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石じじいの話・金属が発する光線
石じじいの話です。
石を集めて売ることを生業にしていた、じじいは、以下のような理論を聞いたことがあったそうです。
その理論は:
金属からは固有の光線が発せられている。
それを、なんらかの方法で感知することによって、鉱山や鉱脈を発見することが可能なのだ。
たとえば、黄金の発する光線を見つけることができれば金山を発見できる。
この光線は、金貨からも発せられる。
ただ、理論において、未解明の点がある。
つまり、その「光線」は、黄金じたいから出るのではなく、黄金を通して「神仏」が発しているのかもしれないということだ。
あるいは、悪鬼や「人を惑わす存在」が発しているのかもしれない。
さらに、黄金に執着する人の亡念によるものである可能性もある。
しかし、いずれにせよ、その光線によって、特定の金属の存在を知ることは可能なのだ。
じじいは、その理論を唱える人に、「岩石や化石からは特有の光線はでないのか?」と尋ねたそうです。
その理論家は答えました:
「うむ、その岩石や化石に、金属が含まれていれば、その金属から光線は出るだろう。
しかし、その場合は、金属は微量だから、発せられる光線も微量だ。
野外で、肉眼では検出不可能だろうな。」
と。
「けっきょく、石さがしは、脚で稼がないといけないな」と、じじいは、あらためて覚悟したそうです。




