二十二話 【ランク上げたいんですけど】2
「ルールは簡単だ。どちらかが戦闘不能になるか、降参かだ。殺しは無しだぞ?武器はなんでも良い」
「おう」
「号令は・・・ニーナ!頼む!」
「はいっ!」
バジルの部下か?
彼女は見物人より少し前へ出ると「では、始めっ!」と号令をかけた。
「ふんっ!」
声と同時に攻撃が来る。
俺は振り下ろされる剣をバックステップで避けて態勢を立て直す。
いきなり来るとは思わなかったが、ロジャーさんに比べれば遅い。すぐに反応できた。
「ほう?今のを避けるとは」
「いや、師匠より遅かったから反応できただけだ」
ロジャーさんが師匠・・・
そうか、そうなるのか。
まあ今はロジャーさんの攻撃も余裕だけどね!
魔法のおかげで!
「一発で仕留められなかったのはお前で5人目だな」
俺で5人目ってどんだけ弱いんだよ!
「てか・・・不意打ちだな」
「まあな、既に始まった勝負に文句はあるまい!」
確かにこいつのいう通りだ。
この時点で不意打ちも何も関係無い。
勝つか負けるかだ。
しばらくはロジャーさんの教えに沿って闘っていたが、少し見えてきた。
こいつ、攻撃は強いがパターン化してる。
ロジャーさんより弱いな。
「なかなかやるな!名はなんと言う?」
「翔だ、ちゃんとランク上げてくれよ?」
「俺に勝てたら・・・な!」
今までに無かった攻撃が来た。
身体強化を使っているな。
しかし俺も身体強化が使えない訳では無い。
「!?なに!?」
回避したバジルの攻撃が地面をえぐる。
本人も一緒に突っ込んでったみたいだが無事だろうか?
「そうか!ははは!ショウ!」
「なんだ?」
土煙から声が聞こえる。
無事みたいだ。
「お前をCランクに上げよう!」
「!?」
これは驚き!
決着は付いていないが、ランク上げに成功したようだ。
これで目標に一歩近いた。
「甘い!」
ドスッと腹に衝撃が来る。
油断した。
バジルが剣を投げつけたのだ。
「っ!?しまった!!ショウ!!」
剣が腹を切りつけ血肉と一緒に後方へ飛ぶ。
焦るバジルを見ると、俺を斬りたかった訳ではない様だ。
が、問題ない。
地獄の修行でロジャーさんに容赦なく斬られた。
なるほど、こういう時に冷静さと判断力を失わないようにするためか。
ロジャーさん、ありがとうございます。
あの恨みは必ず返しますけどね・・・
隠し持ってる魔力石で体内に魔力を循環させ、ヘレンさんに教わった治癒魔法を行う。
これは細胞を活性化させ怪我の治りを早くする。
そして問題はここだ。
傷は治せるが流した血液は戻らない。
ここからが俺の個人魔法。
血は骨髄で作られる。
そこに魔力を流す。もちろんそのままだと血液の元が足りなくなるので他の臓器にも魔力を流す。
空腹感が凄まじいが、こうでもしないと万全な状態には戻らない。
脳にも魔力を流し、時間の感じ方を遅くしたおかげで回復はすぐに終わった。
今ので魔力石はもう使えないだろう。
俺の体力だけでキメるしかない!
「っとう!」
飛ばされた勢いを使って着地する。
「「「!?」」」
ん?
皆固まってる?
いや、俺が脳への魔力を切っていないだけか?
魔力は使い果たしたはずだが・・・
「・・・ショウ、お前、大丈・・・」
時間の感じ方はノーマルの様だ。
バジルが何か言っているが同じ手には乗らん。
「隙あり!!!」
剣を喉元へ向ける。
「!?、ふっ、そうだな、俺の負けだ」
「勝負あり!ショウさんの勝ちぃー!」
ニーナが俺の勝利を宣言する。
「やった!」
「ショウ、おめでとう。俺に勝った奴はこれで2人目だな!」
「ランクの話をしましょうか」
「ああ、約束通りランクは上げよう。少し俺の部屋まで来てくれ」
バジルは真面目な顔で答えた。
ランクはって事は他にも何かありそうだ。
変な事にならなければいいけど・・・
そう思いながら俺はバジルの後についていった。




