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異世界転生幻想放浪記  作者: 灼熱の弱火 
兎と盾
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第38話 悪意

38話です。よかったら見てってください。

 視点レミィ


 私は夢でも見ているのだろうか?今日初めて会った人達に意味不明な事言っただけじゃなく迷惑までかけ、ご飯までご馳走になっている。そしてその2人に頼まれダンジョンを案内した。夕暮れには戻るというからてっきり1~2階で切り上げ戻るものだと思っていた。


 そして今5階にいる・・・・この人達、戦闘の速度が全然違う。新米の私が知ってる限り一番早いコンビだった。ディードさんは剣と鞭を使い魔物を倒していく。リリアさんは見た事ない剣で魔物を斬っていく。

 そして時々ディードさんの鞭はあり得ない方向に行くし、突き刺さる。


 リリアさんの武器は5階までの敵を野菜を斬るような感覚で斬っていく。何あの剣?ここの5階に出てくる。【兵隊蟻】(ソルジャーアント)はそんなに柔らかくないんだけど?銅の槍なら突き刺しても貫通しない程度には硬いはずなのに、なんでブツ切りになってるの? それなのに【大蛙】(ジャイアントフロッグ)を見つけるとディードさんの後ろに隠れるの?それを苦笑いで済ませるディードさんは可笑しい・・・。普通なら怒ってもいいはずなのに、この2人はよくわからない。


 ディードさんもディードさんでスライムは素材になるのか?仲間にできるのか?研究してる人を知らないか?喋るスライムは居ないのかとか聞いてくる。なんでそんなにスライムに拘っていたいんだろう? 下級のスライムは魔核を潰すと消えるし素材にならない、仲間や研究してる人は知らないと言うと凄くガッカリした顔をしてた。何か転生したスライムとか何か言ってたような気がするけど、私にはわからなかった。


 でも一番驚いたのは、あのアイテムボックスだ。ディードさんが持っている能力で結構な量が入ると言う。初めて見た。

 一応内緒にしておいてねと頼まれ魔核や素材は私、食料になる魔物はディードさんが持っている。

 私の仕事をあんまり取らないで欲しいと思うけど、さすがに倒した魔物は全て持てないから2人で選別して持つことになった。



 今日は5階までで終わりにする事になったけど、明日も一緒に潜ってくれないか?と言われた。私は勿論引き受けた。だってこの2人と一緒に探索出来て楽しいし、おしゃべりも出来てすごく楽しかった。

 こんな笑顔でダンジョンの外に出たのは1度も無かった。 いつも必死でダンジョンの中を探索し続けて、挫折して、悔しくて、泣いていたのに今日はここに来て一番いい日だったと思う。



 でも私が案内できるのは10階までだ。そこから先へはまだ行けない。案内できない。仮に一緒に行ったとしても私は荷物を持つだけ。戦闘に参加できる装備も持たない私には10階から先に行くには厳しい。

 10階から先に行くにはパーティーを3人以上で組まないとダメらしい。行けなくもないけど魔物の数に押されて負けてしまうらしい。そしてポーターは数に入らない。あの2人なら何処にでもパーティーに入れてもらえるだろう。そうしたら私はそこまでだ。パーティーを組んでダンジョンを探索している所は大抵ポーターがいる。私はそれに加入することがまず無理だ。私の案内は10階までだ。2人と別れるのは寂しいけどそれまでは一緒に居たいと思う。 でももし・・・・叶うなら・・・



 ◇◇◇◇


 5階の魔物を一通り倒すと今日はここで戻ろうとレミィが言い出してきた。ダンジョンを出る頃には夕暮れになっていると伝えられた。 ダンジョンの中も大体把握できたし、特に異論は無かった。2人は明日もレミィと一緒にダンジョンに潜って欲しいと頼んだら二つ返事で帰ってきた。時折レミィの寂しそうな顔を

 するのが引っ掛かり印象に残るディード。


 3人はダンジョンから出て真っ先にギルドへを向かう、本日の収穫を換金する為だ。ギルドではレミィの所持していた荷物を全て売って換金する事になっている。

 それを3等分する事で決着も付いている。 レミィはそれだと貰いすぎだと言われたが、2人としては何の問題も無いので押し切っている。 


 それでも何か言いたそうなレミィだったのにディードが気づき、宿とテントを売っている場所の案内と夕飯を一緒にすることで折り合いをつけてもらった。

 レミィに雑貨屋と宿を紹介して貰い、細々としたものを購入、そしてこにゃは3人で夕食を取ることになった。

「本当に私まで、ご一緒していいんですか?しかも奢りで?。」

「今日だけ特別。明日は朝から潜ってみたいし、空腹で倒られても困るし。」

「あぅぅ。それは思い出させないでください・・・。」


 赤くなった顔で見せないように手で覆い隠すレミィ。そして隠してはチラチラとこちらを見るその仕草がリリアの心を大きく揺り動かし行動(ぼうそう)に移させる。

「ああ~~~もう可愛いなぁぁ~このまま持って帰りたいぃ~。」

「あわわわ~何するんですか~私はペットじゃないんですぅ。頬ずりしないでください~。」


 微笑ましい光景を少しだけ眺めてから止めに入るディード。これ以上暴走させると店に迷惑がかかる。

 少し談笑をし、運ばれてきた料理を口に3人の夕食は実に楽しげだった。

 その後。


「今日は本当にありがとうございました。また明日、2の鐘(午前9時)が鳴る頃にダンジョン入口で会いましょう。」

 深々と頭を下げるレミィ。 2人は手を振りまた明日と紹介された宿に向かって行く。本当だったら同じ宿の方が楽なのだったが、生憎レミィが取っている宿は空きが無いそうだ。


「今日は楽しかったね、ディー。夜は大変だったけど、街に来てからは楽しい事があったし。」

「レミィちゃんと弄り回してただけに見えたが?。」

「だってあの娘可愛くない?本当の兎みたいでビクビクしてて可愛いじゃない?思わず抱きしめたくなっちゃう!。」

「・・・・それ本人の前で言うなよ。多分傷つくぞ。」

 ため息交じりでリリアに注意を促すディード。 リリアもわかっているらしく軽く手をあげ振っている。


「まぁそれにねあの娘、ふとした瞬間寂しそうな顔をするのよね。それがなんか引っかかっちゃって、そんな顔させるかー!って抱きしめたくなっちゃう。 空腹で倒れるぐらい色々な苦労があって、ダンジョンに潜っているくらいだらきっと苦労してるんだよね。なんかほっとけなくなっちゃう。だからディーも夕飯一緒にとったりしたんでしょ?。」

 リリアも彼女を気づいており、彼女なりの励まし方だったのだろう。だが、過剰なスキンシップだったような気がするが・・・・・ディードの姉エリンの行動を真似たのか?と少し頭を痛めるディード。


「気づいていたのか、まぁあの顔は見てしまうと放って置けなくなるな・・・。」

「あら、随分優しいのね。お人好しさんかな?それとも彼女に惚れちゃった?。」


「優しいのは元からだな。どっかのお嬢さんも助けるぐらいにはお人好しだったと思うが?。」

「あの時はタスケテクレテアリガトウゴザイマシタ。」


「棒読みだな。」

「気のせいよ・・・・ふふふ。」


 2人は談笑しつつ宿へと向かう。軽口を言い合っているが、彼女の事を気になっているらしく、段々と口数が減り次第に彼女の話題へとなっていく。


「ねぇディー。もしあの娘が一緒に旅したい、とか言ってきたらどうする?」

「歓迎するけど、まずは俺達の事も知ってもらわないとね。それにここで危険を承知で働いているなら何か事情があるはず。それを知ってから俺達はどう動けるかだよ。」


 彼女の事は気がかりだが、リリアも自分の事を棚に上げてばかりではいられない。もし封印を解く為に身内と争う事になれば、レミィにどんな負担を強いれてしまうかわからない。万が一彼女が人質なったとしたら後悔しか浮かんでこない。だから慎重になるしかないのだ。それはリリアも分かっている。


「そうね、簡単には行かないかもね。でもレミィちゃんと一緒に旅が出来たら楽しいかもね。まずは数日様子を見てからの方がいいのかもね。」

「そうだな。それからでも遅くはないと思う。それにもう宿が見えてきた。取りあえず休んで明日に備えよう。」

「そうね、そうしましょう・・・明日は一杯頑張らないとね。」


 2人は宿へと消えていく。



 一方その頃


「きゃっ!。」 

 突き飛ばされ尻餅をつくレミィ。


「今日は随分気前のいい冒険者にあったんだな。盗んだのか?それとも娼館に働きだしたか?」

 本日のレミィの稼ぎ分の袋を持ち、彼女を見下げる冒険者。


「それは返してください。まだ()()まで時間があります。」

 彼女が手を伸ばし取り返そうとすると、男は手を払い再びレミィに尻餅をつかせた。

「これは利子分だ。ホレ・・・残りは返しておくぜ。」


 投げられた行員は銅貨10枚。レミィの止まっている宿で素泊まり分だった。本日のレミィのダンジョンの収入は2銀貨。収入のほとんどを男に取られた様だった。


「それじゃ期日までまだ時間があるし、頑張るんだな。期日までに返せないと奴隷落ちか娼館行きだからな。まぁ片耳の小娘じゃ娼館行っても売れないと思うがな。  じゃぁ~な。ぎゃはははははは・・・・。」

 男は高笑いをしながら去っていく。勝ち誇ったように・・・・その意図的な()()を振りまきながら。



 彼女はその場で顔を手で覆い、ただただ泣いていた。

「もうやだ、こんな生活・・・・お父さんお母さん。・・・・・助けて・・・・ディードさんリリアさん・・・。」



気になったり、良かったと思ったのでしたら、ブクマ評価などをして頂けるとありがたいです。


最後まで見てくださってありがとうございます。

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