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転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
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四十五話 【初登校】




「じゃあ、行ってこい」

「はい。行ってきます!」


ロジャーさんに挨拶をして乗合馬車を降りる。


「ショウ。御者との挨拶は終わったのか?」

「ああ。終わったよ」

「しっかし。御者が知り合いってのはいいなあ。タダで乗れて」

「そんなこと言うなよー」


ロジャーさんの乗合馬車に乗った際、ロバートと偶然居合わせた。

乗合馬車は時間差で出ているため単に時間が被っただけだろう。


「それより1、2ヶ月ぶりじゃないか?」

「それぐらい経つな。ショウはその間何してたんだ?」

「俺は、帝都の外周を。じゃなくて・・・」


ふーあぶねあぶね。

一応機密情報なんだ。

危うく喋るとこだった。


「で、何してたんだ?」

「ああ、車の整備をしてた」

()?」

「!!」


ロバートの真剣な視線が刺さり、頭の中が真っ白になる。

別のことを思い出そうとしたあまり、先日の事をそのまま口にしてしまった。


()()の事か?荷車でも直してたのか?」


馬車?

ああ、そうか。

ここでは丸い形で回転するものを指す。ごく稀に方言レベルで馬車自体も車と(そう)呼ぶんだ。


「あ、うん。そんなとこだよ。ロバートは何してたんだ?」

「剣術と馬術を習ってたよ。そうだ、聞いてくれ。馬術の講師がさ、自分の馬に嫌われててーーー」


・・・よかった。


ロバートはとくに気にせず、講師が自分の馬に振り落とされる話をそのまま続けた。


今回は上手く誤魔化せたが、次やったらバレるかもしれない。

今後は気をつけよう。


「でさ、どう思う?講師のこと」

「講師ドンマイ」

「だよな!あれにはほんと驚きだよ!」


ドンマイが通じたことの方が驚きだが・・・


そんな話をしながら学院の敷地へ足を踏み入れる。

前回と同じ掲示板でクラスを確認して自分の教室へ向かう。ロバートとは残念ながら別のクラスになってしまったが、移動教室とかあればまた会えるだろう。


「113講義室」

「ここがショウの教室か」

「隣だしいつでも会えるよ」

「そしたら勉強教えてもらう」

「おいっ」


そんな会話をしながら別れる。

教室のドアは結構大きくて屋敷の玄関に付いてそうな感じだ。

見た目は重そうだが実際に引いてみるとそう重くなかった。


魔法・・・ではないな。

超番にバネが巻かれてるのがチラッと見える。


ドアを開けた向こうには、3、4人使えそうな机に対して椅子が2個。机の上に本が1冊ずつ置かれていた。そんな席が全部で10席あり、教壇と教卓。黒板があった。ロッカーは見当たらない。


「おはよう」


席でお喋りしていたクラスメイト数人が俺に気付いて挨拶をした。挨拶を返すと、席は決まってないと言われ、そのままお喋りを再開した。


適当に座り、他の生徒が荷物や鞄をどこに置いてるか見たり、机の上に置いてあった本を読んで暇を潰していた。

時間が経つにつれて生徒も増え始めた。

集合時間は朝の鐘がなる時としか言われてないし、まだまだ生徒も来るのかもしれない。


1人で来る人もいて、友達作りから始まるのは俺だけじゃなさそうだな・・・


しばらくすると、鐘が鳴ると同時にドアから大人が入ってきた。


「お、時間ぴったり」


白衣・・・いや、エプロン?

後ろ結びする様な衣類かな?

腰の部分で結んでいる為、その下に背広を着ているのが分かった。


先生かな?

箱も持ってるから何か配るのだろうか。


20〜30歳くらいで優しそうな表情の人で眼鏡が特徴的。

俺が知っているようなアームを耳にかけるタイプではなく、鼻を挟む感じで眼鏡を固定している。いわゆる鼻眼鏡というやつだ。


その人は教卓まで行くと、箱を置いて挨拶をした。


「おはよう。適当でいいから席についてね」


そう言うと室内が静かになった。


「みんな入学おめでとう。僕は君たちの新しい担任だ。名前はアルフレート・マハンだ。よろしく」


自己紹介を終えてワンテンポ置いた後、出席確認がはじまった。


「みんな来てるね。じゃあ早速だけど、みんなにはコレを飲んでもらう。これは今日の授業に関係する」


と言いながら、エプロンの様な白衣の横から手を突っ込み、背広の内ポケットからスキットルの様な入物を出して中から錠剤を人数分の小さな紙に少しずつ分けながら生徒全員に配っていった。


「これが何か分かる人はー・・・まあ分からないよね。これはアクトーノという薬で、みんなが知ってる言葉で言うと魔力吸収剤だ」


「先生、何で魔力吸収剤を飲むんですか?」


みんなが気になる事を誰かが質問した。

名前からして魔力を吸収して魔法を使えなくする薬と予想できるが、魔法を使わなければ影響は無いんじゃないかと全員が思った。

俺も例外では無い。


「魔力と言うものは、魔法を使う使わない関係なく、全ての人に宿っている。それを実感してもらう為だ」


半信半疑でみんながそれを飲む。

躊躇う人も居たが、先生が「人体に害は無い。僕が保証する」と言って全員が錠剤を飲んだ。


それを確認すると、先生はポケットに手を伸ばして手に収まるくらいの大きさの金属製の円盤を見た。


「あっ。そうだこれも渡さないと」


と言うと、箱に入っていた()()を全員に配った。


「先生、これは何ですか?」


多くの生徒が配られた物が何なのか分からなかったが、俺は分かった。

分かったと言うより、知っていたと言った方がいいかもしれない。


「これは結構珍しい物なんだけど、分かる人は居るかい?偉い人が使ってる場合があるから、見た事がある人がいても、先生は驚かないぞ。当てずっぽでもいい」


「魔道具」

「武器」

「何かを記録する物?」

「飾り」

「計算する機械」


いやいや違うだろ!と言いたい気持ちを抑えていると、先生が「じゃあそうだなぁ」と言いながら生徒達を見回し、貴族出身の生徒を指した。


「えーと・・・エミリ」

「はい!」

「君のお父さんなら持ってるんじゃないかな?」


彼女は少し考えると、何かを思い出した様に答えた。


「私の父はこれを仕事に必要で大事な物と言っていました」

「間違ってはいないね。使い方とか名前は?」

「分かりません」

「そうだな。じゃあ、模範解答をしてもらおう」


模範解答?


「では、ショウ。これが何か分かるかい?」


と、俺に視線を向けた。



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