮に住んでいたときに、このような犯罪と思われる事件に遭遇したことがあるそうです。
*1 日本でも、明治維新後の教育政策において、多くの迷信打破が教育施策のなかに組み込まれました。
これについては、別に紹介しましょう。
*2 日本でも、発生しました。
有名なものは:臀肉事件(1902年)
人肉を薬として用いるという例は、江戸時代の首切り役人、山田浅右衛門家の人間の肝臓や脳からつくる丸薬が有名です。
*3 差し障りがあるため、一部伏せ字としました。
*4 これは、別の話として紹介しましょう。
*5 これも、日本でも昔からよくある犯罪です。
*6 たしかに、現代の日本でも、抑うつ状態(うつ病)になるのは「本人の甘えだ」とか、「根性がないからだ」という迷信があり、それによって、一種の迷信犯罪がおこなわれています。




