第34話 次へ
34話です。よかったら見てやってください。
次の日、ディード達は朝からギルドに訪れていた。 勿論クエストを受ける為だ。
昨日は食材を買い込み過ぎた為、金銭的に心許無いからだ。2人のギルドランクでもやれるような討伐系でも探そうかとギルド内に入った時、中の雰囲気が一気に変わった。
(なんだ?視線を一気に浴びてる気がするんだけど・・・・一昨日のアレの一件か?)
周囲からも小声が聞こえてくる。どうやら注目を浴びているのはリリアの方だった。
『おぃ、・・・あの娘が例のアレか?元兵士を切り刻んだっていう。』
『なんでも、そこの彼氏がイチャもんつけて刺された所を逆上したとか・・・』
『俺は問答無用で斬りかかったって聞いたぞ・・・』
などと事実と異なる事が広がっていた。所詮噂話に尾ひれがついた程度なのだが、リリアの方は俯き表情が曇っている様に見えた。
「リリア、所詮小言だよ?気にしてたらキリがないよ?それにその内、忘れ去られるからこんなの。」
「分かってる。分かっているんだけど・・・。」中々割り切れないでいた。
仕方がないので、今日も受注の要らない討伐か採取のクエストをやりに行くかと、ギルドを出ようとした時に、ギルドの受付であるマーチに呼び止められた。
「リリアさんディードさん。すみませんがこちらにお越しいただけませんか?先日の元兵士の逃亡犯の確保の事でまた礼状と謝礼を預かってますので~。」 マーチは周囲の小言を吹き飛ばすように大声で叫んでいた。きっとディード達に対する配慮なんだろうと察する。
大声で呼び止められる2人は、大勢の視線を集めつつも受付まで向かって行った。マーチの大声が聞いたのか、先程の小言が無くなりギルド内は静かになっていた。
「すみません。帰ろうとしてらしたので大声でお呼びたてして申し訳ないです。」
「いや、問題ないよ。それより逃亡犯って?アイツ等そんなのになってたの?」
「はい。なんでもこの街に入る時、旅人達に必要以上に金品などを要求、そしてその一部を横領した疑いで兵士を解雇並びに街を追放。ここまではお二人ご存じですね。その後街に不法侵入と兵士を負傷させた疑いで捕縛命令がだされたんですが、逃げられまして。それでヤツらが貯めていた金品を持って再び街から出ようとした所にディードさんリリアさん達が立ち塞がったって訳なんです。」
一部嘘が混じっているが、マーチは周囲に聞こえる音量で話していた。それはまるで彼女がディート達を弁明するかのようだ。
「そしてディードさんリリアさんが主犯を確保してくれたおかげで、兵士達をかき回していた囮達も次々に捕まり、最終的には一味をほぼ全員確保出来ました。それによって色々と問題がわかり、その切っ掛けとなった二人に報奨金が、この街より出る事になりました。おめでとうございます。」
一人で声を張り上げ、拍手をするマーチ。周りの冒険者達も次第に拍手し最終的にはギルド内で拍手が沸き上がっていた。
さらにマーチが言葉を続ける。
「つきましては、こちらの報奨金とギルドランクアップの申請を行いますので、カードを提出をお願いします。」
まさかのランクアップまで付いてきた。 どうやらムレの一味の犯行は門番の巻き上げだけではなく、結構奥深い事までやっていたらしい。 通行に関してしての犯罪・・・犯罪者の密入国と麻薬、武器などの密輸だ。 街としては頭痛の種だったのだが、あの事件により色々と明るみ出てきたのだろう。
ディード達にとっては、不運だったのか幸運だったのかなんとも言えない事だった。思い起こせばムレに偽装したアイテムボックスを見せなければ起こらなかった。ただ、ムレ達が真面目に働いていたらそんな事もなかったわけだが・・・
やがて準備が終わったのか、マーチが受付に戻ってきた。渡されたカードにはランクDと表示されている。そして報酬金は小さな袋に入れられていた。そして、マーチが2人に手招きして内緒話する為に引き寄せてきた。
「実はあの夜、私もあの現場にいたんです。2階から見ていましたよ、リリアさん素敵でした。ディードさんも彼氏としてもっと頑張ってください。」 ・・・とこっそり2人に耳打ちしてきた。
それを聞いたリリアは狼狽え、ディードは違うと素で返したが、マーチは終始笑顔で返していた。
きっとこの間の蛙の仕返しなんだろうかと邪推してしまうディード。
微妙な雰囲気になり、ギルドを出る2人。
「取りあえず、今日は何か買い物をしてから街の外で探索でいいかな?。」
「そうね・・そうしましょう・・・。」 どこかぎこちない2人は街へ繰り出す事になった。
とはいえ先日欲しい物は粗方揃えたので、今はそれほどない、強いて言えば外で調理する時に竈みたいなものがあればと思い、そのまま石材店へ行きレンガを仕入れた。 支払いの時に先程の報酬金で支払おうと袋から取り出す。出てきたのは金貨2枚だった。
「おぉ~金貨だ~。いい仕事したね~。」
「いや、これマズイだろ?多分口止め料込みの金額だと思うぞ。じゃないとこの報酬はおかしい・・。」
「口止め料?。」 リリアは首を傾げディードに尋ねてきた。
「ああ、兵士が大きな不正をしていました~、なんて大っぴらに話をしたら、この街の沽券に関わる。だから報酬は弾むからしゃべるなよって事だと思うよ。この金額は・・・。」
「あら~それじゃぁ、あんまりあの人たちの事はしゃべらない方がいいねぇ・・・。」
なんとなく理解したリリアだが、アイツ等のの事なんか喋る気にすらならない。逆に漏らしてしまえば自分達も少し危うい位置にいるかもしれない。と悟るディード。
2人の持つ秘密は隠せるものなら隠しておいた方がいいからだ。支払いを済ませ小さな広場で腰を下ろす2人。 やがてディードは広場で大きく寝そべり、目を閉じ深呼吸をし考え事をしていた。
(ここでのやりたいことは大体やったかな? 次の街に行く資金も出来たし、備品も2人分以上に揃えたし、後は武器や防具だけど、魔銀やミスリルなんて物は基本なさそうだし、次の街で色々仕入れるか・・・それとリリアの封印の事も解除できる人が・・・・いやかけた本人を倒さないとダメなんだっけな・・・それは兄弟を・・・)
「ディード何を考えてる?」 目を開けるとリリアが覗き込むように話しかけてきた。彼女の綺麗な髪が、そよ風に流され綺麗になびいている。下から見る彼女の顔は、髪だけではなく全体に日の光を浴び綺麗に輝いていて見惚れる程だった。
「んー そろそろ次の街に行こうかな~と・・ね。もっと色々見て回りたいし、色々な事を知りたい、それに今回みたく背後から刺されないように仲間も欲しいしな~とかね。」
「そっか、それもいいんじゃない?私も美味しい物も食べたいし、色々知りたいしねー。」
「食べ物が先なんだ? まぁ確かにそれもいいね。だけど太らないようにね。」
「なによー運動してるから太らないし、余計なお節介だもん。」
子供っぽく頬を膨らませ、そっぽを向くリリア。だがその姿が大きなギャップを産み可愛らしくもあった。 やがてお互いに顔を見た時に、互いに噴きだし笑いあっていた。
「よし!それじゃ次の街に行こうか。そうと決まれば次の街に行く準備をしよう。」
ディードは仰向けになっていた身体を起こし、リリアに手を差し伸べる。それを受け立つ彼女は髪を後ろに流し問いかけた。
「準備ってどうするの?」
「次の街の道のり、地図があれば嬉しいけどまずは情報かな。ギルドは今すぐ戻るには気まずいから、まずは優一さんの所へ話に行こうか。」
「そうだね。」
そして2人は優一の元へを向かった行った。
最後まで見てくれてありがとうございます。




