↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
39/77

三十一話 【賢者、拉致される】



「やあ!ショウ君じゃないか!」


初めて来た時、俺を全く怪しまずに通した奴だ。


「・・・どうも」


返事をすると、俺の後ろにいた冒険者達が驚いたように言う。


「え、知り合い!?」

「あれ団長じゃないのか?」

「さあ?でも普通に話してるぞ!」


「どうも」の一言しか言ってないけどな。


ん!?

こいつが団長!?帝国騎士団の!?

ああ、この国終わったな・・・


「ショウ君、君に会いたいって言う人がいるんだが、来てもらえるか?」


俺に会いたい人?

誰だ?


団長はニッコリ笑うと、「こっち」と手招きをした。


頷いてそのまま門まで付いていく。

手荷物検査は無いみたいだ。

門をくぐり、テントの方へ向かって行く。

テントの中に俺に会いたい人が居るのか?


「誰かな」

「合ってからの()()()()()


団長の後に続いてテントに入る。


「あれ?」


誰もいなかった。

それともこの後誰かが来るのか?


ガツンッ


「ッ!?」


衝撃が走り、意識が薄くなる。



ーーーーーー



目がさめると、俺はベットで寝てた。


ここはどこだ・・・?

確か帝都ロアの門まで着いて・・・

思い出した!

団長に殴られたんだ!


そういえば、殴られたはずの頭は痛く無いな。

手で触ってみても、傷らしいものはない。

気絶させた後に治したのか。


「あっ」


起き上がる俺に気づいたのか、小学生くらいのドレスを着た女の子がドアの隙間から声を上げた。


「にいに!」


「・・・・・は?」


にいに?誰に言っているんだ?

周りを見て確認するが、俺と女の子しかいない。


「に!い!に!」


俺に妹なんて居ないぞ?


しかし彼女は俺から視線を外すことは無い。

もう、見ているというより、睨んでいると言った方が正しいような気がしてきた。


「にいに!にいに!」


どうしたらいいか反応に困っていると、廊下から男の声が聞こえて来た。

どこかで聞いたことのある声だ。


「アリッサ!」


すると女の子は声のする方を向き、笑顔になった。

まあそうだよな。

俺が兄のわけがない。


「にいに!」

「アリッサ!ここへ来てはダメじゃないか!」


白いローブを身にまとった男は、アリッサを抱き上げる。


「ほら行くよ、この部屋は危険な盗賊がいるんだからね〜」


と言うと、俺と目が合う。


「あ・・・」


「あ」じぇねーよ。


「にいに!この人!悪〜い盗賊なの?」

「アリッサ、えーとね、えーと、ね?」


ローブ男の顔が面白い具合に真っ青になっていく。


「アリッサちゃん、初めまして。俺は翔だよ。盗賊とかじゃないからね!」


とりあえず誤解は解いておこう。


「はじめまして!盗賊のお兄ちゃん!」


だから盗賊じゃ無い!


「あたし、アリッサ!っていうの!あれ?さっき私の名前呼んだよね?なんで分かったの!?」


そこのローブ男が言っていたからね・・・


すると、彼女は何か思いつくと、物凄い笑顔でこう言った。


「そっか!盗賊だから名前分かったんだね!よろしく!」


「よ、よろしく!あと盗賊じゃ無い」

「うん!盗賊ね!」


この子の誤解を解くのはもう少し後になりそうだ。


アリッサとの挨拶が終わると、ローブ男が彼女を床に下ろして背中を押す。


「アリッサ、外で遊んできなさい」

「はーい!」


アリッサが廊下を走って行く音が聞こえる。

ローブ男は彼女を見届けると、部屋に入ってきた。


「ショウ様、先ほどは申し訳ありませんでしたァ!」

「お、おう?」


何事かと思いきや、物凄い勢いで謝ってきた。


「私はグスタフと申します。先ほどの無礼、失礼いたしました!」


アリッサの兄、グスタフか。


「まさかアルノルトが強引に連れて来るとは・・・傷は私が癒しましたが、あれほど穏便にと言っておいたのに!」


ほう。

こいつが俺の傷を直したのか。

ひょっとして詠唱とかで、声に聞き覚えがあったのかもしれない。


ん?


「アルノルト?」

「っ失礼しました!アルノルトは帝国騎士団の団長で、私の友人でもあります。あなたを殴ったその人がそうです・・・」

「直接言えばいいのに?」

「周りに気づかれないようにするにはそうするしかなくて・・・」


うん、完全に拉致だね。


「で、俺をここに連れてきた理由は?」

「はっ!実は・・・」


そう言うと、グスタフは俺をここに連れてきた経緯について話し始めた。


クリーク村ではまだ噂程度だったが、既にストリア国でクーデターが起きたこと。

それにより、ロア帝国で開かれた緊急議会で、ストリア国が攻めてきた時の対策をする事が決まったが、この大陸で最強とされるストリア軍の暴走を止める方法が見つからないこと。

そこで、バジルが俺の名前を出し、デフロットさんが解説を加えたことで、何かが脳内変換されて俺を賢者だと思った。

秘密裏に拉致したのは、デフロットさんに一度止められているかららしい。


俺が来るタイミングが分かったのは、バジルが馬車に乗っている俺を目撃したらしい。

やはりあの魔獣に乗っていたのはバジルだったか。

しかし、すれ違うだけで中に乗っている人を特定するとか凄いな・・・


「それで、俺にどうしろと?」

「はっ!賢者であるショウ様はもうご存知かと思われますが・・・?」


なるほど・・・


「対策を立てろってことだね?」

「恐れ入ります・・・」


そう言うと、グスタフはお辞儀をした。

まあ、そういうのはいらないんだけどね。

拉致した罰だ。

賢者ではない事はしばらく黙っておこう。


「そう言えば、緊急議会には誰が参加したんだ?」

「各有力者と貴族、帝国軍の上層部と皇帝陛下でございます」


ん?

有力者はなんとなく分かるが、貴族?

第4地区で苦い思いをしたのを思い出す。


「あんな奴らがなぜ・・・?」

「ショウ様、どうされました?」

「あ、いや、こっちの話だ」

「しっ失礼いたしました!」


声に怒りがこもっていたのか、グスタフは慌てるように謝罪をいうと、俺との距離を少し開けた。


ちょうどその時だった。

ドアがバンと開き、鎧を着た兵士が部屋へ入って来るなり、こう叫んだ。


「グスタフ卿!ストリアへ送った密偵がただいま戻りました!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。