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転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
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二十四話 【地球産】



「これとかどうだ?」


カウンターに置かれた短剣はどこかで見た様な気がした。

表面は黒くコーティングされていて片側が刃、反対側の刃はギザギザだ。

そして刃の部分だけ銀色に光っていた。

すぐに分かった。


サバイバルナイフだ。


「・・・なんで?これがここに?」

「ん?興味があるのか?説明してやろうか?」

「・・・頼む!!」


この世界に短剣(サバイバルナイフ)がある事もそうだが、出所が気になる。

もしかしたら他の物や移転した人もいるかもしれない。

情報を探るべく俺は店長の話を聞いた。

要約するとこうだ。


ある冒険者パーティーが迷宮攻略をしに深部へ踏み込んだ。

そこはまだ情報も少なく、マッピングもされていない、魔物が居る危険な場所・・・

『未知の50階層』という二つ名を持つ迷宮だ。

しかし彼らが目にしたのは数体の魔物の死体と餓死した人間だった。

側には短剣と小物があった。

遺体はその場で火葬埋葬された。


問題の場所に着いて2日目、魔物の死因が分かった。


目立った外傷が無いにも関わらず、魔物は死んだ。

あるのは何かで刺したような跡だけ。

彼らは鋭利な武器で刺したのが死因と考えた。

問題はその鋭利な武器が見つからなかった事だ。

その後迷宮は56階層まで攻略され、一時、報告兼売却をしにギルドへ向かうと、そこで新たな事が分かった。

魔物から素材を採取する際、刺した傷に沿って鉛が見つかったのだ。

結局それが何かは分からずじまいだが、遺体の持っていた用途不明の小物と短剣は売却された。


話を聞く限り、刺した跡は弾痕で、見つかった鉛は弾丸の事だろう。

暗い迷宮内での視界確保に明かりも必要だ。

恐らく小物の中に懐中電灯かマッチがあった筈だ。


「・・・なるほど、ありがとう」

「いやぁ、いいって!で、どうだ?買うか?」

「貰うよ」

「あいよ」


俺は料金を支払い、ナイフを腰に付けた。

うん。大き過ぎず、小さ過ぎず、だ。


「しかし、よくそんなもん買おうと思ったな」

「なんでだ?」

「こっちには立派な剣だってあるんだぜ?そんな短剣いらねぇだろ」


商品に視線に向ける。

確かにそんな感じはする。

しかし俺は魔力量が少なく、体力もこの世界ではそこまで強くない。

剣があっても魔法なしでは戦えないし、他の冒険者の様に魔力を道具に流して力で解決することもできない。

聞いたとこによると、木こりですら使ってる斧に強化魔法を使っているらしい。

そりゃ簡単に切れるわな・・・

一方、サバイバルナイフは魔力の存在しない地球で作られた。魔力を必要としない道具なのだ。

第一その便利さを知っている。

実際に使うのはこれが初めてだが、ミリオタの友達の言ってた通りに使えば大丈夫だろう。

余談だが、サバイバルナイフとは別にミリタリーナイフというのもある。

ハサミや爪切り、ドライバーが付いてたりする万能ナイフだ。

まあ、危うく友達(そいつ)にゲームソフトと交換させられるとこだったが・・・


ひょっとしてこれらもあったり・・・?


他の小物が何処にあるか、一応聞いておいた方が良さそうだ。


「ところで、他の小物って無いのか?」

「あると思うが、使い方が全く分からないぞ?」

「構わない、場合によっては買い取ろう」

「そうか?」


店長は商品棚や箱の中を漁るといくつか持ってカウンターに並べた。


「ウチにあるものでこれが全部だ。あとは他を当たってくれ」


並べられた小物を見ると、ヘルメット、金属製の水筒、拳銃のカートリッジがあった。


「これ全部買うよ」

「へっお!?本当かよ!こりゃありがてえ。売れ残って困ってたんだ」

「売れ残り?どうして?」

「そりゃ、使い方が分からないからだろ」

「・・・なるほど。残りは何処に行けばあるんだ?」

「まだ集める気か?そうだな、クリークだウチの店と大通りの3ブロック先の店だけだと思うぜ。あとはギルドで聞くしかない」


そう言うと店長は指で店のある方角を指した。

あそこの店か、ギルドへ行く時にちらっとだけ見た建物を思い出す。


「ありがとう」

「あいよ!今度はそういう品を集めておくからまた来な!」

「よろしく頼む!」


助かる。

探す手間が省けるからな。


買い物が終わり、店を出ようとする。


「あ!待て!なんて呼べばいい?」

「ん?」

「いや、これからウチの常連になる客の名前くらいは覚えとかなきゃだろ?」


常連ねぇ・・・

まあ、色々集めてくれるっぽいから来ることにはなるだろう。


「翔だ」

「ショウか、俺はフックだ」


どこかの船長みたいな名前だな・・・


「また来るよ」

「おう!待ってるぜ!」


今回の収穫は例の情報と数点のアイテム。

転移した人は俺だけでは無いこと。地球の道具が異世界(ここ)で発見されたこと。

出費はたったの大銀貨2枚と銀貨1枚。

と言っても、現在の所持金が金貨5枚、大銀貨3枚、銀貨4枚、銅貨10枚、鉄貨30枚。

ぶっちゃけた話、高いのか安いのか分からん・・・


ロジャーさんに物価を聞いておくんだった・・・

商売に詳しそうだし、交渉術も手に入れられるかもしれない。

おっと、第三地区へ戻る前に例の武器屋だな。

さっさと終わらして帰るか。

魔物討伐の依頼はパスだ。

バジルとの戦闘であれだけ消耗したから受けられない。

まあ魔力石が尽きた時点で俺もノーマルって訳だ。


そんな事を考えながら次の目的地へと向かった。


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