第33話 休日
第33話です。良かったら見てやってください。
(なぜ俺は正座させられているんだろう・・・・)
ディードは現在≪住処≫でアイリスによる説教を喰らっていた。
「ちょっと聞いているの?ディー?。貴方は油断し過ぎなのよ!。」
「そんな事言ったって、街中でまさかあんな絡め手で襲ってこられると思ってなかったし、久しぶりに同郷の人間と会えて嬉しかったんだよ?。」
「そ・れ・で・も・アンタは油断し過ぎなの!もしこれが街の外だったら死んでいたわ。もう少し周囲に気を張りなさい。」
「街の外だったら逆に油断しな「何か言った?。」 「いいえ、ナンデモゴザイマセン。」
凄むアイリスに口答えする余裕すら与えないアイリス。言いたいことは言いきったのか、ため息をつき、仕切り直すように話しかけてきた。
「それとこの間≪住処≫に来た時、アンタに言い忘れてたことがあったから伝えようと思ってね。」
「言い忘れてたこと?。」
「そう、リリアのお嬢ちゃんのおかげで、今までの倍近くアイテムボックスが使えるようになったわ。それと追加で、その槌に魔石と魔核を取り込めるようにしたの。今まで以上に強い武器が作れるようになったわ。」
アイテムボックスの容量が倍になったのは嬉しい事だ。槌も機能を追加とかただでさえ失敗しない槌なのにさらにチートに磨きがかかった状態だ。
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ。追加の機能はどーやればいいの?。」
「槌で石や核を叩き潰すといいわ、勝手に吸収してくれるから。後、1つ作るのに同じ属性の物をいれるようにね。」
説明が終わるとアイリスは再び険しい顔になる。嫌な予感がするが・・・
「後もう一つ、ついでだけどアンタの戦い方、どーも泥臭いというか華やかさがないのよねぇ。もっとこうリリアのお嬢ちゃんみたいに、こうズバットとか、ザクッと一撃で倒しなさいよ。」
しょーもない事だった。
「それは無理だ。相手を確実に仕留める為にやってるんだから。後、一撃で葬るのに武器がまだ心元ないのが現状だ。」
「だから追加の機能を付けたのよ。もっと恰好よく振舞いなさい。アンタはに力を授けた親としてはもっといい格好させたいのよ。私達の技とか使わないじゃない?」
「だって使ったら動けなくなる一撃必殺技じゃない? そんなもん使った後どーするのさ?」
「うぐぐぐ・・・だったらリリアちゃんに助けて貰いなよ?」苦し紛れに矛盾した事を言い出すアイリス。
「いや、そっちの方が恰好悪くないか?」
たしかにアイリスの技は強力だが、使用後魔力が空になり動けなくなるので基本NGだ。 緊急時以外に使ったら毎回倒れる事になる。それはそれで恰好悪いと思うディード。
「ううう、だったらファグの技を「いやもっとダメだろ?さらに動けなくなる。」
「な、ならアンタはもっと《仲間》を作りなさい。リリアちゃんの封印を解くだけじゃなく、他の日本人がいるか探すんでしょ?そーしなさい。」
(仲間か・・・確かにいつか欲しいと思ってたが、俺とリリアには大きな秘密がある。それを飲み込んでくれて一緒に旅できる仲間か・・・難しいだろうな・・いっその事戦闘奴隷とかでも雇うことになるのかも知れないな。まずは金策とかしなければならないけど・・・)
「そこは追々考えておくよ、ありがとうアイリス。俺の為に色々してくれて。」
笑顔で礼をいうディード。 意外な反応に一瞬たじろいだが、感謝されまんざらでもないアイリス。
「わ、わかればいいのよ。これからも精進しなさい。」
チョロい女神であった。
そろそろ≪住処≫から出ようとした時にファグが顔を近づけてきた。そして一言だけ。
「クッキー。・・・早く作れ。」
「お前は、子供か!」
≪住処≫から出て、目が覚めると朝になっていた。ディードの片手はまだリリアと握り合っていた。
余程、不安だったのだろうか? 彼女の頬には涙の跡がうっすら見えていた。
「お母様・・・。」 彼女の小さな寝言はディードは聞かなかった事にしようと思った。
街が活気づく頃、2人は買い物をしていた。目的は調味料と食材探しだ。
塩は比較的に手に入るのだが、他のが思うように手に入らない。
砂糖や胡椒が高かったりして手に入れるのは困難だった。だが、逆に嬉しい事もあった。
日持ちしない食べ物に関しては、比較的安かった。牛乳や果物などは安易に手に入った。
ディードはアイテムボックスに入れれば、中の物が時間が止まるので大量に確保できる。
だたしどっかの誰かにつまみ食いされるのが難点なのだが。
諸々を買い今度は雑貨屋で数種類のビンと鉄鍋、フライパン、コップ様々な調理器具を買った。おかげで手持ちがまた銀貨数枚に戻ったのはリリアに内緒にしておこうと思うディード。
「ねぇディード?なんでそんなに調理器具買ってるの?ここで屋台でもやるつもり?。」
不思議そうな顔で見つめてくるリリア。それもそうだろう、旅に必要な道具とは思えない道具ばかりだ。
この街で腰を据えて生活する為ならまだしも、ディードの今回の買い物は疑問が残る事が多いのだ。
「あー少し調理したいのと、新しい事が出来る様になったのでお披露目かな。うまくいけば旅の食生活も楽しくなるから楽しみにして。甘いお菓子も作れるようになるから。」
ディードが伝えると、リリアの顔が一変する。甘いお菓子という単語が彼女の中で何かを変えようとしていた。
「甘いお菓子?ねえ甘いお菓子作れるの?あの桃とか他のもディードは作れるの?ねえ作ってお願い。」
目をキラキラ輝かせ、シイタケ目の彼女はディードの両肩を掴み前後に激しく揺さぶっていた。
「りりりあああ~~。だからまってってば~~。」甘いお菓子という単語だけで、こうも反応されると嬉しくもあり、伝えずらいなと思うディード。
一通りめぼしい材料と器具を買い終えた2人は、ギルドに向かう。さすがに昼前になるとめぼしい依頼は無かったので、今日は休日と称し、街の外へ探索に出かける事にした。
天候にも恵まれ、街から少し離れた場所に腰を下ろし昼食を取る2人。今日の昼食はある程度量を少な目に取っている。
「ディード、今日のご飯少し少ない?」
「ああ、これからここで甘い焼き菓子でも作ろうと思ってるから、抑えてあるんだけど物足りないかな?」
リリアは目を輝かせ、興味深々と迫ってきた。
「お菓子作るの?ここで?食べたらすぐ?どんなの作るの?。」
「まずは、簡単な焼き菓子からだよ。勿論リリアにも手伝ってもらうから。」
「え?。」 「え?。」
まさか自分は食べるだけだとでも言いたいのか?このお嬢様は・・・とジト目のディード。
リリアの方もまさか作れと入れると思ってなかったらしく、挙動不審であった。
「一応聞くけどリリア、俺が全部やるの?」
「わ、私は周りに魔物居ないか見張ってるから・・・えへへへ。」
思い切り目が泳いでいる・・・・さらに見つめると、口笛を吹く素振りを見せるがままならない状態。
「一緒にやるよ?」
「はい・・・。」諦めた様子でディードに近づくリリア。どうやら調理関係は苦手らしい。
今までの度もディードが調理したり、ただ焼くだけの旅だった事を少し反省するディード。
「そうそう、そのまま混ぜてて・・・。」
「う、腕が・・・・ねぇディードまだ?」
「まだまだ。がんばって。」 「うぅぅ・・・。」
小麦粉、蜂蜜と油を入れ混ぜ合わせるリリア、ディードは石で囲いを作り鉄板を置き、更に石を積み重ね、天板を敷き、簡易オーブンを作るディード。
鉄板に薄い油を塗布し、焦げ付かないように焼き始める。 周囲からは香ばしい匂いが漂ってきた。
その匂いに釣られ、近づいてきたゴブリン共はリリアによって瞬殺されるのはご愛敬だ。
火加減は薪とディードの魔法によって調整され、待つ事十数分こんがりキツネ色のクッキーが出来上がる。
出来立てを頬張る2人には笑顔があふれていた。
「う~ん美味しい~。」
「うん。素朴だけどイケるねコレ。もう少し作ろうか?」
「あぁ・・腕が・・・。」
「そこまでの程じゃないでしょ?今度は俺が混ぜるから。」
その後の何度か作り、アイテムボックスに収める2人。何度か繰り返す後、リリアが鉄板に油を引き忘れ焦げ目が強いクッキーが出来上がるまで作り続けた。
こうして2人の休日とも言える日は過ぎていったのだった。




