石じじいの話・土地を燃やせ!
石じじいの話です。
じじいが、石探しのため、ある山間部を歩いていると、真っ黒の地面が広がっていました。
それは、1ヘクタールほどの畑でした。
そこは、柵で囲われていて、人が入れないようになってました。
野生動物よけのための対策だろうと、じじいは考えました。
「ほう、焼き畑か。今どき、めずらしい。」とじじいは思ったのですが、どうも違うらしいのです。
その真っ黒な地面から、強いガソリンの臭いがしていたからです。
どうも、ガソリンをかけて、はえている植物と土をいっしょに燃やしたらしい。
これでは、畑がだいなしです。
近くに人が畑仕事をしていたので、この焼かれた黒い土地について尋ねてみました。
その人は、ちょっと迷惑そうでしたが、その由来を教えてくれたそうです。
じじいは、人に警戒感をいだかせない、人懐っこい雰囲気をもった人でしたから、いろいろな話を土地の人から聞くことができたのです。
その人は教えてくれました:
この土地には、ある植物が毎年はえるのだ。
その植物が生えると、他の植物ははえない。
まったくはえない。
だから、作物も育たず、畑として使えないのだ。
その植物が、あたりに広がると、そこも作物が育たなくなるのだ。
その植物しかはえていない土地になってしまう。
だから、定期的に、地面を徹底的に燃やしているのだ。
それでも、ちょっとでも、その焼却作業をおこたると、芽がはえてきてしまう。
その植物は、根絶できない。
だから、この不毛な土地が、まわりに拡大するのを防ぐために、地面を燃やし続けているのだ。
と。
その植物は、とてもきれいな白い花を咲かせる草本で、繁殖力が非常に強い。
だから、すぐに生育範囲が広がってしまう。
畑を破壊する植物だ。
いや、地球を破壊する生き物かもしれない。
その植物の「種」は、白色と黒色のまだら模様のある大きなものだった。
しかし、今では種ができるまで育つことを許さず焼却するので、種はない。
説明したとおり、その種は、非常に危険だろう。
この土地から外に持ち出してはならない。
と。
その種は、どこから来たのか?と、じじいは尋ねました。
その人が言うには:
その種は、この村から移民として南米に移住した人が里帰りをしたときに、そこから持ち帰ったものだ。
いわゆる、帰化植物だ。
もともとは、家畜の飼料としての植物だったらしい。
その人は、そう言っていた。
種をまいてみると、その植物が爆発的に広がり始めた。
どんどん、不毛な土地が拡大するので、村の皆で、それを食い止めるために焼却作業をはじめたのだ。
この植物をここから外へ出してはいけない。
と。
その人は、じじいに、「この柵を超えて、この土地に足を踏み入れなかったか?」としつこく尋ねたそうです。
それはそうでしょう。
靴や衣服に、焼け残った種がついて、外に漏れ出てしまうと大事です。
じじいは、そこで、衣服を脱いで裸になり、種がついていないか確認したそうです。
靴から、帽子、下着まで。
リュックなど、もっている荷物もすべてチェックしました。
「いやいや、冬やったんで、えらいことやったで。
風邪ひくかとおもうたわ。
わしも、責任じゅうだいやけんね。
さむうて、こおうて、ちじみあがったで!」
今でも、あの黒い土地は、焼かれているのでしょうか?




