三話 【謎の人物ショウ】
俺はロジャーだ。多分合ってる。
ちょっと色々あって自分の名前を忘れかけた。
今とんでもない物を見てしまった気がする。
放心してたかもしれない。
事の発端は3日前、俺は親父に「面白いものが見られる」と言われ、幼馴染であるヘレンと一緒に、ヘレンの親戚の所へ行く途中だった。
普段は俺一人で行くのだが、なぜヘレンと一緒かって?
親父曰く秘密らしい。
どうやらヘレンの家も絡んでる様だ。
そして、親父がこの事を知って言ったのかは分からないが、目の前でとんでもないことが起きた。
ロア帝国第三地区の親戚の所へ行く途中で、ある少年を発見した。
少年は衰弱していて気絶しているようだった。
声を掛けると助けを求めたので水と食料を分けた。
少年は自分の名をショウと名乗った。
少し変わった名前だなと思ったが、そんな事は今はどうでもいい。
彼の持っている物が異常なのだ。
背負うバッグっぽい物もあったが、まずは着ているものだ。
ショウはシャツを着ていた。一般人が着るには勿体無いくらいの出来だ。生地が良すぎる。親父の商会で色々と見ているが、この生地は初めてだ。それを普段着仕様にしているのだ。
ズボンもそうだ。サイズもピッタリでポケットがちょうどいい位置に付いていた。だが、何よりも驚かされたのは、シャツもズボンも縫い目が全て細かく均等だったのだ。
まあそれよりももっと驚いたのもあるが・・・
ショウは不思議な道具を持っていた。
説明を聞くと、遠くの人と話ができるらしい。それだけでなく、時間を正確に測る時計、まあこれは知っている。貴族のごく一部しか持っていないが・・・
他にも、目の前の様子をパシャっと音を立てて一瞬で繊細な絵を描くシャシンと呼ばれる機能がある。俺の知っている物は、長い詠唱をして、ゆっくりと時間をかけて魔法陣の書かれた紙に絵が浮かび上がる魔法だ。確かに鮮明だが、この魔法は魔術師が詠唱中に見た光景を写すため、詠唱が長く、難易度が高い。だからほとんど使われない。使われるとしたら、王や皇帝が変わった時の記念に専属の魔術師が使うぐらいか?普通なら画家を雇って終わりだ。
あと、ショウに見せてもらったが、その絵を一瞬で白黒にしたり、色をいじることができた。拡大も縮小も、元に戻すことも可能。こんなの見たことがない。他にも地図機能も付いているが今はデンパとやらが無くて使えないらしい。
途中からボーっとして見ていたのでショウは気付かなかったみたいだが、かなりの衝撃を受けた。
はっきり言って、この様に様々な機能を一つにした道具など見たことがない。
もちろん、魔法陣を小型化させて、ショウの持っている物に近づける事は出来そうだが、魔法陣だけでは無理だろう。遠くにいる人と話す魔法はあるにはあるが、相当な金持ちでなければ出来ないし、親父の仕事で一度その魔法装置を見たが、かなり大きい。
それを手のひらに入る大きさにするなど不可能だ。
一体何者なんだ。
まあ、今聞く事は出来ないだろう。
気絶してしまったからな。
ショウが気絶したあと、彼の言ってたスマホをいじってみたが、ショウの様には動かなかった。
人を識別する魔法陣が埋め込まれてるのだろう。
これではどうしようもない。
「ねえ、ロジャー、ショウって賢者だったり?」
賢者がこんな所で衰弱するか?
微妙だな・・・
「賢者では無いと思うな」
「どうしてよ!?」
「賢者がこんな所で倒れるとは思えん」
「た、たしかに・・・」
「取り敢えず、ショウが起きるのを待ってから第三地区へ向かうか」
「移動時間を使って何か聞き出すつもりね・・・」
チッ
バレた。
ショウが起きたら既に目的地に着いていて、解散するという展開は避けたい。
「ヘレンも聞きたい事あるんだろう?」
「そうね、色々と謎なところが多いからね」
そりゃそうだ。
あんなの見たら、質問してもしきれない。
兎も角、目的地である第三地区へ行くのはショウが起きてからだ。
「ふふ、何を聞こうかしら?」
あ、起きたらそこのちっこい質問魔に質問攻めされるな、どうするかな・・・
「今失礼なこと考えたでしょ!?」
「ナンノコトカナ」
殴られた。
事実なのに・・・
「ん・・・」
お、ショウが起きた。
さて、質問魔より先に手を打とう。
「ショウ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです・・・」
よし、大丈夫だ。
さて・・・
こうして、質問魔ロジャーが誕生したのだ。
一話をもう少し長く書きたいですね〜




