六話 【クリーク村】(前編)
やっと村に着いた。
スマホ時間で10時30分と表示されている。
6時起床で、準備を30分と考えると、多分4時間くらい歩いたのだろう。
「疲れたか?」
4時間歩きっぱなしだぞ?
途中で休憩を何回かしたが、休憩時間が短い。1、2分程度だ。
中にはそれで十分と言う人もいるだろうが、俺は10分くらいは欲しいと思った。
「疲れますよ・・・」
「そうか?」
そんな二人に少し感心する。
マラソン選手とかもこんな感じなのかな?
「ショウは体力ないんだね」
「ヘレン・・・」
ヘレンさん、痛いこと言うね〜
ロジャーさんに睨まれてるよ?
「長距離を歩く機会が無かったもので・・・」
「なら仕方ないわね」
それで納得するのも驚きだが・・・
あれ?
今すれ違った人の頭に猫耳がついてた。
「どうした?」
「いえ、何でもないです」
顔に出てたか。
「そうか?」
「はい」
今のは気のせいだ。うん。
あれ?
あそこにもいる・・・
角が生えてる・・・
幻覚かな?
「ショウ、大丈夫?」
「え?あ、はい」
疲れが溜まってるのかな?
きっとそうだ。
進むにつれて、人が多くなって来た。
どう見ても人じゃないのもいる・・・
「ロジャーさん、ちょっと・・・」
「ん?」
なるほど、知らなかった。
知っていたとしても初めて見るから驚きは隠せない・・・
どうやらこの世界には亜人がいるようだ。
すれ違ったのは獣人、ドワーフもさっきいたらしいが、獣人の耳の方へ目が行ってしまってた。
しかし賑やかだな。
町に入ってからずっと大通りと思われる場所を歩いているのだが、道の両脇に屋台っぽいお店や、フリーマーケットみたいに地面に布を敷いているお店が並んでる。人が集まってるところもあれば、そうじゃない所もある。
「あそこがギルドよ」
どこだ?
ヘレンが指した方を見る。
「え?」
その隣の建物じゃないのか?
ロジャーさんが凄い笑顔だ。
「どうだ驚いただろう!」
ギルドと言っても、木造のでかい建物としか想像してなかった。
そりゃ驚くわ・・・
まさか、この町で一番でかい建物とは思わないだろう。
「入ろうか」
「はい」
中に入る。
中世の酒場に似てる。
映画でしか見た事ないが・・・
酒場と言っても、市役所の受付と酒場をくっつけた感じで、とても広い。
聞いた話によると、ギルド自体の仕事をするだけでも結構な場所が必要らしい。
掲示板や受付、取引用のカウンターなど設置するからだ。大きい荷物を取引用することもあり、それなりに場所を取ってる。
しかしそれだけの施設があっても、対応し切れずに冒険者達を待たせることがあり、その冒険者達の暇つぶし用に酒場を作ったらしい。
ここに来る途中の説明で、「クリーク村のギルドは凄いわよ〜」とヘレンさんが自慢げに言っていたのが理解できた。
「人がいっぱいいますね」
「皆冒険者だ。冒険者の村、クリークと言われるほどだからな」
そうなんだ、へぇ〜
今はそれしか言えない。
本題に戻ろう。冒険者になるために来たんだ。
「えーと、冒険者ってどうやってなるんですか?」
「ああ、あそこだ」
「ありがとうございます」
受付カウンターへ行く。
受付のお姉さんがこっちに気付いてスマイルを見せてきた。
俺もスマイルで返す。
「こんにちは!今日はどの様なご用件で?」
「冒険者になりに来たんです」
「分かりました。少々お待ちください」
そう言って、後ろから書類を持って、カウンターに出す。
「こちらをご記入ください」
読めない・・・
ロジャーさん助けてっておい、なに酒飲んでるんだよ・・・ヘレンさんも混ざらない・・・
仕方ない。
「あの・・・」
「!?失礼しました。ここにお名前、年齢をご記入ください」
よく気付くな、流石だ。
だが、ここで問題が出て来た。
日本語が通じるのに文字は通じない事が分かった。
名前を書こうにも書けない。
「すみません、字が書けません」
「分かりました。そしたら私が記入しますので、お名前と年齢を言って下さい」
「翔、17歳です」
「ショウ様、17歳でよろしいですね?」
「はい」
お姉さんが書いたところを見る。
数字は元の世界と同じみたいだ。
しかし、数字が元の世界と同じなのは非常に助かる。これなら値段が分かる。
買い物ができるという事だ。
「ショウ様、登録が終わりましたよ」
「ありがとうございます」
「冒険者のギルドカードを発行しますので、少々お待ちください」
「はい」
お姉さんが戻って来た。
「こちらがギルドカードです。ここにお名前と、職業の欄に冒険者と書かれてます。これは冒険者のランクですね。現在はFです。依頼を受けたり、魔物討伐をすると、ランクが上がります。また、その時の成果に応じて報奨金が出ます。あと、カードを失くすと、再発行に料金が掛かります。料金はギルドによって違うのでご注意ください。」
「分かりました」
カードを受け取る。
このカードは身分証みたいなものか。
「ありがとうございます」
お姉さんに負けない笑顔でお礼を言う。
「ありがとうございました」
笑顔にウインクを付けてきた・・・
よし、ロジャーさんとヘレンさんの所へ戻るか。




