石じじいの話・林業従事者たちの冬(ロシア)
石じじいの話です。
知りあいのロシア人が語りました。
ロシアの木挽きの話です。
ロシアでは、冬の間、地面が凍結して農業ができないので、農民たちは、山で森林伐採や製材作業にたずさわりました。
自分たちで山小屋をたてて、そこで数カ月間、作業をしながら冬を過ごしたのです。
山には、さまざまな人がいました。
木こりは、木を伐り倒しました。
木挽きたちは、その木を切って板や角材に加工しました。
現在では、電動のこぎりなどの機械で行う作業ですが、当時は、すべて手作業でした。
木挽きたちは、寒い作業小屋のなかで、もくもくと木を切りました。
寒さで、しもやけになりました。
のこぎりを使っていると、手に水ぶくれができました。*1
筋肉痛にも悩まされました。*2
おがくずを吸い込まないように注意しないといけません。
呼吸器の障害を引き起こしますから。
木こりが伐採した木の皮を剥ぐ職人は、別にいたそうです。
木こりは、木を伐るだけ。
運ぶ人は、また別でした。
木材生産の作業効率を上げるために、完全な分業体制が確立されていました。
彼らは、一つの小屋のなかで、お互いの故郷の話をしながら励ましあって、冬を越しました。
そして、春になると、たくさんの給金をもらって故郷に帰るのです。
この厳しい雪山では、「雪女」や「雪男」のような魔物が襲来したことはありませんでした。
しかし、たまに、「真っ黒な雪」が降ることがあったそうです。
このときには、森林での作業は中止になりました。
黒い雪は、白い雪とはちがい、何日も降り続けることはなく数時間でやみ、積もっても、すぐに融けてしまったので、晴れるとすぐに仕事が再開さ
黒い雪には、煤や砂塵が混じっているわけではなく、融けると、黒い色は完全に消えたそうです。
*1 ツルハシやナタなどを使って、手に水ぶくれができた経験のある人もいらっしゃるでしょう。
*2 経験のある方も。




