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転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
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四十二話 【帝都一周の旅】2



2日目以降も順調に進み、ついに旅の第一の難関と思われる帝都の門が見えてきた。

ここを出られれば車の性能を思う存分堪能できる!


さて・・・

例の団長いませんように!

例の団長いませんように!

例の団長いませんようにっ!


「ショウ、なに手を合わせているの?」

「何でもない。言葉遣いもその調子でよろしく」

「あっ・・・はい」


シェリルが少し不満そうな視線を運転席から送る。


団長に関わったらろくなことない。

思い出したくないんだ。



そうして俺たちは門に向かった。


門は空いていて、通るのは依頼を達成しに出て行った冒険者くらい。

依頼はおそらく薪を集めたり食料を調達すると言った具合だ。

なぜ知ってるかと言うと、俺も一応冒険者だ。ギルドの掲示板には目を通す。

この時期にしては珍しい訳でも無かった。


じゃあさっさと出るか。

見たところ団長も居ないし、規制されてなければ帝都を出る分には止められることはない。


載せた荷物が音を立てながら門を潜ろうとする。


「止まれ。何だこれは?」


一瞬にして俺達3人の空気が凍る。


出る分には規制はないはずだ!

ここで潰されてはまずい!

俺の・・・俺達の苦労が!

何か言わないと・・・


「荷車だ」

「荷車だと!?」

「確かに荷物をいっぱい積んでるように見えるが・・・」


怪しまれてる!


「確認してもいいか?」

「確認?何の?」


冒険者らしく強気で答えなければ!


すると帝国騎士が黙り込んだと思ったら俺を睨みつけた。


「・・・この野郎。相手が帝国騎士だってのに敬意も表さないで・・・」


え?


シェリルとドーヴェルをチラッと見ると目を逸らされた。


そういうものなのか?

てっきり基本タメ口で大丈夫かと・・・


「えっあっ・・・失礼しましたッ!」


何か言い訳を考えよう。

少ない魔力で脳の回転を加速させる。

何か使()()()()()がないか一瞬のうちに探す。

あった!

えっとここは・・・


「失礼しました。あそこの2人が走ってくるのでてっきり()()()の偽物かと」


勘違いって事にしておこう。


「あ?()()()()だ!」


と言いながらも俺が指差した方を見る。


「なんだ。交代の2人組か。それで偽物と・・・」

「誰が()()()帝国騎士に変装するってんだ。こいつアホだぞ。時間の無駄だ。通しちまえ」


そこのもう1人の騎士にはちょいと腹が立ってきたが、通してくれるならその方がいい。

面倒事が減る。

ていうか自分たちの仕事を「こんな」とか言ってるし・・・


「え?ああ。そうだな。通っていいぞ」


ほっ


「ありがとうございます」


こうして俺たちは帝都を出た。



◇◇◇◇◇◇



ーー翔達が門を通過する少し前ーー



「ああー退屈だなぁ」

「仕事だから仕方ないさ」

「といってもたかが門番だろう?」

「そう言うなよ。帝都の門だぜ?もっと誇りを持て!」

「はあ」


全く俺は何やってんだ。

帝国のために役に立とうと騎士になったのに門の番人(この有様)か。


ストリア国ではクーデターの噂があったが、その後どうなったかは誰も知らないし、そもそも本当にクーデターがあったかも分からん。


「ほーれ仕事だ。通行人が来たぞ」

「はいはい」


ん?

変わった荷車・・・なのか?

荷物が色々載せられている。

でもガラスの窓の向こうには女が1人座ってる。

人を乗せる乗り物ではあるようだが・・・御者が座る場所が無いから馬車でも無い。

というか何だこのデカイ車輪は?


ますます怪しい・・・


「止まれ。何だこれは?」

「荷車だ」

「荷車だと!?」


ふむ、ガラスの窓が使われてるが・・・


「確かに荷物をいっぱい積んでるように見えるが・・・」


乗ってる女も怪しいな。


「確認してもいいか?」

「確認?何の?」


コイツ・・・さっきから!


「この野郎。相手が帝国騎士だってのに敬意も表さないで・・・!」


女とドワーフをチラッと見ると目を逸らされた。


「えっあっ・・・失礼しましたッ!」


青年の態度が変わった。


「失礼しました。あそこの2人が走ってくるのでてっきり()()()の偽物かと」

「あ?()()()()だ!」


こいつ侮辱しやがって・・・

と言いながらも青年が指差した方を見ると確かに俺たちと同じ鎧を着た者がこっちへ走ってくる。


「なんだ。交代の2人組か。それで偽物と・・・」


ただの質の落ちた冒険者かと思ったが・・・

確かに、騎士がこっちへ走ってくるのを見たら、偽物をとっ捕まえに来たとも取れる。

勘違いか?


「誰が()()()帝国騎士に変装するってんだ」


考えてる側からそんな声が聞こえた。


自分の職を「こんな」って言うな!

俺の職でもある!


「こいつアホだぞ。時間の無駄だ。通しちまえ」

「え?ああ。そうだな。通っていいぞ」

「ありがとうございます」


冒険者にしては礼儀作法もしっかりしてる・・・?

貴族の身分を隠してるのか?

なら偽物と勘違いした俺たちに近づかないよなぁ・・・

まさかとは思うが・・・


「おい、何難しい顔してんだ?交代の引き継ぎ終わったぞ」

「あ、ああ。さっきの青年に聞きたいことがあって」

「さっきお前が解放しただろ」

「・・・」


ついコイツの流れに乗っかって通してしまった。


「着替えて飲みに行くか?」

「・・・そうさせてもらおう」


どうせ帝国は平和だ。

あの青年の事はまた後で考えよう。



◇◇◇◇◇◇



「もう十分離れたぞい」

「ドーヴェル爺。大丈夫なのか?」


コクと頷く。

すると、それを合図にしたかのようにシェリルは助手席へスライドし、俺が運転席、ドーヴェル爺は後ろの座席に乗り込んだ。


「ドーヴェル()()荷物でキツくてごめんなさい」

「構わん構わん!」


俺はキーを回して電装系をONにする。

本当ならさらに回してエンジンを始動させるが、そこまで精密な鍵が作れなかった。

代わりにスイッチを設けた。

エンジンを始動させるためにスイッチを押す。

すると電気モーターがエンジンを回す。


キュルッ

ドルルルルルルルッ


かかり具合も良い!

あとはオフロードを走れるかどうかだ。

倉庫で少し走らせたことがあったけど、段差とか石があると、ハンドルがガクンって回るときがある。

しっかり握れるようにハンドルは細くて直径は大きくなった。


「あっ待って!・・・大丈夫。ただの小さな魔物だった」


シェリルさんは強力な魔法が使える。

火魔法のことだが、なんと、魔力探知もできるのだ!


俺とは違うやり方で、自分の魔力を薄く広げて、その領域内の魔力を探すと言った感じ。

ロジャーさんと同じやり方だ。


問題もなさそうだし。


「じゃあ行きますか!」


この時俺達は互いに色々と未知数な経験をしたのだった。



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